通常そのような場合、警察や運営会社に相談することが適切だと思われるが、中には、本当にクレーマーを殺してしまったケースもある。
事件が発生したのは2004年。大手牛丼チェーン店で勤務経験が浅いながらもその真面目な働きぶりが評価され、責任者に抜擢された26歳の男性店長は、クレーマーに頭を悩ませていた。
そのクレーマーは36歳の男。「弁当が横になっている」などと26歳の男性店長にクレームを付けた挙げ句、複数回に渡り電話をかけ続けた。一連の報道によると、男性店長が男の家を訪れ、弁当代を支払ったこともあったという。
調子に乗った男は、何度もクレームをつける。店長は運営会社に相談することもできず言いなりとなり、ストレスだけが溜まっていく。そしてある日、男は店舗を訪れると、またも店員に難癖をつけ、店員たちを困らせた。
これに危機感を覚えた店長は、男の殺害を決意。男の自宅を訪れると、背中や腕を刺し、殺害した。殺害後も店に出ていたという店長だが、後に通話記録から逮捕される。警察の取り調べに対し、店長は「たびたび弁当に言いがかりをつけられ、頭に来て殺した」と話したとのことだ。
このニュースには男性店長への同情の声が多数上がり、殺された男については「最低の行為をしていたのだから当然の報い」「全く同情できない」という声が上がった。しかし、店長の殺人行為が許されるわけはなく、「もっと違う方法があった」「お金で解決ではなく、しっかり本部に報告するべきだった」という声が出た。
責任感が強く、数か月で店長を任されるほど人望があった人間が、真面目すぎるがゆえに殺してしまった今回の事件。クレームを入れ続けたことをきっかけに恨まれ、命を奪われた男と合わせ、どちらも不幸な結末を迎えた事件だった。