中国「煙台北海食品」製冷凍インゲンを食べて体調不良を訴えた被害者は、一時入院した東京都八王子市の56歳主婦のほかに千葉県柏市の男女2人が加わった。いずれも八王子市の主婦が食べたのと同じニチレイフーズが輸入した商品で、製造工程を示す番号や賞味期限も一致。それぞれ市内の別のスーパーで購入し、嘔吐したり舌がしびれたとして届け出た。
2人とも入院などはせず軽症というが、柏市と千葉県警は残留インゲンを回収して成分分析を急いでいる。
一方、八王子市の主婦が食べたインゲンのパッケージには、主婦がはさみで開封したほか故意に開けられたような痕跡がなかった。ニチレイフーズはインゲンを生産した中国の農場と冷凍処理した工場のいずれでもジクロルボスは使用されていなかったと発表。警視庁は人為的に混入された疑いもあるとみて混入ルートを追っている。
ジクロルボスはいつどこでだれの手によって混入されたのか?北京五輪前には、中国製毒ギョーザ事件が発生して日中両国に衝撃を与えたばかり。五輪閉幕から2カ月とたたず今度はインゲンが狙われた。事は食品衛生管理不行き届きにとどまらず、事件性が濃くなってきた。人為的混入であれば、犯行動機を含めた事件の全体像を一刻も早くつかむ必要があるだろう。
共同通信によると、煙台北海食品がある中国山東省は日本などへの食料輸出基地として知られる。現地に進出している日系食品企業からは「風評被害が広がらないか心配」との懸念がもれた。
関係者によると、中国の対日食料品輸出のうち山東省は約3分の1を占め、日本に距離的に近いことなどから多くの食品関連企業が進出。山東省当局は毒ギョーザ事件を受けて検疫を強化し、企業側も工場に監視カメラを設置するなど細心の注意を払っていたという。煙台北海食品は品質に定評のある企業だった。