社会
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社会 2008年10月29日 15時00分
麻生首相クリスマス解散か
衆院解散総選挙の先送りを周辺に伝えたばかりの麻生太郎首相が、クリスマス解散を打つ可能性がささやかれている。民主党の反攻態勢に追い詰められるのは必至。そこで、来年度予算案の編成作業をクリスマスイブまでに終え、年明け早々に選挙になだれ込むプランがあるという。 年の瀬が押し迫る中での解散は、国民有権者にとってはとんだクリスマスプレゼントだ。しかし、ねじれ国会での政権運営は厳しく、解散を遅らせれば遅らせるほど追い詰められる。 28日の参院外交防衛員会でさっそくその典型的事例があった。突然、カップめん1個の市場価格を尋ねられた麻生首相。「400円ぐらい?」と思いっきり間違えてしまった。ヤマを張ってでも答える度胸は買うが、世間知らずのセレブぶりをみせつけた格好。質問した民主党の牧山弘恵氏から「170円ぐらい」と指摘されて苦笑い。庶民派をアピールしようと19日に都内のスーパーを視察した“予習”は全く実らなかった。 29日の朝刊スポーツ紙各紙は、当然ながら社会面でこのエピソードを大きく取り上げた。これではクイズ番組でボケ回答を連発するおバカタレントである。当面の解散見送りに“話が違う”と反攻姿勢に転じた民主党が、今後はカップめんの値段を聞くにとどまらず、あの手この手で首相を締め上げるのは確実だ。 首相は記者団に「政局より政策」と繰り返すばかりだが、実際のところはボロが出まくって求心力が低下する前に、解散を打つ必要性に迫られている。 次年度予算案は毎年、12月24日のクリスマスイブごろまでに編成されるのが通例。このあと事実上の正月休みに入る。首相の「政治空白をつくらない」方針に従えば、通常国会が召集される来年1月中下旬までの休み期間中に、解散総選挙を打てば大義名分は立つ。 与党内では、この期間を利用して、「麻生カラー」を反映させた来年度予算案編成直後に解散に踏み切る“クリスマス解散”説が浮上。この場合は、1月6日公示〜18日投開票の日程が有力という。街中がジングルベルで浮かれモードの好機とみられる一方、資金繰りにあえぐ中小零細企業の神経を逆なでする危険性もはらんでいる。 逆にこの機を逃せば、あとは来年度予算成立後の来春か、来夏の東京都議選とのダブル選挙、来年9月の任期満了選挙のいずれかとなる。公明党は都議選の前後3カ月は避けたい意向。クリスマスに“麻生サンタ”はやってくるか?
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社会 2008年10月28日 15時00分
小沢代表“戦術切り替え”の勝算
民主党の小沢一郎代表が再始動した。麻生太郎首相は28日までに、解散総選挙を年明けまで先送りするという本音を周辺に伝えた。金融危機対応という名目も立つことから、与党内で次期衆院選の越年方針が強まった。 さんざんじらされた民主党は、審議促進戦術から正面対決戦術に切り替えた。これで政局は再び振り出しに戻ったかたちだが、小沢氏はすでに麻生首相を追い込む急所を握っているという。 民主党にとって悩ましいのは、いまさら強硬戦術に切り替えることが国民の支持を得られるかどうか。新テロ対策特別措置法改正案について「早期採決」から「議論をつくす」と態度を一変させるような対応は、解散総選挙に向けて悪影響を招きかねない。麻生首相がここぞとばかりに“民主党はおかしい”と自己チューぶりを糾弾することは目に見えている。 ねじれ国会である以上は結局、麻生首相も福田前首相と同じような苦境に直面する。野党に抵抗されて思うように法案を成立させられず、苦虫をかみつぶすしかない。それを避けるためには、民主党を徹底的に悪者に仕立てあげ、少しでも内閣支持率を上げて解散を打つしか手はない。 しかし、永田町関係者は「小沢氏もまたそんなことは百も承知。それでも勝算があるから対決路線に戻すのだ」という。 「麻生首相は強いリーダーシップを発揮しようと思うあまり、鼻につくほど高圧的な態度を取り続けている。ホテルのバーで飲食しまくっていた件でも、必要以上に記者を見下して『答えろ!』などと迫った。小沢氏にしてみれば、麻生氏の攻めどころが分かったうえに、逆ギレしやすいという弱点までつかめた。このへんを徹底的に攻めるでしょう」(同関係者) 首相は結果責任が問われるもの。金融危機対応や景気対策を優先して解散総選挙を先送りするのは結構だが、国民にとっては結果がすべてだ。景気がよくならなければ麻生氏の判断、手腕に疑問符をつけざるを得ない。 野党党首である小沢氏はその点、結果を問われないから好きなように批判できる。“じゃあ、あんたやってみろよ!”と言わせるまで、ネチネチと麻生首相をいたぶる可能性がある。 解散越年を決めた首相に対し、公明党は粘り強く説得する構え。来年夏の都議選は同党にとってきわめて重要な戦いであり、なるべく選挙間を空けて臨みたい。麻生首相の政権運営が見ものだ。
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社会 2008年10月27日 15時00分
麻生首相 ヲタク層に“モテ術伝授”で決起呼びかけ
アキバ好きの麻生太郎首相(68)は26日、東京・秋葉原で就任後初の街頭演説を行った。一部ヲタク層から熱烈支持される首相は、マスコミ批判を織り交ぜながら「日本は意外と元気」と強調。漫画話でハートをつかみ、明るい顔をしたほうがモテるとしてアキバ系に“カラ元気決起”を呼びかけた。漫画家とのトークイベントにも参加。解散の「か」の字も出さず、今週中にも決断するとみられた解散総選挙を封印する気配が濃厚だ。 JR秋葉原駅電気街口前は押すな!押すな!の人だかり。6月の秋葉原無差別殺傷事件の犠牲者に黙とうをささげ、午後4時半、麻生首相が演説カーの上に登壇すると、大観衆から「あ・そ・うっ!あ・そ・うっ!」とコールが沸き起こった。 首相は、2年前の自民党総裁選での秋葉原街頭演説を振り返りながら、「なんだか知りませんが、アキバにはえらくウケた。おかげさまであれからブレークして、みなさまの応援で内閣総理大臣にさせていただきました。自民党総裁になって初めてやる街頭演説はまずアキバから始めたいと、御礼かたがたやってまいりました」などとあいさつ。選挙区は福岡なのに、まるで“凱旋演説”だった。 「アキバはそうでもないけど、世の中を明るくしたい。円高だって悪いことばかりじゃない。いいところも考えないと。新聞は悪いことしか書かないからね」 観衆からは拍手の嵐。マスコミが辛気くさいムードをつくっているとする論法で、ヲタク層がマスコミに手厳しいネット世論の担い手であると熟知しているようだ。 「世界からいま最も期待されているのは日本であることだけは間違いない。経済力をバックにした外交は日本の大きな力になる。外交と経済では麻生太郎が最も使えると、オレ自身はそう思っているんだけどね」と大見えを切った。 さらに「若いヤツが70歳ぐらいのオレたちみたいな顔をして、日本の将来は暗いみたいな顔をするなって。だいたいそういう暗い顔をするヤツはモテない。明るい顔をしろ、明るい顔を。そうしなきゃ話にならん」とモテ術を伝授。沸き立つヲタク層に畳み掛けた。 「アキバに来ると元気をもらえるんでよくフラフラ歩いてたけど、ついて来るのがいっぱいいて歩きにくくなった。暴力団の組長が子分連れて歩いているみたいに思われてもかなわねえなあ、って。窮屈になって時間も制限されて、おかげで漫画も読みにくくなりました。もう日曜日だっていうのに、先週出た『サンデー』と『マガジン』は読み終えたけれど、『ジャンプ』と『モーニング』までまだ届いていない」 観衆は大盛り上がり。首相はさも得意げな表情で「麻生太郎のニコニコしたツラが見られないと言われるけど、ニコニコすると『まじめじゃない』とかありとあらゆるイチャモンがつくのでしょうがない。で、ニコニコ動画を始めました」とアキバ系ネタを連発した。 約25分間熱弁を振るう中、関心の的である解散総選挙の話は一切なかった。「マスコミが書く以上に日本は意外と元気。意外と世界の評価は高い」と繰り返し、最低賃金引き上げや雇用問題を含めた景気対策に取り組むと訴えた。 11月18日公示〜30日投開票が有力とみられていたが、日程的にみて今週中にも決断しないと間に合わない。選挙演説どころか、民主党批判も小沢代表批判もなし。登場すらさせなかった。総選挙先送りを見据えた演説内容といえる。 首相は続けて駅前ビルで開催中の「秋葉原エンタまつり」に参加。愛読書「ゴルゴ13」の漫画家さいとう・たかを氏、弘兼憲史氏とトークイベントを行い、さながらアキバジャックの様相だった。
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社会 2008年10月25日 15時00分
石原都知事が舛添厚労相と妊婦死亡問題で責任のなすり合い
脳出血を起こした東京都内の主婦(36)が8病院に受け入れを拒否されて出産後に死亡した問題で、石原慎太郎都知事(76)は24日の定例会見で、「東京に任せてられない」と発言した舛添要一厚労相(59)に猛反論。「東京に任せてられないんじゃない。国に任せてられないんだよ!」とやり返した。1999年4月の都知事選で激突した両氏による責任のなすり合いの様相を呈している。 「あの人(舛添氏)は大見え切ったつもりでいつも空振りする。現場を踏んで、起こった事実をちゃんと分析して、掌握した上でものを言ってもらいたい。一国の大臣なんだから。年金の問題でもいつも大見え切るけど、いつも空振りして、違うデータ出てきて、結局彼が国のけしからん役人を代弁しているみたいな印象にしかうつらないじゃない。今度も病院行ったあとで随分トーンダウンしたじゃないですか」 事の発端は、舛添厚労相が同日午前の閣議後会見で、国に報告を上げなかった都の姿勢などを問題視して「東京に任せてられない」と“上から目線”で吐き捨てたことにある。その足で妊婦受け入れをいったんは断った都立墨東病院(墨田区)を視察すると、医師不足による構造的問題との見方を示し、全国の周産期医療センターをチェックする考えを述べた。 石原知事は、国に報告しなかったことについて「あの人(舛添氏)が事態を掌握していない証拠に、これは医療事故じゃない。それ(医療事故)だったら報告する責任ありますけど、どう考えてもER(エマージェンシー・ルーム)として処置してますしね」と強調。同院は、石原知事が救急医療革命として7年前に立ち上げた「東京ER」第1号病院。ケチをつけられて黙っていられなかった。 「東京に任せてられないんじゃない。国に任せてられないんだよ!厚労省の医療行政が間違ってきて、お医者さんのなり手がいなくなってきた。こういう事態つくったの国じゃないですか。国に任せてられないんだよ」と医師不足を招いた国の責任を問い返した。 さらに、舛添氏に向けて「国に任せてたらこういうことになっちゃったんだよ。反省してもらいたいのは厚労省。大臣さまがモノを言うならもう少し冷静に頭を冷やして言ったほうがいい」と反論。今回の問題はレアケースだったとして「こういう万、万、万が一の事態ってのはなかなか想定しにくい。それでもお医者さんの数が多かったら、ここまで至らなかったかもしれない。その医者の数増やすのは国の責任だ」と追い詰めた。 よほど我慢ならなかったのか、「舛添くん、しっかりしてもらいたいよ本当に。あんまり国に任せてらんないね」と繰り返した。 舛添氏は99年都知事選で圧勝した石原氏の前に3位落選。昨年夏、社保庁や社会保険事務所職員による年金着服問題で市町村は信用ならないなどと発言し、関係のない市長の反発を「小人の戯れ言に付き合ってるヒマはない」と切り捨てた。小人扱いを「バカ市長と言うよりいい」などと述べ、その後、発言を撤回している。 歯に衣着せぬ両氏だけに舌戦が続く心配もある。責任の所在ははっきりさせなければならないが、まずは再発防止策を講じることを優先すべきだろう。○ホンダに乗り込む 三宅島バイクフェスタで“ホンダ妨害疑惑”を訴えた石原知事は24日の会見で、あらためて同社に抗議する意向を示した。 「この問題はやっぱりホンダのおごりだと思う。下っ端の重役とか部長に会ったってしょうがない。いまの社長がどんな人か知らんけど、私とにかく抗議に行きます」と同社に乗り込むという。 17〜19日に開催された同フェスタで、ホンダが広告出稿をだしにバイク関連雑誌などに圧力をかけ、取材妨害したなどと主張。「命張っても戦う」と宣言した。同社は疑惑を否定している。
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社会 2008年10月21日 15時00分
三浦元社長「他殺説」にロス市警猛反論
1981年の米ロサンゼルス銃撃事件で逮捕され、ロス市警留置場で自殺したとされる三浦和義元社長(61)=日本では無罪確定=の死因をめぐり、三浦氏弁護側が「他殺説」を主張。そう簡単に幕引きとしない気配をみせている。これに対し、ロス市警は20日(日本時間21日未明)、記者会見を開き、「自殺以外の証拠は一切ない」と猛反論。自殺だったとする見解をあらためて示し、他殺説の火消しに躍起になってた。 三浦氏の“獄中死”をめぐっては、弁護側が訴える他殺説のほかにも諸説飛び交っている。 裁判で有罪となった場合に収容される米カリフォルニア州刑務所の劣悪環境に絶望して自殺したのではないかとする見方や、狂言自殺失敗説まで浮上。信ぴょう性はともかく、それだけ、だれもが三浦氏が唐突に死を選んだことに違和感を覚えているわけだ。 さらに、最新(10月31日)号の「週刊ポスト」は、カリフォルニア州の留置場施設で昨年1年間に6件もの不審死が報告されているとする衝撃記事を掲載。うち3件は殺人事件として係争中という。今月10日の三浦氏自殺の一報から、日を追うごとに自殺の謎は深まるばかり。おいそれとロス市警発表を鵜呑みにできない状況にある。 ところがロス発の共同通信によると、市警は20日に会見を開き、自殺との見解をあらためて示した。遺体に殴打によるものとみられる傷や、首を絞められてできた可能性がある血腫がのどにあったと弁護側が主張したことについては、ロス市警は「遺体の調査はロス郡検視局が行っており、われわれではない」としてコメントしなかったという。 他殺説がぶちあげられるやすぐに会見し、否定する割には、弁護側が訴えた不審点にはまともに答えていない。自殺と納得できる新たな根拠も示さなかった。 三浦氏弁護人のマーク・ゲラゴス氏は19日、遺体を司法解剖したロス郡検視局に見落としがあったとして、再度の解剖を求めたものの、あっさり拒否された。ロス捜査当局は、三浦氏が日本では無罪が確定していることの重みを分かっていないと言わざるを得ない。 ゲラゴス氏は20日に連邦検事に捜査を申請するとしており、ロス市警を相手に法的措置に踏み切る可能性も出てきた。 三浦氏弁護側の「他殺説」は、独自に依頼した病理学者が遺体を調べた結果、自殺でなく他殺だったと結論付けたとするもの。ゲラゴス氏が19日にAP通信に明かした。
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社会 2008年10月21日 15時00分
三宅島バイクフェスタ'08取材後記 たしかなステップとなったか?
観光客誘致の起爆剤として期待のかかる「チャレンジ三宅島'08 モーターサイクルフェスティバル」が19日、3日間の日程を終えて幕を閉じた。昨年に続き2回目の今回は、ホップ・ステップ・ジャンプでいえば「ステップ」にあたる。“バイクの島”として全国のライダーを呼び込むため、確かな弾みはついただろうか? 石原慎太郎東京都知事は、ホンダが2輪専門誌取材を封じたとする“圧力疑惑”をぶちまけ波乱の幕開けとなった。ホンダは疑惑を否定。両者の言い分は対立している。 ある2輪雑誌関係者は「業界では有名なウワサ。ホンダはあまりに強すぎる」と石原説を支持。別の関係者は「広告出稿を止められたら死活問題だけど、編集の末端にはそんな圧力はかかっていない。そこまでホンダさんがするとも思えない」。2日目から島に乗り込んだバイク雑誌取材チームもあり、真相究明には時間がかかりそうだ。 主催者発表によると、準備期間を含めた16〜18日の来島者は831人。昨年の同条件では909人(東海汽船調べ)だったから、やや減少したことになる。三宅島空港の運航を丸1日止めて実施したドラッグレース観戦者は約530人(昨年は約450人)と増加。サイドカーに乗った知事を先頭とするオープニングパレードは、68台のバイクを約1100人の島民らが沿道で見守った。 空港閉鎖中だった昨年は派手なサーキットを設営したドラッグレース会場は、やや簡素になった印象。その日のうちに設営・本番・撤収のすべてを完了しなければならないため、凝ったことができなかったという。一方の島民は、観戦者数が示す通り、2度目の開催を迎えてバイクへの親近感が増したようだ。 島で家電販売店を営む男性(85)は、時速300キロ超のマシンをのぞき込みながら「これはゆっくりは走れないの?」などとレーシングチーム関係者に質問。若いころは250ccの中型バイクに乗っていたという。 バイクに興味を持つ生徒を引率した三宅高校の男性体育教師(32)は、「生徒が不良になる心配?それは大丈夫。三宅の子はいい子ばっかりですから」と笑い飛ばした。“三宅のアッキーナ”と呼ばれる女子高生(16)は、「昨年仲良くしてもらったライダーがまた来てくれた。私のことを覚えていてくれたのがうれしい」と興奮気味。ほかのライダーともメール交換するなど交流が続いているという。 バイク雑誌のライターは、来年以降に改善すべき点について「愛車を運ぶフェリーの手配が最優先。ドラッグレースの観客席も遠すぎる。国産メーカーはオフロード大会ならば喜んで協力するはず。このままだと先細りが心配だ」と話す。 2年連続で参加したハーレーダビットソンジャパン広報の増田勝也さんは「輸入車メーカーと国産メーカーはほとんど横のつながりがない。行政が音頭をとって、オフィシャルな場でイベントのよりよい方向性を探る協議はできないか。三宅島復興に役立ちたいし、業界全体が若者のバイク離れに危機感を抱く中、これだけ島民が歓迎してくれるのだからなんとかしたい」と調整の必要性を訴えた。 英マン島TTレースを視察し、当初、公道レース実現にムキになっていた知事は「屈曲が激しくて幅員が少なくて難しいと思う。2輪を使ったおもしろい出し物はまだほかにもあるだろう」とこだわりを捨てた。ケンカの決着のつけ方が、来年以降の成否を左右しそうだ。
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社会 2008年10月20日 15時00分
麻生首相支持率下落で解散できない、女性票狙いのスーパー視察も焼け石に水か
麻生太郎首相は19日、都内のスーパーを視察し、庶民派宰相を猛烈アピールした。しかし、共同通信の世論調査では内閣支持率は42.5%と9月下旬の前回調査から6.1ポイント下落。与党内では「11月18日公示〜30日投開票」の衆院選日程が有力視されていたが、ついに解散を打てない苦境に陥ってしまった。 これほど分かりやすいパフォーマンスに国民がだまされるはずがない。麻生首相が視察したのは、西早稲田のスーパー「三徳西早稲田店」。自分の目と足で物価高にあえぐ庶民の暮らしを確認し、今後の政策決定に反映させるというのが表向きの狙いだ。 しかし、共同通信が18〜19日にかけて実施した世論調査では、こうした小手先の苦労も実らず内閣支持率はダウン。そればかりか「経済政策に期待が持てない」とする理由を筆頭に、不支持率が前回調査から6.1ポイント上昇して39.0%に達してしまった。もはや支持率&不支持率の逆転は時間の問題だ。 同調査では、民主党支持層の53.7%が11月総選挙が望ましいと答えているのに対し、自民党支持層はわずか18.2%。来春もしくは任期満了まで先送りを求める声が計75%近くあった。与党内の空気とは異なり、自民党支持層は、解散すれば野党転落の悲劇が待ち受けていることをよく分かっているのだろう。 いまとなっては、内閣発足直後に解散しておけばよかったものを…と嘆くしかない。スーパーを何軒回ろうと、そう簡単に支持率上昇は見込めない。与党が選挙に勝つことを前提とする限り、当面、解散するタイミングはなくなったといえる。 ただ、一筋の光はある。同じ調査で麻生首相と小沢一郎代表のどちらが首相にふさわしいかという「党首力対決」では相変わらず麻生氏がリード。特に女性では、小沢氏に3倍近い大差をつける圧勝だったから、視察先にスーパーを選んだのは正しい選択だった。主婦目線の改革が期待できるとして、多少は女性票の伸びが期待できるからだ。 麻生首相はスーパーで一般客にまじり、乳製品や鮮魚、冷凍食品のコーナーを約15分ほど見て回った。パスタコーナーでは「小麦が上がったからね」と値上げを実感。好物のカステラを試食し、米粉を使ったカステラを購入する場面もあった。さらにJR高田馬場駅前にも立ち寄り、客待ちのタクシー運転手から売り上げ減少の話を聞いた。 一方、小沢氏は、東京・原宿のスタジオでタレントの上原さくらさんが司会を務めるインターネット番組に出演。「(政権が変われば)日本は相当変わる」と強調した。こちらは不人気を意識してか、普段の仏頂面をひっこめてスマイルを絶やさなかった。 しばらくはパフォーマンス合戦が続きそうだ。
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社会 2008年10月18日 15時00分
石原都知事 HONDAに宣戦布告
三宅島復興の起爆剤として石原慎太郎東京都知事(76)が期待するバイクイベント「チャレンジ三宅島'08モーターサイクルフェスティバル」が17日から3日間の日程で開幕した。昨年に続き2回目。島に乗り込んだ知事は島民ら約150人の観衆を前に、イベントへの協力を拒んでいる国内4大バイクメーカーの中から本田技研工業(本社東京都港区、福井威夫社長)の社名を挙げてケンカ状をたたきつけた。ホンダがイベントを潰そうと裏工作を仕掛けたという。同社は本紙の取材に「事実無根」と回答しており、石原VSホンダが開戦した。 知事は17日昼に三宅島に上陸。阿古地区で行われたイベント開幕のステージに立つと、挨拶もそこそこにホンダへの怒りをぶちまけた。 「世界で1位か2位か知らんけど、日本1位のホンダってメーカーが、この大会を意識的に妨害してるんだよ。モーター関係のメディア、雑誌、新聞がこの取材(記事)を載っけたら、絶対に広告を出さないと言い渡しているんだ。こんな汚いやり方ってあるか? 小さな島が噴火災害の復興に立ち上がろうとするのを、なんでホンダみたいな大企業が潰そうとするんだよ。許せないよっ!」 知事の尋常でない怒りようは行動パターンからも分かった。挨拶前に記者団を見つけると珍しく歩み寄って“ホンダ圧力疑惑”をリーク。 ところが、挨拶でさっそく暴露したため、まったく意味がなくなった。その後の個別質問にはまともに答えず、すべてホンダへの怒りにつなげたほどだ。 「楽しい行事をやっているのに、なんの沽券(こけん)か知らんけど潰そうとして、言論統制だろコレ?人間の自由を奪ってるんだろ? 見たいものを見させない。報道したいものをさせない。こんなのは絶対許さない。私、命を張っても戦う。みんなも戦うぞ、一緒に!」 にぎやかなイベントを楽しみにしていた高齢者らは、突然の宣戦布告にあっけにとられるばかり。 三宅島バイクイベントをめぐっては、昨年11月の第1回フェスタ前に、ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキの大手国内メーカーが撤退。公道レースに多少のリスクはつきものとする知事に対し、メーカー側は安全性確保にこだわって決裂した経緯がある。 知事は「近いうちに社長と会って、文句を言ってやるよ。恥をかくのは向こうだから」と直接対決まで宣言した。 一方、ホンダ広報部は「8月に都から『資金力を使って協力的なマスメディアに圧力をかけている』などとする抗議文書が来たので、そういった事実はありませんと、すぐ文書で返しました」と話す。昨年の撤退決定時に08年も参加しないと伝達済み。来年以降については、正式な協力要請が届いていないこともあって即答できないという。 知事発言は複数の情報源によるものというが、「大相撲の八百長疑惑のように証拠がない」(知事)。しかし挨拶で「記者なんて、きょうひとりも来ていないよ」と激情のままに述べたのは言いすぎ。期間中、本紙を含む16社33人が取材エントリー。著名なバイク雑誌も入っている。第1回の昨年よりメディア数は減ったが、各社でニュースバリューの判断は異なるため、一概に妨害があったとは言い切れない。今後のホンダの出方が注目されるところだ。 豪雨に見舞われた昨年のフェスタでは、知事は開催に反対した共産党に向け「悔し涙を降らせたけど、みんなの念願がかなって晴れた。ざまあみろってんだ」と述べた。 ハーレーダビットソンの炎のヘルメットをかぶり、サイドカーに乗り込んだ知事は無邪気にピースサインを連発。しかし走り終えての感想は「スピードが遅すぎたな。オーバーヒートしちゃったよ(笑)」。どうにも怒りの収まらない様子だった。○“空飛ぶ新種目”に観衆興奮 圧力疑惑の火種である公道レースは2年連続で実現しなかった。しかし新たな目玉として、坪田地区のプロライダーによるフリースタイル・モトクロス(FMX)が加わった。 7月にお台場で開催したプレイベントと同様、高さ10メートル以上のアクロバットジャンプを連発するたびに観衆が沸く。最高到達点での後方宙返り。小さな男の子が「すげえ」と目を剥いた。派手さでは、速さと爆音のドラッグレースに負けず劣らずで、陽気なMCが会場を盛り上げた。 神着地区ではライディング技術を競うトライアル・デモンストレーションが行われ、国際A級ライダーが岩を駆け上がった。バイクパレードを見守る沿道の島民は小旗や手を振って歓迎した。親子バイク体験教室や、オリエンテーリングのようにバイクで島内各ポイントを回るチャレンジツーリングも新設された。 18日には、4月に空路が再開された三宅島空港を封鎖し、国内最長の402.33メートルの滑走路で1対1でラップを競うドラッグレースを実施。昨年は日本モーターサイクルスポーツ協会(MFJ)公認の全日本選手権として開催されたプロストックバイククラスは、最速300キロ超の目玉競技ながらMFJ承認競技会にランクダウンした。また18日朝現在までに、サーキットの華であるレースクイーンの来島は確認できていない。
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社会 2008年10月16日 15時00分
石原都知事 歌舞伎町浄化作戦第2幕 コマ劇場で「みかじめ料等不払決起大会」
暴力団の資金源とされる“みかじめ料”を撲滅する動きが活発化している。東京都新宿区や警視庁新宿署などが主催する「みかじめ料等不払決起大会」が先ごろ、新宿・歌舞伎町のコマ劇場で開かれた。歌舞伎町のホストら約1000人が集結。暴力団の手口を公開するDVDも作成された。石原慎太郎都知事は「ヤクザはヤクザでしかない!」などと声を荒らげ、あらためて対決姿勢を鮮明にした。 決起大会は2006年末に続き2度目。石原知事の大号令による歌舞伎町浄化作戦は、04年末に関連都条例を整備して、悪質な客引きや不法滞在の外国人、裏DVD店の摘発などに血道をあげてきた。会場には閉鎖の決まったコマ劇場が選ばれ、歌舞伎町再生への決意がうかがえる。浄化作戦第2幕の着手とみていい。 地元関係者は「周囲に暴力団関係先がひしめくコマ劇場でこうした大会を開くのは、正直言って度胸のいること。阪神ファンの応援席に飛び込んで巨人を応援するようなものですからね。それでもあえて強行した覚悟はある」と耳打ちする。 同劇場前には「みかじめ料不払決起大会」の看板がデカデカと掲げられた。入場口には金属探知ゲートを設置。拳銃や刃物を隠し持った“鉄砲玉”を警戒し、ハンドバータイプの探知機も複数そろえた。会場内には一目でそれと分かる目つきの鋭い私服警察官が多数、配置された。 あいさつに駆け付けた石原知事は、警察サイドから事前レクチャーを受けた情報として、暴力団はいまも都内に600組織(組員約1万7000人)あり、うち歌舞伎町には50事務所約1800人の暴力団員がいることを指摘。「これは大変な数字」として、浄化作戦のふんどしを締め直しにかかった。 「みかじめという言葉を辞書で引き直してみたら『取り締まる』『監督する』という意味だった。何を取り締まり、監督するんですかね。ヤクザなんて、こっちが取り締まって監督しなくちゃいけない連中が、何を勘違いしてか、みかじめと称して、善良な都民から上前を撥ねるなんて言語道断な話」などと激怒した。 さらに、会場を見渡しながら「この中にもヤクザが潜んでいて、スパイしてるヤツがいるかもしらんけど、日本人はヤクザってヘンに好きですな。映画で東映が流行らせたもんで、ヤクザっていうと男の生きる道みたいに考えてるけど、ヤクザはヤクザでしかない!任侠とかなんとか言って、人に迷惑を掛けないで良いことして生きてるヤクザなんて聞いたことがない」とばっさり切り捨てた。 石原知事は後日、歌舞伎町ばかりでなく、渋谷、池袋などの繁華街でもみかじめ不払い決起を検討する考えがあることを明かしている。作戦第2幕は都内全域の暴力団一掃を狙うのか。歌舞伎町がおとなしくなったことを「好転」ととらえており、夜の繁華街をターゲットに作戦に拍車が掛かりそうだ。 同大会の主催者には、周辺地域の商店街などでつくる新宿繁華街犯罪組織排除協議会が名前を連ねている。新宿歌舞伎町ホストクラブ協力会(SHA)もその一員で、会場にはホストが大量動員された。「店長に『行け』と言われた」ケースが目立ち、暴力団撲滅イベントに茶髪のホストが集結するのは異様な光景だった。 22歳の茶髪のホストは「言われているほどヤクザとのトラブルはないけど、石原知事が味方なのは心強いですね」と話し、青パトや警察官に先導されて街頭パトロールに繰り出した。○“3ないスローガン”で暴力団の資金源を断つ みかじめ料とは、縄張り内での用心棒代金という意味合い。店舗におしぼりを納入したり、植物プラントリースなどを介して“集金”されるケースもある。決起大会はこうした暴力団の資金源を断つのが最大の狙い。 8月施行の改正暴対法では、みかじめ料要求行為で暴力団トップに損害賠償責任を負わせることができるようになったほか、自治体の暴力団排除活動への支援義務も盛り込まれている。 大会では中山弘子新宿区長、高松義典新宿署長らがあいさつ。みかじめ料等不払決起文が高らかに読み上げられた。 中山区長は「歌舞伎町は繁華街の環境浄化対策のモデル地区として全国から注目を集めている。だれかの弱みにつけ込んだり、脅したり怖がらせたりして利益を得ている犯罪組織が存在している地域には、持続的な発展は決して望めない」と決意表明。 高松署長は「新宿の暴力団構成員は、表面的には若干ながら減少傾向にある。しかし資金源の獲得手段は巧妙化し、私どもの目になかなか見えづらくなっている。みなさまには裏表のない強い信念をお持ちいただきたい」と協力を要請した。新宿署では今年、みかじめ料の要求行為で15件の中止命令を出しているという。 ドラマ仕立てのDVD映写では、脅し役となだめ役に分かれて、みかじめ料をむしるなど暴力団の主な手口を公開。大人数での交渉や録音、最初に時間を区切るなどの回避術が紹介された。 暴力団に対して「恐れない」「金を出さない」「利用しない」という“3ないスローガン”が繰り返し叫ばれた。○これだけ仲間がいるから怖くない 新宿繁華街犯罪組織排除協議会の防犯ポスター「私は、暴力団なんて認めない。断る勇気、断ち切る勇気」でモデルを務めているのは歌手の中澤京子さん(26=写真上)だ。 モデルと見まがう美貌のミュージシャンで、新宿・歌舞伎町をホームグラウンドにライブ活動している。浄化作戦の一環でもある街のゴミ拾いなどにも積極的に参加している。今回のポスターのモデルもノーギャラで引き受けた。 中澤さんは「みんなで団結しようということですし、これだけ仲間がいるから怖さとかは感じないです。この街のためになることなら喜んで協力したい」と話した。一緒にパトロールしたホストからは、「かわいい〜」の声も上がっていた。
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社会 2008年10月16日 15時00分
混入ルート追跡「毒ギョーザ→北京五輪→毒インゲン」の怪
中国製冷凍インゲンから高濃度の殺虫剤ジクロルボスが検出された問題で、パッケージ袋に不自然な穴などは開いていなかったことが15日、警視庁の調べで判明。人為的混入の疑いが濃くなった。混入ルートを追跡する必要があるが、毒ギョーザ事件の影響でダメージを受けた中国食品輸出産業にとっては、あいだに北京五輪を挟んでまた大ダメージとなる。時系列でみると「毒ギョーザ→北京五輪→毒インゲン」という怪連鎖。混入犯の狙いは? 中国「煙台北海食品」製冷凍インゲンを食べて体調不良を訴えた被害者は、一時入院した東京都八王子市の56歳主婦のほかに千葉県柏市の男女2人が加わった。いずれも八王子市の主婦が食べたのと同じニチレイフーズが輸入した商品で、製造工程を示す番号や賞味期限も一致。それぞれ市内の別のスーパーで購入し、嘔吐したり舌がしびれたとして届け出た。 2人とも入院などはせず軽症というが、柏市と千葉県警は残留インゲンを回収して成分分析を急いでいる。 一方、八王子市の主婦が食べたインゲンのパッケージには、主婦がはさみで開封したほか故意に開けられたような痕跡がなかった。ニチレイフーズはインゲンを生産した中国の農場と冷凍処理した工場のいずれでもジクロルボスは使用されていなかったと発表。警視庁は人為的に混入された疑いもあるとみて混入ルートを追っている。 ジクロルボスはいつどこでだれの手によって混入されたのか?北京五輪前には、中国製毒ギョーザ事件が発生して日中両国に衝撃を与えたばかり。五輪閉幕から2カ月とたたず今度はインゲンが狙われた。事は食品衛生管理不行き届きにとどまらず、事件性が濃くなってきた。人為的混入であれば、犯行動機を含めた事件の全体像を一刻も早くつかむ必要があるだろう。 共同通信によると、煙台北海食品がある中国山東省は日本などへの食料輸出基地として知られる。現地に進出している日系食品企業からは「風評被害が広がらないか心配」との懸念がもれた。 関係者によると、中国の対日食料品輸出のうち山東省は約3分の1を占め、日本に距離的に近いことなどから多くの食品関連企業が進出。山東省当局は毒ギョーザ事件を受けて検疫を強化し、企業側も工場に監視カメラを設置するなど細心の注意を払っていたという。煙台北海食品は品質に定評のある企業だった。