「販売会社の口車に乗せられ、1億円のローンを組んだ。昨年末から賃借料の支払いがなくなり、返済に窮している」
このように話すシェアハウスオーナーたちの平均年収は約700万円ともいわれている。常識で考えれば、年収700万円のサラリーマンに1億円の融資をする銀行はないだろう。しかし、シェアハウス購入時に販売協力会社が審査書類の改ざんを行い、高額の融資はすんなりと通った。その上でスルガ銀行は、融資を条件に物件購入と無関係の無担保ローンや定期預金、金融商品の抱き合わせ販売も行っていたという。
「通常、個人向けローンの審査では、預金残高証明のコピーと通帳の原本を確認するよう義務付けられています。おそらく改ざんした業者と銀行担当者はグルなのでは」(メガバンク社員)
多くの地方銀行が業績悪化に陥り、合併や再編が相次ぐ中、スルガ銀行はリスクの高い個人向け融資で収益を上げてきた経緯がある。
「スルガ銀行は他の銀行がやらない高リスク案件を積極的に手掛けていました」(経済アナリスト)
個人向けローンの需要が低迷する間に、シェアハウス融資の“旨み”にのめり込んでいったのだろうか。
「とにかくノルマに追われ、営業成績が上がらないとつるし上げられる。シェアハウスは1人当たりの融資額が1億円、融資条件に高金利の無担保ローンを抱き合わせて販売するとノルマが達成しやすくなる。上司も見て見ぬふりです」(元スルガ銀行社員)
スルガ銀行はシェアハウス融資の関係者を退職させ、金融庁の検査忌避と証拠隠滅を図っているようだが、甘い汁を吸った分、厳しい行政処分を免れることはできないだろう。