社会
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社会 2008年08月16日 15時00分
石原知事が北京五輪開会式に痛烈ダメ出し
東京都の石原慎太郎知事(75)は15日、北京五輪開会式で歌うフリをしていた“口パク童女”林妙可ちゃん(9)や合成映像だった“CG足型花火”の演出が発覚したことについて「情けない」などと一蹴した。63回目の終戦記念日を迎えたこの日、石原知事は東アジア諸国が神経質になる靖国神社参拝を強行。2016年東京五輪招致に向け、政治的スタンスを貫くのか、友好ムード優先か、それとも是々非々なのか。今後の言動に注目が集まりそうだ。 「口パクNO!」は定例会見で質問に答えたもの。招致活動のため北京にジャンプ、開会式に出席した知事は「テレビに映った映像全部あれコンピューターグラフィックなんだってね。情けないというか、何ていうか、あの国ならではか、知りませんがね。嬉しい、楽しい、おめでたいってことは分かるけど、同じ中華料理3人前食わされるとうんざりするよな。長すぎた。口パクでも、花火を上空から撮ったあのシーンも、サッカレーの有名な小説の題名と同じだね」などと謎めいた言い方でダメ出しした。 英小説家ウィリアム・M・サッカレーの代表作「虚栄の市」を指しているとみられる。 イカサマ演出には中国内外から批判が噴出しており、12年ロンドン五輪を控える英メディアは「偽装五輪」(タイムズ紙)、「ロンドンでは健全な開会式を」(デーリー・テレグラフ紙)などと力説。見栄を張る必要はなかったとしている。 ただ、石原知事は微妙な立場にある。 もともとチベット問題を始め中国政府批判に舌鋒鋭い政治家として知られていたが、開会式後に「13億人の人口のすごさをひしひしと感じた」「体制に異論はあるが、ボランティアの学生がとても親切で礼儀正しく、若者が国家社会の前途に期待を持っていてうらやましい」などと感想を述べたため、中国メディアはこれを取り上げて「右翼分子の発言とは思えない。まるで中国の代弁者」と報じた。喜ぶべき変化と捉えているようだ。 一方では、さんざん批判してきた中国での五輪開会式に出席することなどを「変節」とし、反旗を翻した石原シンパの都議もいる。五輪招致には中国をはじめアジア各国の支援が不可欠で、微妙なかじ取りを迫られる。 こうしたなか、9年連続となる終戦記念日当日の参拝を済ませた石原知事は、その心境を「日本が衰運(盛運の反対語)に向かわんように」とだけ述べた。会見では、靖国参拝の質問を「またか。当たり前じゃないか行くの」とぴしゃり。招致活動への影響については「別に影響はないと思う。バカな質問しないほうがいいよ」などと猛烈にけん制した。 17日には再び訪中し、北京でのレセプションに出席予定だった。しかし、「夏風邪をこじらせ断食療養してますから勘弁させていただきます」とキャンセル。北京の開会式演出で東京五輪が実現したときにヒントになりそうなものは「ないね。全く違うことをやります」と言い放った。 本紙既報(10日付)の通り、北京の最終聖火ランナーがワイヤーアクションで空を飛んだのは、東京五輪の点火案で評価していた「空飛ぶ鉄腕アトム」とかぶった。意地でも似たような演出はできないということか。硬軟入り混じる石原知事に周囲はヤキモキさせられそうだ。○福田首相にも痛烈なダメ出し 前半を折り返した北京五輪で最も印象に残ったのは、北島の2冠2連覇でも星野ジャパンでもなく、福田康夫首相だった。 「金メダルを取ってくれた選手には絶大な拍手を送りたい」と端的に述べたうえで、「開会式で心外だったのは、各国の最高指導者がそろう中、自国の選手団が来て手を振らなかったのはうちの総理大臣と北朝鮮の代表だけ。これはどういうことなのか」と激怒。 「帰国して新聞を読んだら『せいぜい頑張ってください』って言ったそうだな。“あんた限界があるから、まあ”って感じにしか取れない。総理大臣が選手にかける言葉と違う。そのせいか日本勢あんまり奮いませんな。せいぜい頑張っているけども」と皮肉たっぷりに批判した。○北島のカラダはエロス 北島選手の活躍には「肉体だけじゃなしに精神もタフだ」と絶賛。 「男の涙を見せたくないから、タオルで顔ふくフリをして。美しいというか、感動的というか、ロゴス(理性)じゃなくてエロスの世界。肉体の美しさのね」と、その筋の人が聞いたらアブない発言だった。
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社会 2008年08月07日 15時00分
毒ギョーザ事件 チャイニーズネットユーザーの沈黙は中国政府のネット統制か
毒ギョーザ事件でブキミな新展開だ。中国製冷凍ギョーザにメタミドホスが混入した場所を「中国だ」「いや日本だ」となすりつけ合っていた事件は、6月に中国国内でも中毒を引き起こしていたことが7日までに分かり、真相究明に大きく前進。しかし、事件発覚当初は「北京五輪への妨害行為か?」などと騒いでいた中国のネットユーザーがやけにおとなしい。五輪開幕をあす8日に控えるタイミングだけに、中国政府によるネット統制説も浮上している。 中国外務省は共同通信の書面質問に対し、6月下旬に中国国内でもギョーザ中毒事件が発生していたことを認めた。中毒の原因とされる有機リン系殺虫剤メタミドホスは、日本で混入した疑いが強いとする中国側の従来の主張を大きく転換する内容だった。 回答では「中国政府は事件を極めて重要視している。公安局が全力を挙げて捜査している」と表明するなど態度を一変。ようやく生産過程での混入捜査に本腰を入れそうな気配だ。 ところが、いちばん騒いでいいはずの中国のネットユーザーがおとなしすぎる。中国国内のウェブサイトに関連する書き込みは全くなし。北京五輪開幕直前のため国内報道はギョーザ事件について一切扱わなかったが、ウェブ上では日常的に海外のニュースに触れることができる。事件当初には日中双方のネットユーザーが責任の所在などをめぐって口汚く罵り合った経緯があり、何らかの反応があって当たり前。中国政府による強力なネット統制などが背景にあるとの指摘も。いずれにせよ、ブキミな沈黙といえそうだ。 一方、親中派でしられる福田康夫首相もまたおとなしい。中国側はこうした事実を7月の北海道洞爺湖サミット前には日本政府に連絡していたことが判明。ことは食の安全にかかわる重大事にもかかわらず、政府は公表を避けていた。昨6日の読売新聞のスクープまで事実が明かされなかったため、民主党は「政府が意図的に隠ぺいしていたのではないか」と追及を始めている。 民主党の小沢一郎代表は6日の大阪市での記者会見で、毒ギョーザ事件の新展開について「日本の国、国民の視点から政治行政が行われていない。日中は日米と同様に大事な関係だが、言うべきことはきちんと言わなければ国民の利益は守っていけない」と述べ、政府の対応を批判した。 ところが、町村信孝官房長官は6日の記者会見で「関心のあるテーマであり、(首脳会談で)当然触れることになる。早く事実解明をする必要があり、日中でさらに協力しようということになるのではないか」とのほほんとしたもの。認識の甘さが際立った。
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社会 2008年08月06日 15時00分
五輪“日の丸盗撮団”が北京上陸情報
北京五輪が開幕する8日に合わせ、日本から複数のマニアが盗撮目的で現地中国入りするという衝撃情報をキャッチした。世界が注目するスポーツの祭典を舞台に、ハイテクカメラ技術を駆使して女子選手の肢体を隠し撮りし、裏DVDショップなどで売りさばくつもりらしい。事実ならば、卑劣な“日の丸盗撮団”が世界中にハレンチな話題をまき散らす危険性を秘めている。 盗撮発見器やスパイグッズなどを扱う電子機器販売店の関係者は、盗撮団上陸情報について「いまどき盗撮なんてはやらない。そんなことをしに北京まで行く気がしれないよ」と懐疑的な見方を示す。ひと息置いてから、ただし…と付け加えた。 「ここ数年のビデオムービーやデジタルカメラの画素数アップによる感度上昇と、記録メディアの小型デジタル化によって、素人でもプロ並みの画像や動画が撮影できるようになった。衣服が透けて見える赤外線盗撮をしようとする場合、専門知識がなくとも、書籍やネットで調べれば簡単に改造できるのも確かだ。昔は赤外線フィルターがよく売れたんだ。悪用は困るんだけど、買ったあとまで管理できないからね」(同関係者) 都内繁華街のDVDショップ。古びた雑居ビルの狭い階段を上がると、壁一面にびっしりDVDが並んでいた。パッケージに「プール盗撮」「赤外線」の文字が躍る。カウンターの男に「掘り出し物のスポーツ盗撮モノはないか?」と聞いた。 「盗撮モノならもうすぐ新作が出ますよ。北京五輪のヤツが。美女アスリートの透け透け見たいでしょ?乳首もばっちり写っちゃうから」 男によると前回アテネ五輪時にも盗撮映像が出回ってヒット。アジアの隣国開催で比較的旅費もかからないため、複数の盗撮マニアが北京に向かうというのである。 裏モノ事情に詳しいライターは「日の丸盗撮団は十二分にあり得る話」として次のように語る。 「基本的には赤外線盗撮狙いでしょう。投稿DVD作品として販売する業者に、マスターテープを買い取ってもらう仕組み。1本数十万円から100万円程度の小遣い稼ぎになる。マニアは腕を競ったり作品を交換するうち、機材購入費などを折半しようと集団化することがある。盗撮事例が相次いだことから国内のスポーツ大会はいまや撮影許可が下りず、水着マニアやレオタードマニアは被写体に飢えている。金もうけもできるからハメをはずしちゃうやつっていると思う」 ターゲット選定には、メダル獲得の有無や話題性が考慮されるといい、日本勢で狙われそうなのは“タネメグ”こと競泳の種田恵(21=神奈川大4年)やシンクロデュエット&チームの原田早穂(25=ミキハウス)、女子バレーボールの木村沙織(21=東レ)、バドミントンの小椋久美子(25=三洋電機)&潮田玲子(24=同)ペアら。 「メダル圏内のタネメグは、篠山紀信氏撮影の美女アスリート写真集の表紙を飾ってブレークしたように、かわいいのにボディーがエロい。原田は妖艶(ようえん)。木村はFカップ巨乳。五輪用ミニスカユニホームに恥じらう“オグシオ”も狙われる危険性があるでしょう」(同ライター) 生地が薄いほど盗撮の餌食になりやすいため、パッツンパッツンの英スピード社製高速水着レーザーレーサーが標的になる可能性も十分という。会場では競泳・シンクロ種目などを行う国家水泳センター「水立方(愛称ウオーターキューブ)」が最も危ない。民放各局が送り込む女子アナのほか、日テレでリポーターを務めるビーチバレーの浅尾美和(22)らも注意が必要だろう。 いずれにせよ、盗撮がバレたら世界中の大ヒンシュクを買うのは確実。五輪では、主役の選手たちさえ自分の映像などを商業利用することを厳しく規制されており、アンフェアな盗撮などもってのほか。“日の丸盗撮団”など断じて許してはならない。○盗撮&防犯グッズ事情 盗撮機器の小型低価格化が進んでいる。レンズ直径が1mmしかないピンホールカメラの性能が向上し、ライター大の世界最小級コードレスタイプや、フレームの眉間(みけん)部分にレンズを仕込んだサングラスタイプ=写真上=などが人気という。いずれもマイクロSDに最大2GBまで長時間録画でき、価格は2万〜3万円以内。双眼鏡型の光学8倍デジカメなんてものまで出現している。店員は「悪用厳禁。探偵さん用です」と話す。 夏場は盗撮被害が増加しがち。薄着の女性が増えるとともにマニアの活動も活発化する。4月には赤外線フィルターをつけたビデオカメラで女子バレーの試合を盗撮した静岡県の農業の男(38)が書類送検。6月には、兵庫県に住む会社員(40)が水泳大会の女子児童をビデオ盗撮した疑いで現行犯逮捕された。 盗撮マニアが問題視されるようになったのは、数年前、有名な競泳選手の赤外線盗撮映像が流出したことなどから。プロ顔負けの100万円を超える機材を持ち、女子中高生の水泳大会や運動会で、父兄に交じって会場後方からバズーカ砲級の超望遠レンズで股間や胸のどアップを狙ったり、選手に接近したり。 赤外線映像では、ほとんどの競泳選手がパッドやニプレスをつけていないため、乳首やアンダーヘア、尻の割れ目まで透けて見えてしまうから悪質極まりない。こうした盗撮画像や動画が営利目的の個人サイトからネットに出回っている実情もある。 ちなみに五輪各会場では、松下電器の監視・防犯カメラシステム約2000台が不審な行動を徹底チェックするから、悪いことはやめておいたほうが身のためだ。○海外選手は… 五輪を出場辞退したシャラポワに実力では劣るものの、美貌(ぼう)では負けない同じテニス代表のマリア・キリレンコ(21)や、陸上棒高跳びで金の期待がかかるエレーナ・イシンバエワ(26)らロシア勢が、各国選手団の美人度では群を抜いている。 地元中国では、アテネに続く水泳飛び込みの金メダル候補で「女王様」の異名を持つ郭晶晶(26)は、映画やCMにも出演する人気者。涼しげな顔立ちと毒舌キャラでも知られる。しかし、そもそも海外の女子選手はあまり胸ポッチを気にしない…という未確認情報もある。
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社会 2008年08月05日 15時00分
五輪テロ開会式に照準か!? 中国新疆ウイグル自治区警官16人死亡事件 事前に計画察知も防げず
北京五輪開幕直前の4日、中国新疆ウイグル自治区で武装警察隊が手製の爆弾などで襲撃され、警察官16人が死亡、16人が負傷した事件は、厳戒態勢を敷く中国警備当局の“テロ封じ”の限界を示した。現地紙は、当局が事前にテロ計画を察知していながら防げなかったと報道。次に狙われるのは五輪開会式か!?本番へのカウントダウンのなか、ブキミな緊張感が高まっている。 中国国営新華社通信によると、厳戒警備態勢をあざ笑うかのような事件は4日午前8時(日本時間同9時)ごろ、自治区西部のカシュガルで発生した。犠牲になったのは国境警備を担当する武装警察隊だった。このショッキングなニュースは共同通信の配信で日本国内にもすぐに知れ渡り、五輪取材陣や観戦ツアー客らを震え上がらせた。 中国当局はすでに28歳と33歳のウイグル民族の男2人を逮捕。しかし、民族独立運動の活発化などから不穏な動きを徹底マークしていたはずなのに、五輪開幕直前に計画された凄惨な大量殺人を防げなかった事実は大きい。 新華社によると、地元警察当局はテロリストによる攻撃との見方を示しており、ウイグル独立派の「東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)」が1日から8日の間にテロを計画しているとの情報を事前につかんでいたことも明らかにした。政府系シンクタンク研究員は「これまでのウイグル独立派の手口と似ている」と事件を分析。五輪妨害を狙うウイグル独立派によるテロの可能性が高まった。 犯行は、警官隊にダンプカーで突入し、手製爆弾やナイフで襲いかかるという大胆な手口。ダンプからは手製爆弾10個と手製の銃1丁、ナイフ4本が見つかり、警察が押収した。比較的原始的な手法ともいえる。そのぶん受けた衝撃も半端ではないわけだ。 テロを受け、日本国内の留学経験者や旅行代理店からは「やっぱりか」「状況を見守りたい」などの声が上がった。五輪本番中のテロを計画する勢力があるとすれば、まず狙われそうなのは各国首脳が集まる開会式。日本からも福田康夫首相や石原慎太郎東京都知事が出席し、世紀の祭典を見守る予定になっている。本当に大丈夫か!?
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社会 2008年08月04日 15時00分
“仏滅回避”の内閣改造完全に裏目―大手紙支持率調査は軒並み小幅回復にとどまる、これじゃあ解散・総選挙なんてできない!
福田改造内閣の支持率が伸びない!大手各紙の内閣改造を受けた緊急世論調査が4日にほぼ出揃い、結果は軒並み小幅回復にとどまった。支持率大幅アップの期待を込め、「仏滅で4(死)日」と縁起の悪い日程を急きょ前倒ししたが、ゲン担ぎの効果はなし。これじゃあ解散・総選挙なんて打てやしない!? 改造内閣の支持率は、朝日24%、読売41%、毎日25%、東京31%(以上3日付紙面)、日経38%(4日付)と報じられた。読売の調査では危険水域といわれる30%台を越えたものの、依然として不支持率が47%にのぼっていることを同報した。さらに緊急電話調査だったため、面談方式で実施した前回調査(7月12、13日)とは単純比較できない、と断った。けさ4日の日経も、不支持率49%を「依然、高水準」としている。 そもそも、顔ぶれがどうであろうと内閣を改造しただけで期待感は高まるもので、歴代改造内閣でもそれは実証されている。永田町関係者は「福田首相は新聞をにぎりしめて『こんなはずじゃなかった』と怒りに震えていることだろう。仏滅で『死』を連想させる4日から改造を前倒しして、電光石火の1日改造に踏み切ったのに、思うような支持率回復にはつながらなかった。ご愁傷様」と皮肉たっぷりに言う。 1日夜から2日にかけた共同通信社の全国緊急電話世論調査によると、改造内閣の支持率は31.5%と前回7月の調査から4.7ポイント上昇した。しかし、望ましい政権の枠組みでは「民主党中心」が「自民党中心」を10ポイント以上引き離す状況に変わりはなく、与党にとっては極めて厳しい結果といえる。解散・総選挙に打って出たとしても、大半の衆院小選挙区で自民、民主の2大政党が真っ向から激突し、ガチンコで1議席を争うことになるからだ。 つまり、この情勢が続けば、福田首相は解散権そのものを封じられかねず、退陣すら現実味を帯びてくる。そこまでリスクを背負いながら、改造内閣の顔ぶれは「代わり映えしない」(37.9%)がトップだったから完全に裏目に出た格好だ。 福田首相は17閣僚のうち13人を入れ替え、人心一新と「安全実現内閣」をアピールしたが、低迷が続いた内閣支持率の大幅上昇はみられなかったため、民主党は次期臨時国会に向けて攻勢を強め、早期の衆院解散・総選挙に持ち込む構え。臨時国会召集や衆院解散の時期をめぐる自民、公明両党の見解には食い違いが生じており、首相には厳しい政権運営が続く。 新旧閣僚は4日、事務の引き継ぎを順次行い、原油・物価高対策や年金、医療、雇用をめぐる生活不安の解消など山積する政策課題への取り組みを本格化させる。
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社会 2008年08月02日 15時00分
福田首相サプライズゼロ「総選挙自爆内閣」
福田康夫首相(72)は1日、突発的に内閣改造と自民党役員人事を断行した。本人は「安心実現内閣」と胸を張るものの、顔ぶれに新鮮さはなく目玉閣僚もサプライズもなし。そのくせ党内各派のバランスだけはとっており、識者からは手厳しい批判が相次いだ。解散・総選挙を自らの手で行うために踏み切った改造は、“総選挙自爆内閣”を誕生させてしまった。 改造内閣は別表(※表は紙面のみ掲載)の通り。党4役には、麻生太郎幹事長、保利耕輔政調会長、笹川尭総務会長があてられ、古賀誠選対委員長は留任した。 福田首相がこの内閣と党4役で解散・総選挙すれば、与党勝利に導けると本気で思っているのなら相当おめでたい。最大の特徴は自民党内の各派閥の領袖を取りこんでいること。要するに“福田降ろし”を封じただけのメンバーである。思いきった若手起用も民間人の抜てきもなく、ひたすら各派閥におもねって練り上げた布陣で解散・総選挙を闘っても、自爆するのは目に見えている。 改造内閣をネーミングしてもらった識者からは「期限付き」「千秋楽」とネガティブなキーワードがポンポン飛び出した。 評論家の宮崎哲弥氏は、年末、年明けにあるとみられる総理総裁交代や解散・総選挙を見据えた「消費期限付き内閣」と命名。「事実上、次期総理総裁への禅譲を前提にした内閣という色彩が濃い。政権運営に対する麻生幹事長の影響力は絶大なものになるだろう」と予測する。 その上で「保守本流系派閥の中堅若手実力派の任用が目立つ。よく言えば年明けの政局や次期政権を見据えた渋い人事だが、一般受けする派手さに欠ける。年末までに『期限切れ』にならないといいが…」と心配までしてみせた。 評論家の佐高信氏もまた相当辛口だ。「財務相に旧大蔵省出身の伊吹文明氏を起用するなど、官僚主導の政治を変える気はないというメッセージを発している」とばっさり。「支持率低下は止まらず、本当に後がなくなる」として「千秋楽内閣」と命名した。 さらに「郵政民営化に反対した人(保利、野田聖子両氏)が復権。小泉路線の否定がより明確になった」と改革逆行を指摘した。 国民の関心を呼ぶサプライズ人事など、福田首相にはどだい無理な話。4日改造説が急に前倒しされた点のみが「“グズ夫”には珍しくスピーディーなサプライズだった」(政治記者)とトホホな評価を受けていた。 野党各党は1日、福田康夫首相が断行した内閣改造と自民党役員人事について「自民党最後の内閣」(鳩山由紀夫民主党幹事長)と酷評し、対決姿勢を鮮明にした。福田首相自らが衆院解散・総選挙に打って出るとの見方を強めており、次期臨時国会で後期高齢者医療制度の廃止などを引き続き求め、福田改造内閣への攻勢を強める考えだ。 民主党の小沢一郎代表は1日、三重県伊勢市で記者会見し「国民が望んでいるのは閣僚の顔触れを替えることではない。与党内の人事に関心はない」と強調。「次期衆院選で政権を奪取し、国民本位の政治を実現する。その一点に集中して頑張りたい」と政権交代への決意を示した。 鳩山氏は会見で「首相は自分の手で衆院を解散する腹をくくった」と指摘。記者団に「政党間の意見交換が必要であれば、話し合うことはやぶさかではないが、国会の議論を通じて結論を出すことが重要だ」と述べた。 共産党の市田忠義書記局長は会見で「国民の願いは政治の中身を変えることだ。臨時国会では福田改造内閣に真っ正面から論戦を挑む」と表明。社民党の福島瑞穂党首も会見で「反乱しそうな麻生太郎氏を取り入れた『福田保身内閣』だ。何をやりたいのかさっぱり分からない」と批判した。 国民新党の亀井久興幹事長は記者団に「国民生活が悲鳴を上げている状況に機敏に対応できる布陣になったのか疑問だ」と指摘。新党日本の田中康夫代表は「政府、与党内の不満解消を第一義とする消化人事だ」とのコメントを出した。
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社会 2008年07月29日 15時00分
北京五輪日本代表に石原知事が「死ぬ気で戦え」と喝!
来月8日に開幕する北京五輪の日本代表選手団の結団式と壮行会が28日、都内のホテルで行われ、東京都の石原慎太郎知事(75)が「死ぬ気で戦ってもらいたい」などと物騒な激励をした。 2016年東京オリンピック・パラリンピック招致委員会会長として来賓に招かれた石原氏は、「ひとつでも多くメダルをとってもらえれば、東京五輪招致に向けて機運も高まってくる。坂田三吉の歌じゃないけれど『行った限りは勝たねばならぬ』。楽しんできます、なんて気持ちじゃたまらないよ国民は。死ぬ気で戦ってきてもらいたい。体張って闘ってきてほしい。頑張れよ!」と闘魂注入した。 石原知事は以前から、五輪で負けてヘラヘラ笑っているような代表選手に不快感を示しており、あらためて日の丸を背負って戦う覚悟を植え付けておきたかったようだ。 この鼓舞に感化されたか、それとも地なのか、チームがんばれニッポンの松岡修造応援団長(40)もやたらハイテンションで、「中途半端に応援しちゃ絶対いけない。頑張れニッポン!」などと拳を突き上げた。 実はこの前段、“事件”があった。冒頭に挨拶する予定の福田康夫首相(72)が遅刻し、激励を受ける選手団が壇上に立ったまま待たされるというマヌケな時間が続いたのだ。“場つなぎ”で、選手団旗手を務める卓球の福原愛選手(19)や野球の星野仙一監督(61)がマイクを握ったものの、会場内には締まらないムードが漂った。 ところが、福田首相は遅刻を詫びもせず、「まずはおめでとうと申し上げたい。ケチなことは申しません。すべての方にメダルを取ってきてもらいたい」と“KY激励”。内閣改造でも何でもそうだけど、この人はどうにもテンポが遅い。 出番を待たされた石原氏の一喝は、良くも悪くもそんなムードを吹き飛ばす一撃だった。
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社会 2008年07月28日 15時00分
福田改造内閣は男まさりの女性閣僚だらけ
福田康夫首相(72)がいよいよ内閣改造に踏み切ることになりそうだ。改造するのか、しないのかすらはっきりしない態度に、永田町のイライラ度は限界点を突破。ここまでくると、もはや改造せずに求心力を保つのは不可能という。新閣僚候補には、いずれも自民党の小池百合子元防衛相(56=町村派)、野田聖子元郵政相(47=無派閥)、橋本聖子参院議員(43=町村派)、小渕優子衆院議員(34=津島派)ら男まさりの著名どころがずらりと居並び、空前の女性中心内閣が誕生するかも!? 「実績のある小池元防衛相や野田元郵政相は入閣率80%以上。初入閣組では、五輪メダリストの橋本議員が50%、小渕議員が30%の確率で入閣するとみている。洞爺湖サミットを成功させたと自負する首相には妙な自信がみなぎっている。話題づくりではなく、純粋に、国民生活に密接する諸問題に女性の目線で取り組んでもらいたい一念から女性閣僚を4人以上登用してもおかしくない。党内調整にさほど時間はかけられず、それが結果的にサプライズ人事を招く可能性が高い」(政治記者) この期に及んで国民は福田首相にサプライズなど期待していない。しかし、名前の挙がった現職女性議員がそろって入閣すれば、改造内閣はずいぶんと華やかな顔ぶれになる。「クソのつくまじめ人間でパフォーマンスが大嫌い」(前出の記者)という福田首相が、安倍前内閣から再任した大田弘子・経済財政政策担当相(54=大学院教授)と上川陽子少子化担当相(55=古賀派)を留任させ、女性閣僚が大幅に増える可能性もあるという。 昨年9月、安倍前首相の国会会期中の突発辞任を受け発足した現内閣は、17閣僚のうち実に15人が再任、横滑りという“居抜き内閣”だ。応急処置とはいえあまりに新鮮味がなかったため、野党各党から「おさがり内閣」などとコキおろされたのはご存じの通り。自民党関係者が言う。 「どう組閣しても悪く言われるもの。ならば思い切って一新したほうがいい。テレビドラマのキムタク総理と比べて、あーだこーだ言われてもおもしろくないでしょ。現実の政党政治に則したやり方で、粛々と手続きを進めることだ。内閣支持率を上げるために改造するわけじゃないんだから」 温度差はあるにせよ、党内の改造熱は相当高まっている。与党内では、夏休み明けの福田首相が、先週末までには改造を断行するかしないか意志表示するとの見方が強かったが、結局はうやむやのまま。入閣期待組は踊らされるハメになった。関係者からは「都内のホテルで缶詰めになって6日間の夏休みをとったのはいったい何だったのか」といぶかしがる声も上がった。 こうした不穏な空気に永田町関係者は「改造回避は自殺行為」と断言して次のように話す。 「内閣改造をめぐる女性閣僚候補の話題は“お約束”のようなもので眉ツバ話も多い。しかし、今回ばかりは、民間からの入閣候補や与党内に目ぼしい新星がいないことから実現性は高いと思います。郵政造反組の野田さんはみそぎも済んだことですし、もとは女性宰相候補だったわけですから入閣は固いでしょう。気になるのは野田さんの“妹分”といわれる小渕優子さん。通称ゆうこりんの処遇です。安倍前内閣でも名前が挙がりましたが、面倒見のいい野田さんを差し置いて入閣できるはずもなかった。福田首相はかつて『息子の嫁に…』と指名したほどのお気に入りだそうですから、“姉妹”そろっての入閣もありそうです」 女性スキャンダルとは無縁で地味なタイプを好むとされる福田首相が、華のある女性閣僚に囲まれニヤける姿は想像しにくい。人を食ったような「フフン」笑いが、もう少し素直な笑顔になるのか?いずれにせよ、素早い決断が待たれるところだ。○女性閣僚候補にズームアップ 男まさりの野田元郵政相は女性閣僚候補ではキーマン的存在だ。小泉チルドレンの佐藤ゆかり議員から岐阜選挙区の奪還に成功。党広報局長として豪腕を発揮しており、「福田首相の覚えもめでたい」(永田町関係者)と高い評価を得ている。そもそも祖父・卯一氏と福田首相の父・赳夫氏のつきあいが深かったことから、両家は良好な関係にあるとの情報もある。 福田首相念願の消費者庁創設に向け、消費者問題調査会会長を務めるほか、これも会長職の「日本酒を愛する女性議員の会」では小渕議員が幹事として支えている。100号を数えた隔週刊の公式メールマガジンでは愛犬日記「キャサリン&ひめこグラフィティ」を公開中。犬を飼い始めたのは、橋本議員に勧められたのがきっかけといわれ、小渕氏だけでなく橋本氏の姉貴分でもある。 当選3回の小渕氏は、福田首相と同郷の群馬選出。父親の故・小渕恵三首相のあとを継いで政界政界転身した境遇も似通っている。TBS出身らしく周囲に華やかなムードをまとうが、成城大学時代には体育会系女子ゴルフ部に所属するマッチョウーマンだった。昨年、福田政権が誕生したその日に長男を出産。産休、子育てを乗り越え、重責を担う環境は整った。 橋本氏も当選3回。スピードスケートの五輪銅メダリストで、夏季は自転車競技という二足のわらじを履いたパイオニア。昨年9月の自民党総裁選では、福田首相の推薦人代表を務めた。 素顔の活発な3人に比べると、同じ男まさりであっても小池元防衛相はやや異色。キャスターから転身したエリート肌で、亀田ボクシングジムの練習生。防衛大臣を辞任するときに「アイ・シャル・リターン(私は必ず戻ってくる)」の捨てゼリフを残している。○福田首相の怪煙幕 福田首相は先週末の25日、与党党首会談を今週以降に先送り。同日昼に出席予定だった日本経団連の会合を「東京を離れることができない」との理由で欠席したため、自民党内は首相が改造に向けて動き出したとみて色めき立ったが、完全に肩透かしを食らわされた。 それでも福田首相は記者団に「衆院解散や改造の話ではなく、一般的に与党の代表とはいつ会ってもおかしくない。私の口からは『改造』と言ったことは一度もない」などと言い放つ始末。その胸中はさっぱり読めない状況だ。
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社会 2008年07月23日 15時00分
八王子通り魔 33歳容疑者には脱フリーター願望があった!?
東京都八王子市の京王八王子駅ビル9階の書店で、アルバイト店員の中央大4年斉木愛(まな)さん(22)が刺殺された事件で、殺人未遂の疑いで逮捕された八王子市の自称会社員菅野昭一容疑者(33)が、市内の航空部品メーカー工員として試用期間中だったとの情報が23日までに浮上。一部報道では、父親を名乗る人物が同容疑者のフリーター暮らしを説明しており、犯行の背景に“脱フリーター願望”があった可能性が出てきた。 同容疑者は警視庁捜査一課と八王子署の調べに対し、「仕事のことで家族とトラブルになり、むしゃくしゃしてとっさに無差別に人を殺そうと決意した。仕事がうまくいかず、両親に相談したが乗ってくれなかった」などと供述している。 一部報道によると、同容疑者は5月頃、航空部品などを扱う市内の製造会社に工員として入社。試用期間1カ月との約束で働き始めたが、ほどなくして機械に指を挟んでケガをしたため、仕事を休むようになった。その間の生活は休業補償でまかなっており、今月初めに父親と職場復帰面談に臨んだ際には、8月から復帰できるとして「早く仕事がしたい」などと前向きだったという。 別の報道では、容疑者宅の電話に出た父親と名乗る人物が、同容疑者について「フリーターのような生活をしていた」と話したとされ、本人や家族にとって「定職」に就くことがひとつのポイントだったことは間違いなさそう。 職場復帰になんらかの障害があったのか、詳しい事情は分からないが、秋葉原無差別殺傷事件の派遣社員加藤智大容疑者(25)=鑑定留置中=がそうだったように、菅野容疑者もまた社会的地位を気にしていた様子が伺える。 調べでは、同容疑者は22日午後9時40分ごろ、書店で働いていた斉木さんを、隠し持っていた刃渡り約15センチの文化包丁で刺した疑い。近くにいた女性客・原田夏希さん(21)も左胸や腕などを切りつけられ負傷した。いずれも秋葉原殺傷事件と同じく、無言で近づいて刺す犯行態様だった。 捜査一課などは家族とのトラブルが引き金となり、通り魔の犯行を決意したとみて、容疑を殺人に切り替えて犯行に至った詳しい経緯を調べる。 現場の啓文堂書店が入居する京王八王子駅ビルは、本紙都内版でレストラン街のメガフードフェアを昨日紹介したばかりだった。
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社会 2008年07月22日 15時00分
中国雲南省で連続バス爆破事件発生 五輪本番テロの危険度上昇
中国雲南省昆明で21日午前、2台の通勤バスが相次いで爆発し、2人が死亡、重体1人を含む計14人が負傷した。来月8日に開会する北京五輪直前に仕掛けられたショッキングな事件。計画的犯行との見方が強く、五輪本番テロの危険度が増している。 バス連続爆破事件は北京五輪開催まであと18日というタイミングで、都市部の厳戒警備態勢をあざ笑うかのように発生した。 現時点では事件の背景は不明だが、失業者など社会に不満を持つ勢力や新疆ウイグル自治区の独立勢力が仕掛けた「計画的犯行」(北京の外交筋)の可能性は否定できず、五輪本番が標的となる危険度が高まっている。事件はほぼ連続テロとみて間違いなく、“犯行アピール”をするならば、全世界が注目する五輪開催中のほうが格段にインパクトが強くなるからだ。 これまでにも予兆はあった。今年に入ってから五輪開催に反対する勢力の活動は活発化。中国当局によれば、3月7日に新疆ウイグル自治区で独立勢力による航空機爆破未遂事件が発生した。 1月と7月にはテロに関与したとされる同独立勢力のアジトを公安当局が摘発。3月14日にチベット自治区で起きた暴動についても、「チベット独立勢力が画策した」(当局)との見方を強めている。 一方、地方では公安当局の不正や腐敗に怒る住民の不満もうっせきしており、貴州省では6月末に住民が公安施設を焼き打ちする暴動が起きた。 こうした不穏な空気を封印するべく、特に北京市内は空前の厳戒シフトを敷いている。警察のほか、軍系の武装警察やボランティアら数十万人を動員。「五輪妨害勢力が北京で事件を仕掛けるのは困難。起きるなら地方だ」(中国筋)との指摘が出ていたほどの重点配備だった。 しかし、北京、上海、天津などの五輪会場となる都市に比べ、昆明など地方都市の警備は手薄なのが現状。五輪開催中に同時多発地方テロなどが仕掛けられる可能性は低くない。 雲南省公安庁によると、最初の爆発があったのは現地時間午前7時5分すぎで、2度目は約1時間後。死亡したのは30歳女性と26歳男性。硝酸系の化学物質を使った爆薬が用いられ、1台目の爆発は車体前方、2台目は後方で起こった。時限爆弾との情報もある。 警察は現場を封鎖、主要道路に検問所を設けて捜査を進めている。中国公安省は事態を重視し、刑事犯罪の専門家を現地入りさせてテロの可能性を含めて調べている。