森下氏は2000年にレースクイーンとしてデビューし、グラビアで活躍。タレントとしてバラエティー番組を席巻し、ドラマや映画など俳優業にも進出した。順調と思われたが、30代半ばくらいから徐々に露出は減っていった。
その後、21年10月の衆院選において、突如、宮城5区に自民党公認で立候補を表明。愛知県出身の森下氏が縁もゆかりもない宮城県での選挙戦は苦戦を強いられ、小選挙区で落選、比例区でも復活できなかった。その後、東北福祉大学の客員教授を経て、24年10月27日の衆議院議員選挙の比例区で初当選した。今回の人事で、当選1年にも満たない代議士に、政務官としての資質を疑う声も聞かれる。
それは落選から3カ月後の22年1月、YouTubeチャンネル『日経テレ東大学』で森下氏が出演。「食料自給率を上げたい」と抱負を述べる森下氏に対し、「食料自給率」の定義を求めると、しどろもどろするシーンが流され、視聴者からは政策に関する“知識不足”を指摘する声が相次いだ。
資質を問われているのは森下氏だけではない。アイドルユニット元SPEEDの今井絵理子参議院議員は、石破茂前内閣で復興大臣政務官と内閣府大臣政務官を兼務した“先輩”だ。今井氏は、X(旧Twitter)に投稿されたある動画が話題になった過去がある。23年12月の予算委員会で質疑に立った今井氏は、用意したペーパーを丸読みした。
「支援する体制」と読むところを「支援するたいせん」、「万全」を「まんぜん」と読んでしまった。コメントには「なぜ読み仮名を振らなかったんだ」「政策以前で読み書きレベルの問題」とまでこき下ろされた。
さらに、タレント出身の政務官として挙げられるのが生稲晃子参議院議員だ。22年7月の参院選に初出馬した際、NHKの候補者アンケートで「無回答」を連発したのだ。選挙特番などでも「不勉強」を理由に出演を拒否した。当選後、石破前内閣で外務大臣政務官を務めた。
タレント出身の政務官について、ある永田町関係者は「政務官として、官僚やほかの議員と議論できるほど勉強が足りているわけではない」と指摘する。
森下氏をはじめ彼女たちも政務官から虎視眈々と大臣、さらには元女性タレントとして初の首相の座を狙っているのかもしれない。

