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石原都知事 歌舞伎町浄化作戦第2幕 コマ劇場で「みかじめ料等不払決起大会」

 暴力団の資金源とされる“みかじめ料”を撲滅する動きが活発化している。東京都新宿区や警視庁新宿署などが主催する「みかじめ料等不払決起大会」が先ごろ、新宿・歌舞伎町のコマ劇場で開かれた。歌舞伎町のホストら約1000人が集結。暴力団の手口を公開するDVDも作成された。石原慎太郎都知事は「ヤクザはヤクザでしかない!」などと声を荒らげ、あらためて対決姿勢を鮮明にした。

 決起大会は2006年末に続き2度目。石原知事の大号令による歌舞伎町浄化作戦は、04年末に関連都条例を整備して、悪質な客引きや不法滞在の外国人、裏DVD店の摘発などに血道をあげてきた。会場には閉鎖の決まったコマ劇場が選ばれ、歌舞伎町再生への決意がうかがえる。浄化作戦第2幕の着手とみていい。
 地元関係者は「周囲に暴力団関係先がひしめくコマ劇場でこうした大会を開くのは、正直言って度胸のいること。阪神ファンの応援席に飛び込んで巨人を応援するようなものですからね。それでもあえて強行した覚悟はある」と耳打ちする。
 同劇場前には「みかじめ料不払決起大会」の看板がデカデカと掲げられた。入場口には金属探知ゲートを設置。拳銃や刃物を隠し持った“鉄砲玉”を警戒し、ハンドバータイプの探知機も複数そろえた。会場内には一目でそれと分かる目つきの鋭い私服警察官が多数、配置された。
 あいさつに駆け付けた石原知事は、警察サイドから事前レクチャーを受けた情報として、暴力団はいまも都内に600組織(組員約1万7000人)あり、うち歌舞伎町には50事務所約1800人の暴力団員がいることを指摘。「これは大変な数字」として、浄化作戦のふんどしを締め直しにかかった。
 「みかじめという言葉を辞書で引き直してみたら『取り締まる』『監督する』という意味だった。何を取り締まり、監督するんですかね。ヤクザなんて、こっちが取り締まって監督しなくちゃいけない連中が、何を勘違いしてか、みかじめと称して、善良な都民から上前を撥ねるなんて言語道断な話」などと激怒した。
 さらに、会場を見渡しながら「この中にもヤクザが潜んでいて、スパイしてるヤツがいるかもしらんけど、日本人はヤクザってヘンに好きですな。映画で東映が流行らせたもんで、ヤクザっていうと男の生きる道みたいに考えてるけど、ヤクザはヤクザでしかない!任侠とかなんとか言って、人に迷惑を掛けないで良いことして生きてるヤクザなんて聞いたことがない」とばっさり切り捨てた。
 石原知事は後日、歌舞伎町ばかりでなく、渋谷、池袋などの繁華街でもみかじめ不払い決起を検討する考えがあることを明かしている。作戦第2幕は都内全域の暴力団一掃を狙うのか。歌舞伎町がおとなしくなったことを「好転」ととらえており、夜の繁華街をターゲットに作戦に拍車が掛かりそうだ。
 同大会の主催者には、周辺地域の商店街などでつくる新宿繁華街犯罪組織排除協議会が名前を連ねている。新宿歌舞伎町ホストクラブ協力会(SHA)もその一員で、会場にはホストが大量動員された。「店長に『行け』と言われた」ケースが目立ち、暴力団撲滅イベントに茶髪のホストが集結するのは異様な光景だった。
 22歳の茶髪のホストは「言われているほどヤクザとのトラブルはないけど、石原知事が味方なのは心強いですね」と話し、青パトや警察官に先導されて街頭パトロールに繰り出した。

○“3ないスローガン”で暴力団の資金源を断つ
 みかじめ料とは、縄張り内での用心棒代金という意味合い。店舗におしぼりを納入したり、植物プラントリースなどを介して“集金”されるケースもある。決起大会はこうした暴力団の資金源を断つのが最大の狙い。
 8月施行の改正暴対法では、みかじめ料要求行為で暴力団トップに損害賠償責任を負わせることができるようになったほか、自治体の暴力団排除活動への支援義務も盛り込まれている。
 大会では中山弘子新宿区長、高松義典新宿署長らがあいさつ。みかじめ料等不払決起文が高らかに読み上げられた。
 中山区長は「歌舞伎町は繁華街の環境浄化対策のモデル地区として全国から注目を集めている。だれかの弱みにつけ込んだり、脅したり怖がらせたりして利益を得ている犯罪組織が存在している地域には、持続的な発展は決して望めない」と決意表明。
 高松署長は「新宿の暴力団構成員は、表面的には若干ながら減少傾向にある。しかし資金源の獲得手段は巧妙化し、私どもの目になかなか見えづらくなっている。みなさまには裏表のない強い信念をお持ちいただきたい」と協力を要請した。新宿署では今年、みかじめ料の要求行為で15件の中止命令を出しているという。
 ドラマ仕立てのDVD映写では、脅し役となだめ役に分かれて、みかじめ料をむしるなど暴力団の主な手口を公開。大人数での交渉や録音、最初に時間を区切るなどの回避術が紹介された。
 暴力団に対して「恐れない」「金を出さない」「利用しない」という“3ないスローガン”が繰り返し叫ばれた。

○これだけ仲間がいるから怖くない
 新宿繁華街犯罪組織排除協議会の防犯ポスター「私は、暴力団なんて認めない。断る勇気、断ち切る勇気」でモデルを務めているのは歌手の中澤京子さん(26=写真上)だ。
 モデルと見まがう美貌のミュージシャンで、新宿・歌舞伎町をホームグラウンドにライブ活動している。浄化作戦の一環でもある街のゴミ拾いなどにも積極的に参加している。今回のポスターのモデルもノーギャラで引き受けた。
 中澤さんは「みんなで団結しようということですし、これだけ仲間がいるから怖さとかは感じないです。この街のためになることなら喜んで協力したい」と話した。一緒にパトロールしたホストからは、「かわいい〜」の声も上がっていた。

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