石原慎太郎東京都知事は、ホンダが2輪専門誌取材を封じたとする“圧力疑惑”をぶちまけ波乱の幕開けとなった。ホンダは疑惑を否定。両者の言い分は対立している。
ある2輪雑誌関係者は「業界では有名なウワサ。ホンダはあまりに強すぎる」と石原説を支持。別の関係者は「広告出稿を止められたら死活問題だけど、編集の末端にはそんな圧力はかかっていない。そこまでホンダさんがするとも思えない」。2日目から島に乗り込んだバイク雑誌取材チームもあり、真相究明には時間がかかりそうだ。
主催者発表によると、準備期間を含めた16〜18日の来島者は831人。昨年の同条件では909人(東海汽船調べ)だったから、やや減少したことになる。三宅島空港の運航を丸1日止めて実施したドラッグレース観戦者は約530人(昨年は約450人)と増加。サイドカーに乗った知事を先頭とするオープニングパレードは、68台のバイクを約1100人の島民らが沿道で見守った。
空港閉鎖中だった昨年は派手なサーキットを設営したドラッグレース会場は、やや簡素になった印象。その日のうちに設営・本番・撤収のすべてを完了しなければならないため、凝ったことができなかったという。一方の島民は、観戦者数が示す通り、2度目の開催を迎えてバイクへの親近感が増したようだ。
島で家電販売店を営む男性(85)は、時速300キロ超のマシンをのぞき込みながら「これはゆっくりは走れないの?」などとレーシングチーム関係者に質問。若いころは250ccの中型バイクに乗っていたという。
バイクに興味を持つ生徒を引率した三宅高校の男性体育教師(32)は、「生徒が不良になる心配?それは大丈夫。三宅の子はいい子ばっかりですから」と笑い飛ばした。“三宅のアッキーナ”と呼ばれる女子高生(16)は、「昨年仲良くしてもらったライダーがまた来てくれた。私のことを覚えていてくれたのがうれしい」と興奮気味。ほかのライダーともメール交換するなど交流が続いているという。
バイク雑誌のライターは、来年以降に改善すべき点について「愛車を運ぶフェリーの手配が最優先。ドラッグレースの観客席も遠すぎる。国産メーカーはオフロード大会ならば喜んで協力するはず。このままだと先細りが心配だ」と話す。
2年連続で参加したハーレーダビットソンジャパン広報の増田勝也さんは「輸入車メーカーと国産メーカーはほとんど横のつながりがない。行政が音頭をとって、オフィシャルな場でイベントのよりよい方向性を探る協議はできないか。三宅島復興に役立ちたいし、業界全体が若者のバイク離れに危機感を抱く中、これだけ島民が歓迎してくれるのだからなんとかしたい」と調整の必要性を訴えた。
英マン島TTレースを視察し、当初、公道レース実現にムキになっていた知事は「屈曲が激しくて幅員が少なくて難しいと思う。2輪を使ったおもしろい出し物はまだほかにもあるだろう」とこだわりを捨てた。ケンカの決着のつけ方が、来年以降の成否を左右しそうだ。