そんな新幹線の「寝過ごし」を発端としたクレーム事件が、2016年8月に発生している。福島県の県北地方振興局県税部に勤める40代の会社員が、JR福島駅近くの飲食店で酒を飲み、郡山市の自宅に帰るため、東北新幹線に乗車したのだ。
男は寝てしまったのか、大宮駅まで乗り過ごしてしまう。郡山から大宮までは6,000円ほど。公務員ならばそこまで高くない出費だが、男は寝過ごしたことに激怒。引き返すため大宮駅で切符を買う際、対応した駅員に対し暴言を吐いたうえ現金トレーを叩き壊し、通報を受けた警察官に器物損壊罪で逮捕された。
郡山~福島間は新幹線で13分、料金は現在の価格で1,740円ほど。東北本線を利用した場合は、47分ほどかかる。新幹線に乗りたくなる気持ちはわかるが、「乗り過ごし」のリスクは考えていなかった様子。そんな自分に腹を立てるのは自由だが、その怒りを人や物にぶつけるのは「ありえない」行為と言わざるを得ない。
幼稚な行動に事件当時、「レベルの低い公務員。普段もそんな感じで横柄に仕事をこなしているのだろう」「他人に八つ当たりするとか意味がわからない」「自分が悪いのになぜ怒りを他人にぶつけるのか」と怒りの声が噴出する。また、「たかが10分程度で寝るな」「寝過ごして怒るとか子供か」「福島県の職員ってレベル低いね」など呆れる声も多かった。
郡山から大宮は、名古屋~新横浜間や東京~仙台間と比較すると、距離は短く金額それほど高くはない。それに激怒して他人に八つ当たりする行為は、実に幼稚と言わざるを得ない。
文 櫻井哲夫