同容疑者は警視庁捜査一課と八王子署の調べに対し、「仕事のことで家族とトラブルになり、むしゃくしゃしてとっさに無差別に人を殺そうと決意した。仕事がうまくいかず、両親に相談したが乗ってくれなかった」などと供述している。
一部報道によると、同容疑者は5月頃、航空部品などを扱う市内の製造会社に工員として入社。試用期間1カ月との約束で働き始めたが、ほどなくして機械に指を挟んでケガをしたため、仕事を休むようになった。その間の生活は休業補償でまかなっており、今月初めに父親と職場復帰面談に臨んだ際には、8月から復帰できるとして「早く仕事がしたい」などと前向きだったという。
別の報道では、容疑者宅の電話に出た父親と名乗る人物が、同容疑者について「フリーターのような生活をしていた」と話したとされ、本人や家族にとって「定職」に就くことがひとつのポイントだったことは間違いなさそう。
職場復帰になんらかの障害があったのか、詳しい事情は分からないが、秋葉原無差別殺傷事件の派遣社員加藤智大容疑者(25)=鑑定留置中=がそうだったように、菅野容疑者もまた社会的地位を気にしていた様子が伺える。
調べでは、同容疑者は22日午後9時40分ごろ、書店で働いていた斉木さんを、隠し持っていた刃渡り約15センチの文化包丁で刺した疑い。近くにいた女性客・原田夏希さん(21)も左胸や腕などを切りつけられ負傷した。いずれも秋葉原殺傷事件と同じく、無言で近づいて刺す犯行態様だった。
捜査一課などは家族とのトラブルが引き金となり、通り魔の犯行を決意したとみて、容疑を殺人に切り替えて犯行に至った詳しい経緯を調べる。
現場の啓文堂書店が入居する京王八王子駅ビルは、本紙都内版でレストラン街のメガフードフェアを昨日紹介したばかりだった。