敗れ方も初戦のスワローズ戦はエース今永昇太が、山田哲人&村上宗隆のメダリストコンビに慎重になりすぎ、プロ2年目の奥川恭伸に投げ負け。17日からのタイガース戦では初戦でセットアッパーの山崎康晃が、18日もエドウィン・エスコバーが乱調。両ゲームとも8回に決定的な3点を献上し連敗と嫌なムードが漂っている。
そんな中、オリンピックアメリカ代表としてホームラン2本、打率.417の活躍を見せ、銀メダルに貢献したタイラー・オースティンが孤軍奮闘し、戦う姿を体現している。
スワローズ戦では力でライトに運ぶヒットを皮切りに、17日は2年間の通算で1本しかヒットを放っていない苦手の青柳晃洋から1ヒット1フォアボール、9回にもタイガースの絶対的守護神のロベルト・スアレスからもレフトにヒットとマルチ安打をマーク。
18日は1-1と同点の7回に「『ヤッター!(日本語)』捉えた感触は良かったのですが、打球が高く上がったのでスタンドまで届くか分からず走っていました。本塁打になりよかったです」と振り返る、センターバックスクリーンに突き刺す一時勝ち越し弾を放った。
後半戦に入り10打数4安打、ホームラン1本と、オリンピックでの好調をペナントレースでも維持。守備でもフェンスに激突しながらのキャッチや、タッチアップの場面でホームに突っ込む気満々のアクションを見せるなど、常にファイティングポーズを取る姿勢はまさに闘将。ホームラン後は仲の良い宮本秀明と独特のアクションで喜びを分かち合い、自分の応援ボードを見つけると、気さくにサムズアップするなど、プレー以外でもナイスガイエピソードにあふれている。
再開前に「今は少し苦しい位置にいるので、まだまだやらなければいけないことがたくさんある。一打席一打席、全力で立ち向かっていきながらも、その中で楽しむことも忘れない。それを続けていければ、他のことはそれからついてくる」との言葉を実践しているオースティン。常日頃口にする「全力でプレーし、チームの勝利に貢献する」との“TAイズム”が、苦しむチームを救ってくれると信じている。
写真・取材・文 / 萩原孝弘