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日テレにケンカを吹っかけた過去も…障がい者に斬りこむEテレ

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 バリアフリー・バラエティ、略して『バリバラ』。現在Eテレで放映されている30分番組だ。12年に“障がい者のための情報バラエティ”としてスタートした際は、社会問題に真正面から切り込んでいた。ところが16年4月、“生きづらさを抱えるすべてのマイノリティー”を掲げ、枠拡大に踏み切ると、バラエティ色が強まった。結果、差別が消え、笑いが増えた。

 主役は、障がい者と、年々多様性が増しているLGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー)。NHKらしく検証映像は完ぺきで、発見も多く、意見・情報交換も活発だ。

 司会はラジオDJで、エイズの知識を深める活動「レッド・リボン・ライブ」の総合プロデューサーも務める山本シュウ。容貌が常に派手な、大阪弁のおじさんだ。この山本だけが健常者という回も珍しくない。ダブルMCを務める大西瞳さんは、義足のスプリンター。短パンから見える義足は、常にカラフルだ。

 ご意見番は、玉木幸則さん。相談支援専門員とあって、コメントが的確。脳性麻痺のため言語は聞き取りにくいが、テロップによるフォローがある。同じく、発言が的を射ているのは、大橋グレースさん。アメリカ人とのハーフで、多発性硬化症など3つの難病を抱える。視力と腕から先の筋力を失っているが、豪快に笑う明るさはムードメーカーだ。

 時に、物議を醸すこともある。日本テレビ系『24時間テレビ 愛は地球を救う』が毎年8月下旬に放映される際は、裏の時間帯で生放送(普段は収録)。16年には、『検証!「障害者×感動」の方程式』というタイトルで、スタジオには「笑いは地球を救う」と記された黄色い看板を、これ見よがしに張りまくった。黄色は、本家・24時間テレビのイメージカラーだ。論じた内容は「障がい者を描くのに感動は必須か」。日テレに物申すテイストだった。

 ダジャレもある。バリアフリーによるファッションショーシリーズは、「バリコレ」。フランスのパリで開かれるファッションブランドの新作発表会のパリ・コレクション、「パリコレ」を模倣したものだ。また、24時間体制で介助が必要な重度の身体障がい者にスポットを当てたシリーズは、「HEY 重度」。ビートルズの名曲『ヘイ・ジュード』がベースとなっている。

 およそ9年にわたって開催されているロングラン企画は、「SHOW-1グランプリ」。ピン芸人日本一を決める『R−1ぐらんぷり』と漫才日本一決定戦の『M−1グランプリ』をドッキングさせた、最強お笑い障がい者芸人グランプリだ。性同一性障害のインディーズ芸人・万次郎(現在は男)は、2連覇の実績を持ち、本家のR-1でも上位に食い込めそうな腕前だ。そんな彼と、寝たきり障がい者・あそどっぐが同じリングに立ってしまうのが、“SHOW-1”の魅力。第二の濱田祐太郎(昨年R-1王者)が誕生しそうな予感だ。

 障がい者の笑いやエロス、思春期や性交渉、殺人事件や家族、恋愛にも切り込む『バリバラ』。名の知れた歌手や芸人、俳優やモデル、作家やタレントがこぞって出演しているのは、明瞭にして明確な番組コンセプトであるがゆえ。かゆいところに手が届くEテレらしい番組だ。
(伊藤雅奈子)

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