社会
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社会 2018年06月13日 08時00分
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 日大沈没
5月25日に日大アメフト部の内田正人前監督と井上奨コーチが緊急の記者会見を開いた。加害者となった宮川泰介選手の会見を受けたものだったが、内田前監督は反則を指示したことを一切認めなかった。それどころか、「受け取り方の問題」として、責任を宮川選手に転嫁したのだ。 もちろん、フットボールの専門家のなかにも、「監督が反則を指示することはありえない」とする人もいて、真相の解明は今後の第三者委員会の調査を待たなければならないのだが、私は、内田監督がいますぐ日大から完全に退くべきだと思う。3つの悪影響がすでに現れているからだ。 1つは、宮川選手への影響だ。 宮川選手は、実名かつ顔出しで、ある意味、命懸けで監督の指示を告発した。監督が粘れば粘るほど、宮川選手が嘘つきだという話になってしまう。宮川選手を追い込んだ責任を感じているなら、監督が指示を認めることが、一番、宮川選手を救うことになるのだ。 2つ目は、日大アメフト部への影響だ。 関東大学一部リーグのチームによる監督会が、春季のオープン戦に続き、秋のリーグ戦以降も日大との対戦拒否の方針を確認したため、日大アメフト部は対外試合再開の目途が立っていない。 3つ目は、大学への影響だ。 いま半分近い私大が定員割れを起こすなかで、日大は、学生数7万人を超えるマンモス大学であるにもかかわらず、定員充足率が約113%と、経営状態は健全だ。それは、日大のイメージがよく、入学希望者が多いからだ。 40年前には、「ポン大」と呼ばれ、イメージはよくなかった日大が、人気大学になったのは、日本で最も多くの社長を輩出するというビジネス面の活躍だけでなく、スポーツでの活躍の影響も大きい。それが今回の事件で、日大はアンフェアな大学だという悪評が高まれば、日大の受験者数は急減し、経営が一気に追い詰められてしまうだろう。 実は、この3つの悪影響は、内田監督が潔く身を退くことで、解決できる問題だ。つまり、反則行為の指示があったかどうかという真実の究明以前に、内田監督は宮川選手を守り、アメフト部を守り、そして日大を守るために、大学を去らないといけないのだ。 そんなことは、普通であれば常識だ。自分の教え子や自分の大学のチーム、そして自分の大学に対しては、深い愛情が自ずと芽生えるからだ。それにもかかわらず、内田前監督が大学を辞任しないということは、それ自体が重い罪なのだ。 こうなったら、当面、やれることは、たった一つだ。日大の学生、日大の学生の父母、そして日大のOBたちが、大学のプライドをかけて蜂起することだ。学生運動の時代、日大は巨大な学生数を活かして、大規模デモを行った。選手らは団結して、すでに5月29日、「声明文」を出している。日大OBたちは、まだ個別に声を上げている段階だが、いますぐ体制一新に向けて、署名を集めるなどの行動を起こすべきだ。 そのためにも、日大出身の有名人が、音頭をとるべきではないのか。すでに高校3年生は、自分の進路を考えている。残された時間は多くない。
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社会 2018年06月12日 20時30分
“ぼっち”、“アラフォー世代”が悲鳴 転職も『友人紹介』の時代がきた?
今企業は空前の人手不足に陥っている。11日に放送された『クローズアップ現代+』(NHK総合)によると、働き手となるべき生産年齢人口がこの先、5年ごとに300万人ずつ減り続ける見込み。人材獲得が非常に難しく、時代は就職氷河期ならぬ“採用氷河期”に入ったようだ。 同番組では、企業があの手この手で採用に工夫を凝らしている現状が紹介された。まず注目すべきは、新卒の採用方法だ。これまでは学生が志望企業に合わせて何枚もエントリーシートを書き、面接に進めるかの決定権は企業側が握っていた。しかし今は“逆”だ。求人サイト上に掲載された学生のPRシートを見た企業が、自ら面接オファーをするというシステムに変わりつつある。面接に行くかは学生が決めるため、企業は人材を獲得するために必死だという。 しかし、そんな企業側の努力もむなしく、新卒採用の3人に1人が3年以内に会社を辞める時代。そのため、新卒に限らず転職市場も活発だ。2010年以降、転職率は上昇傾向にあり、中でも15〜24歳の若者が圧倒的に多い(平成29年、総務省統計局調べ)。 転職市場では今“リファーラル採用”という制度が注目されている。社員の知人を紹介してもらい、入社すると社員に報奨金が支払われるシステムだ。すでに働いている人からの紹介のためミスマッチが少なく、優秀な転職潜在層にもアプローチできるため、どの企業も積極的に制度を取り入れているという。 この採用方法についてネット上では、「友達が助けてくれれば、今の職場にしがみつかなくてすむ」「過労死が減りそう」「新卒採用のコストを抑えられて良いのでは?」との前向きな意見が出た。 一方、「友達が多い人はいいけど、友達がいない人はどうすれば」「ツテがない人間には無理」「アラフォー特集の翌週に…就職氷河期世代を精神的に殺しにくる」「人手不足だけど氷河期40代には声がかからない…」と嘆く声も多く見られた。 たしかにリファーラル採用にはリスクもあるだろう。入社後、仮にミスマッチが起きた場合、友人との関係性が悪くなりかねない。また、基本的に即戦力として採用されるケースが多いため、会社が求めるレベルと見合わなければ職場にいづらくなることも考えられる。 こうした見方はあるものの、転職市場において今後リファーラル採用が主流となる可能性は大いにある。さらに、危機感を持つ転職エージェントが新たな戦略を打ち出してくることも考えられるため、転職市場はさらに盛り上がりを見せそうだ。
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社会 2018年06月12日 14時00分
体育会系vs学術系 マンモス大学「分裂抗争」に発展か
「なぜ、組織のトップである田中英壽理事長(71)が出てこないのか、こんなブザマな会見ばかりして…」 だが、日大にだって良識派はいる。彼らはアメフト部の父母会と水面下で交渉を進めているという。 「父母会は毎回2、3人の代表者を出し、良識派と練習再開の時期やそのサポート方法を協議し、一部で合意しました」(関係者) 近く、アメフト部の練習は再開される。ただし応援することでは合意したが、信頼関係は回復していない。日大は第三者委員会の調査待ちとし、反則指示をまだ認めていないのだ。それには学校内の派閥抗争も影響していた。 「一般的に、大学トップは1人ですが、日大は学部は学長、経営は理事長のツートップ体制。しかも、大塚吉兵衛学長は一般理事で、経営面では常務理事だった内田氏の下」(同) スポーツ畑出身者が大学経営トップに躍り出た組織は珍しい。また、相撲部監督だった田中理事長の脇をアメフト部の内田氏が支えているのも、おかしな構図だ。 「'68〜'69年の日大紛争がまだ背景にあるようです。学生運動と経営陣が衝突し、後者を助けたのが運動部でした。理論家と体育会とで肌が合わなかったんでしょうが、以後、体育会出身者が学校職員として残り、出世していきました。田中氏は12代目理事長、体育会出身では3人目。昨年9月に4期目に入りました。相撲部時代は学生横綱で日大卒業後は職員となって、アマタイトルを総ナメにし、1学年後輩の輪島がプロになった後も勝てないほどの猛者でした。内田氏は『寄付金を集める天才』。そこで“田中-内田ライン”が構築されました」(日大OB) 運動部出身の理事長誕生となり、これを面白くないと見る学術畑出身の役員もいたが、年間約2600億円の予算は、田中理事長によって動かされている。内田氏は人事部長も兼ねていたため、学術系は何も言えなくなっていた。 「メディアの前で醜態を晒した広報部にしても、的確な指示などを下せる人材がいません。内田氏は『試合中のケガ』みたいな軽い言い方で報告していたし、それを鵜呑みにしてしまいました」(前出・関係者) また、日大はタックル事件に別の感情も抱いていた。テレビ各局が流した問題シーンの映像の出どころだ。「関学大がメディア提供した」として、それに憤怒していたのだ。お門違いもはなはだしいが、ようやく事の重大さを知った大塚学長は、情報不足のまま、謝罪会見を開いた。結果は言うに及ばず、だ。 「懸念すべきは、反則指示があったとする関東学生アメフト連盟裁定と、日大が設置した第三者委員会の見解が違ったらどうするのか。今さら外部調査をするよりも、非を認めて被害者に謝罪すべき。でないと、次に進めない」(同) 田中理事長は「喋りすぎると墓穴を掘る」が持論のようだが、窮地だからこそ矢面に立つべきだ。体育会、学術畑、組合でマンモス大学は分裂しつつある。
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社会 2018年06月12日 08時00分
橋下徹氏“国盗り”ムーブメント始動 新党立ち上げで政界殴り込み
いよいよ、橋下徹氏が“国盗り”に動き出す。橋下前大阪市長が近々、新党立ち上げに向けて着々と準備を進めていると指摘する声が、永田町周辺から聞こえ始めている。 「最近の橋下さんには、国政進出へのオーラがほとばしっていますよ。市長を辞めた後から、テレビやネット、講演で自身の考えを発信し続けてきたが、モリカケの疑惑でさらにその勢いを増している。あとはタイミングだけなのではないか」(日本維新の会関係者) すでに今年3月、『Mr.サンデー』(フジテレビ系)に出演した際には、森友学園への国有地売却問題について安倍首相が自身や昭恵夫人の関与があった場合、「総理大臣も国会議員も辞める」とした国会答弁を、「痛恨のミス」と指摘。昭恵夫人についても「広告塔の責任はある。名前を貸した以上、一定の責任は負うべき」と批判。さらに最近では、首相肝いりの国家戦略特区に対し“重大な欠陥あり”とし、加計学園問題について、「手続きに一点の曇りもない」との主張に「言いすぎだ」とツイートしている。 加計学園疑惑では、獣医学部が設置された愛媛県の中村時広知事が、首相と加計学園の加計孝太郎理事長との面談内容を記した県文書を暴露。学園は「県に伝えた面談は架空の情報」と県に謝罪、一件落着を図ったが、知事は「つじつまが合わない」と、真っ向から忖度なしの否定で政権を揺さぶっている。 「中村知事と橋下さんは、3、4年前から選挙応援に駆け付け、未来の日本政治を語り合い意気投合する仲。そのため今回の中村知事の加計疑惑追及でも、バックには橋下さんがいるのではと囁かれるほどです。さらに周辺では、2人に対し国政を担う次のリーダーとの期待が高まっている」(同) それを裏付けるかのように、橋下氏は世界 経済フォーラムからも注目を受ける鈴木直道夕張市長らとも面談するなど、地方の若手政治家らと精力的に懇談をしている。 「橋下氏は、日本維新の会の存在感が薄れる中、若手政治家らと新党を立ち上げ、次の総選挙、もしくは来年の参院選で、永田町に激震を与える準備をしていると囁かれ始めている。当初は名前のある国会議員と組むのではないかと思われていましたが、それでは結局、また埋もれてしまうと、切り替えたようなのです」(全国紙政治部記者) 政界殴り込み! 解散総選挙で橋本徹氏の「国盗りムーブメント」が起きようとしている。
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社会 2018年06月11日 17時00分
1000km離れた福島に通い、犬猫の保護活動…NPO女性の行動力に石田ゆり子も感銘「変えなければいけない」
先週3日に放送され反響を呼んだドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)の特集「犬と猫の向こう側」の後編が10日に放送された。前編に引き続き、犬や猫の“多頭飼育崩壊”の問題をテーマに、NPO法人「犬猫みなしご救援隊」の中谷百合さんの活動を追っている。後編では、東日本大震災直後被災した犬や猫を救うため、広島から1000km離れた福島まで何年も通っていたことが明かされた。 前回同様、その反響はすさまじく、同番組のナレーションを務める女優石田ゆり子のインスタ上では“ペットの飼育”に関して熱い議論が起こっている。 今回、中谷さんは100匹以上の猫を1人で飼っているという男性のもとへ救出に向かった。猫たちのいる部屋に入ると、床はふん尿とゴミまみれ。悪臭もひどく、清潔好きの猫を飼育するには決して良い環境とは言えない。こうした衛生状態が災いし、中谷さんが来る前に30匹近い猫が亡くなったという。まさに同番組が問題として取り上げている“多頭飼育崩壊”に陥っていたのだ。 中谷さんは男性が飼う猫を自身のシェルターで保護すべく、部屋の中で逃げ回る猫たちを体を張って一匹一匹を捕獲。無事に全ての猫を救出した。その状況に飼い主の男性はホッとした様子を見せたが、すかさず「猫のストレスを考えたら、今の状況のままなら(シェルターからは)戻せない」と中谷さん。厳しくも愛情のこもった言葉で、今の環境を改善するよう促した。 そんな中谷さんについて、石田は自身のインスタで「人間力、行動力、優しさ、強さ(がある)」とコメント。さらに「動物をとりまく環境をみんなで、変えたい、変えなければいけないと思います」、「番組をぜひ、全国放送にしてもらいたいという声が多く、私も全く同感です」と付け加えた。後編の放送前にも「本日の後編、どうぞお見逃しなく。心からよろしくお願いいたします」と積極的にインスタで告知。自身も保護猫を飼育するなどしているため、同番組への思い入れは強いとみられる。 石田のインスタ上には「命の大切さ、重さは動物も人間も一緒。言葉を話せない動物にも感情があること、人間は気付かないふりをしていませんか?」「多頭飼いするならそれなりの責任をもち、それができないなら法律で罰を与えるしかないのでは」「行動力が素晴らしい。私も動物に救われている身なので、彼らのために何か動かなければと思いました」と真剣な意見が多数寄せられている。 その他のSNSでも「ゴールデンで放送して、1人でも多くの人に見てほしかった」「もはやネコカフェや動物番組はいらないのでは?」などの声が。中には「人間の勝手だけど、多頭飼育してしまう人の気持ちも分からなくない…」といったコメントも見られ、ネット上では熱い議論が交わされた。 世の中は、今まさに猫ブーム。“かわいいから”、“癒やされるから”という軽い気持ちで飼い始める人も少なくない。その結果、適切な去勢手術が行われず、多頭飼育崩壊が多発しているのだ。そんな社会の流れを懸念する中谷さんは何度となく『猫ブームが早く終わってほしい』と嘆き、問題解決へ活動してきた。この言葉こそ、今日本が抱えるペット問題の核心を突いている。今回のようなネット上の議論は一時的に盛り上がり、いつしか忘れ去られるケースも多いが、石田の発信により今後も続いていくことを期待したい。記事内の引用について石田ゆり子公式インスタグラムよりhttps://www.instagram.com/yuriyuri1003/
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社会 2018年06月11日 15時00分
トランプきつねvs金正恩たぬき「非核」化かし合い最後の一手
歩み寄っているように見える両国のコンセンサスは依然として不透明なままだ。米国は「完全かつ検証可能で不可逆的な核廃棄=CVI“D”」を北朝鮮に要求し、片や北側は米国に「完全かつ検証可能で不可逆的な体制保障=CVI“G”」を求めている。 トランプ米大統領はロイター通信のインタビューで、米朝首脳会談が「複数回となる確率が高い」と述べた。つまり、この“D”と“G”のせめぎ合いは、6月12日の世紀の会談以降も続くということだ。 北朝鮮の核放棄への現実的なシナリオは、現在の流れでいけば「当面の非核化」以外にない。また“D”と“G”のせめぎ合いについては、その前提として(1)米国は北への軍事介入、体制崩壊を模索しない、(2)米国は北の体制保障に関する何らかの外交文書をまとめること。以上について、ポンペオ長官と金英哲党副委員長との情報機関元トップ同士が攻防を繰り広げている。 ちなみに北朝鮮側が言う「体制の保障」とは、米軍特殊部隊による金正恩党委員長“斬首作戦”の中止を意味するだけでなく、朝鮮半島全体の非核化、在韓米軍の縮小および撤退だ。 トランプ大統領は北の核放棄を迫る一方で「最大限の圧力という言葉はもう使いたくない。北朝鮮への経済支援は韓国がするだろうし、中国も日本も支援するだろう。米国が支出する必要はない」とツイートしたように、カネは出さないが“D”と“G”をリンクさせるような姿勢を見せている。この真意はどこにあるのか。 「金ファミリーの“執事”といわれる金昌善国務委員会部長がシンガポール入りし、会談会場などの細かい警備態勢の確認作業を進めるなど、正恩委員長サイドは相当神経質になっている。正恩委員長の留守中、ナンバー2である金与正が身重であることから『6・12クーデター』が起きるのではと、国外に出ることにビビりまくっているフシがあるのです。これまで先代2人の外国訪問が発表されたのは帰国後でした。それが金三代の危機管理のノウハウだったのですが、今回は12日に正恩委員長が留守になることは国内外に知れ渡っています。イラン-北朝鮮ラインを嫌う某国の諜報機関は、シンガポールに拠点がありますからね。トランプ大統領は、北が勝手に自壊することを期待しているのではないか」(北朝鮮ウオッチャー) 韓国紙朝鮮日報は5月30日の記事で《会談がシンガポールで行われるため、正恩体制に不満を持つ勢力が何らかの行動を起こす時間を確保できる》との消息筋の話を紹介しているし、同月22日の米紙ワシントン・ポストの記事は《北朝鮮側が米国当局に対し、シンガポール滞在中の正恩委員長の身の安全を保障するよう求めている》と、さらに踏み込んだ見方を示しているほどだ。 「正恩委員長がクーデター勃発を恐れるのは当然でしょう。複数回も会談を行えば、それだけ国内蜂起のチャンスも増えますからね」(国際ジャーナリスト) 北朝鮮が核実験場の廃棄時に肝心要の国際監視団の立ち会いを認めなかったことや、軍の複数のトップを対米強硬派から穏健派に人事移行していることについて、トランプ政権は非核化への意欲を「カムフラージュしているのではないか」との警戒心を隠していない。 ところが、そのトランプ大統領の方も似たり寄ったりで、本音がどこにあるのか測りかねる発言が相次いでいる。 「昨年9月の国連演説では、北の非人道的行為を列挙し『日本人の13歳の少女(横田めぐみさん)を拉致した』ことや正恩委員長の異母兄・金正男氏の暗殺にも触れ、北朝鮮を『ならず者政権』と批判しただけでなく、同年11月の韓国国会演説では、『北は個人崇拝の徹底したカルト国家だ』と非難し、独裁体制下で進む人権侵害の実態を訴えるのに、約35分間の演説のうち10分近くを割くなど、北の人権問題を徹底的に非難しています。米国は歴史上、かつての日本帝国主義や独裁国家の体制保障を一度たりとも約束したことはありません。このような猛烈な北朝鮮の体制批判を繰り広げた張本人が、前言を覆し、北の体制を保障するとは一体どういうことなのでしょう」(同) 北朝鮮側が求める具体的な体制保障は、虫のよすぎるものばかりだ。 「北朝鮮の金桂寛第1外務次官は5月16日、自国の非核化の先決条件として(1)米国の核戦略兵器の韓国からの撤退、(2)米韓合同軍事演習における核戦略兵器展開の中止、(3)通常兵器および核兵器で攻撃しないという保障、(4)停戦協定の平和協定への転換、(5)米朝の国交正常化の5つを挙げています。身勝手にも程がありますが、一方のトランプ政権側は、まず北の核兵器放棄、次に米国が北の体制保障を実施、最後に制裁解除です。問題は体制保障で、北が核放棄に応じたとして、トランプ大統領はこれまで、『TPP離脱』『パリ協定離脱』『イラン核合意離脱』などの合意を何の躊躇もなく破り、その理由を『前任者(オバマ前大統領)がやったこと』で片付けています。これでは、たとえトランプ大統領との間でディール(取引)が成立したとしても、正恩委員長側は『トランプ大統領は再選さえ果たしてしまえば、合意を反故にするのではないか』という疑念を抱くでしょうね」(元大手紙ソウル特派員) そうは言っても“商売人”の2人だ。正恩委員長は米国に対し核放棄をできるだけ「高く売りつけたい」と考えているだろうし、さらには体制の維持をどの国の誰が“引き継いで”保障してくれるのか、経済支援はどれだけ受けられるのかなど、核放棄と引き替えに手前勝手な条件を繰り出してくるだろう。 一方、トランプ大統領の頭の中は、いかに身銭を切らずにノーベル平和賞を取るかの算段でいっぱいなのかもしれない。 「カネはこいつが出す」 名指しを受ける日本は、このキツネとタヌキの化かし合いを、ただ見ているだけでは済まない。
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社会 2018年06月08日 21時00分
飛田新地の料亭に放火した53歳男の動機は、「火事になれば女性従業員が…」
6日、大阪府警は西成区の飛田新地の料亭に放火したとして、53歳の刺繍加工所従業員を再逮捕した。 この男は今年1月5日午後、飛田新地の料亭にはしごを使い侵入し、放火。約500平方メートルを全焼させた疑いで、5月9日に逮捕される。同料亭では、昨年2月10日にも火事があり、こちらについても、男の関与が指摘されていた。 6月6日になり、昨年2月の放火もこの男の犯行であることが判明。現住建造物等放火などの容疑で、再逮捕される。 そして男は動機について、警察の取り調べに対し「女性従業員に恋愛感情があり、従業員が『仕事がしんどい』と話していたため、店が火災になれば仕事が休めるだろうと思った」などと供述していることがわかった。 50を超えた男の淡い恋愛感情から生まれた凶悪事件に、ネットユーザーは「ありえない」「バカじゃないのか」とドン引きする人が続出。また、飛田新地では料亭を謳いながら実際は違うことが多いだけに、「モテない男が本気になってしまったケース」「迷惑客」「お金が必要になって新地で働いているのに仕事場を減らす迷惑なやつ」など、男に対する批判が相次いだ。 女性にしてみれば迷惑な話なのだろうが、男にとっては大真面目だった様子。しかし、「火事になれば休める」という発想は、あまりにも幼稚であり、店舗に火をつける行為は多くの人を生命の危険に追いやるもので、重罪である。 「火遊び」の償いは、きっちりと取ってもらう必要があるだろう。
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社会 2018年06月08日 08時00分
“純国産”拡大はまだまだ先か 小型ジェット機市場 ホンダと三菱の明と暗
三菱重工業の子会社、三菱航空機が開発中の国産初の小型ビジネスジェット機、『MRJ』の納入が遅れに遅れ、経営にも暗雲が立ち込め始めている。一方で、本田技研工業の米子会社が開発した小型ジェット機の『ホンダジェット』は世界中から注文が殺到し、明暗くっきりだ。 「三菱航空機は『MRJ』量産機の納入を5回も延期しており、初納入のANAへは当初の計画より7年遅れの2020年半ばになってしまった。5回目の延期の要因は、飛行制御システムの配線の大幅な設計変更。果たして現時点で契約済の407機を無事納入できるのか、不安が拡大しています」(業界関係者) その不安は、多岐にわたる。三菱航空機では、当初1800億円と見込まれていた開発費が6000億円規模に膨らんでいるという。結果、'17年3月末に510億円の債務超過に転落し、その後1年間で1000億円を超えた。そのため三菱重工業がテコ入れを図り支援体制は整いつつあるが、先は読めない。 「さらに、契約先に確実に購入できるのかも不確定になりつつある。買い手には日本のANAやJALもあるが、メーンはアメリカの航空会社で、407機中320機を占める。しかも、この中で一方的なキャンセルが可能な契約が174機。今年に入ってからは、'19年に納入予定だったイースタン航空が買収されたことにより、40機がキャンセルになっている。三菱重工は開発の遅延によるものではないとしているが、他の航空会社もこの動きを注視しています」(同) 世界最大の民間航空機メーカーといえば、アメリカのボーイングとフランスのエアバスだが、これまで両社は小型旅客機にはさほど触手を伸ばしていなかった。しかし、ここでも三菱が恐れる事態が起きている。 「そもそも、このジャンルで世界を牛耳っていたメーカーはカナダのボンバルディアとブラジルのエンブラエルで、この2社が三菱の最大のライバルだった。ところが昨年秋、ボンバルディアがエアバスと提携したことで、エアバスが小型ジェット機に資本投下することとなった。一方で、エンブラエルもボーイングと提携話を進めている。両大手が参入すれば、『MRJ』は市場から弾き出される危機が高いのです」(航空雑誌記者) さらに『MRJ』には、厄介な問題が立ちはだかっていた。 「米航空各社が小型ジェットを購入するのは、地方航空路線での導入をメーンの目的としている。機体の大きさは、人員カットを避けるために労使協定で座席数が最大76席、最大離陸重量39トン以下となっている。三菱航空機ではもともとこの規定より大きい機体を開発していたため、一昨年から基準に合わせたサイズに切り替え開発を進めているが、これが間に合うかも不安視されているのです」(同) こうした展開の中でギリギリの開発が続く『MRJ』に対し、追い風の状態にあるのが『ホンダジェット』だ。 本田技研工業の子会社でホンダエアクラフトカンパニーが製造する『ホンダジェット』は'15年に実用化され、アメリカ航空業界団体「GAMA」による'17年の集計で、小型ジェット機部門(定員10人未満)の納入数が43機で世界一となった。 「7人乗りの『ホンダジェット』の長所は、エンジンを主翼の上に置いたことで胴体側にエンジンがあるライバル機と比べて室内空間が広く、騒音が小さい点です。しかし、何と言っても最大の魅力は価格の安さ。プライベートジェットでアメリカの人気ブランド『ガルフストリーム』などと比較すると狭くて航続距離は短いが、価格は5分1(約5憶4000万円)のため人気が沸騰しているのです」(航空アナリスト) それにしても、三菱とホンダの小型ジェット機開発は、どこで明暗が分かれたのだろうか。『ホンダジェット』の場合は、本田技研工業創業者の本田宗一郎氏の肝入り事業。それを引き継いだ技術者が、約30年をかけ、独自の機体とエンジン開発に取り組んできた賜物だ。 「しかも、航空機エンジンの実績を持つ米ゼネラル・エレクトリック社(GE)とも組み、アメリカで慣習となっているビジネス手法を積極的に取り入れたことが功を奏した。結果、獲得が非常に難しい米連邦航空局(FAA)の認可を得たばかりか、全米航空宇宙学会(AIAA)の連盟優秀賞まで獲得し、勢いをつけている。対して三菱は、エンジンは作れてもFAAの認可を取るテクニックは後手後手で、全体の進行管理がチグハグに見える。そもそも『MRJ』の計画自体が経産省の提案で、三菱が引き受けた事業のため、“最後は親方日の丸”の甘さがあるのかもしれません」(同) 完全な国産ジェット機が世界の空で活躍するのは、いつの日か。
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社会 2018年06月07日 08時00分
大噴火も現地平穏! ハワイ人驚きののんびり気質
米・ハワイ州ハワイ島にあるキラウエア火山の噴火で初の人的被害が出た。溶岩流出で飛び散った噴石が民家の屋根で作業していた男性の左足首を直撃し、高温と衝撃で膝から下がほぼ切断状態になったという。 「この民家は溶岩が噴き出ている亀裂から200〜300メートルしか離れておらず、避難していないことに驚きました」(気象予報士) 被害を受けているエリアのニュース映像は、道路へ溶岩が流れ込んでいる様子ばかりが映されており、そのため日本では、ハワイ島が溶岩で埋まってしまうかのような騒ぎだ。ところが、西部ケアホレにあるエリソン・オニヅカ・コナ国際空港や東部のヒロ国際空港は通常通りの営業が行われており、ハワイ州観光局は現時点で観光への影響はないと発表している。緊迫感はあまりない。 「観光客が多く訪れる州都ホノルルやワイキキのあるオアフ島からハワイ島までは、飛行機で40〜50分。直線距離で約350キロ、東京から名古屋を超えるくらいの距離があります。ホノルルにある日本総領事館も周辺に暮らす日本人や日本人観光客に『十分注意をするように』と注意を喚起するくらいで、避難や待機などの指示は出ていません」(在ホノルル通信社記者) キラウエア火山から噴出する溶岩の種類も日本の火山とは違うようだ。 「例えば、鹿児島県の桜島の火山灰の場合、車に積もったりしますが、ハワイ島のそれはドロドロとしており、速度も時速数センチ。“カタツムリより遅い”と揶揄されているくらいです」(同) それでも人によっては目のかゆみやくしゃみ、のどの痛みを感じる場合もあるという。ハワイ旅行の予定のある人はマスクを持参した方がよさそうだ。
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社会 2018年06月06日 08時00分
高利貸しと化したスルガ銀行の闇! 拡大するシェアハウス破綻騒動
5月22日、シェアハウス運営のゴールデンゲイン(株)が東京地裁から破産手続き開始の決定を受けた。シェアハウス業者の破産は『かぼちゃの馬車』を運営する(株)スマートデイズに続き2社目だ。ゴールデンゲインのオーナー約100人の大半もスマートデイズと同様、スルガ銀行から購入資金の融資を受けていた。 「販売会社の口車に乗せられ、1億円のローンを組んだ。昨年末から賃借料の支払いがなくなり、返済に窮している」 このように話すシェアハウスオーナーたちの平均年収は約700万円ともいわれている。常識で考えれば、年収700万円のサラリーマンに1億円の融資をする銀行はないだろう。しかし、シェアハウス購入時に販売協力会社が審査書類の改ざんを行い、高額の融資はすんなりと通った。その上でスルガ銀行は、融資を条件に物件購入と無関係の無担保ローンや定期預金、金融商品の抱き合わせ販売も行っていたという。 「通常、個人向けローンの審査では、預金残高証明のコピーと通帳の原本を確認するよう義務付けられています。おそらく改ざんした業者と銀行担当者はグルなのでは」(メガバンク社員) 多くの地方銀行が業績悪化に陥り、合併や再編が相次ぐ中、スルガ銀行はリスクの高い個人向け融資で収益を上げてきた経緯がある。 「スルガ銀行は他の銀行がやらない高リスク案件を積極的に手掛けていました」(経済アナリスト) 個人向けローンの需要が低迷する間に、シェアハウス融資の“旨み”にのめり込んでいったのだろうか。 「とにかくノルマに追われ、営業成績が上がらないとつるし上げられる。シェアハウスは1人当たりの融資額が1億円、融資条件に高金利の無担保ローンを抱き合わせて販売するとノルマが達成しやすくなる。上司も見て見ぬふりです」(元スルガ銀行社員) スルガ銀行はシェアハウス融資の関係者を退職させ、金融庁の検査忌避と証拠隠滅を図っているようだが、甘い汁を吸った分、厳しい行政処分を免れることはできないだろう。