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石原都知事 HONDAに宣戦布告

 三宅島復興の起爆剤として石原慎太郎東京都知事(76)が期待するバイクイベント「チャレンジ三宅島'08モーターサイクルフェスティバル」が17日から3日間の日程で開幕した。昨年に続き2回目。島に乗り込んだ知事は島民ら約150人の観衆を前に、イベントへの協力を拒んでいる国内4大バイクメーカーの中から本田技研工業(本社東京都港区、福井威夫社長)の社名を挙げてケンカ状をたたきつけた。ホンダがイベントを潰そうと裏工作を仕掛けたという。同社は本紙の取材に「事実無根」と回答しており、石原VSホンダが開戦した。

 知事は17日昼に三宅島に上陸。阿古地区で行われたイベント開幕のステージに立つと、挨拶もそこそこにホンダへの怒りをぶちまけた。
 「世界で1位か2位か知らんけど、日本1位のホンダってメーカーが、この大会を意識的に妨害してるんだよ。モーター関係のメディア、雑誌、新聞がこの取材(記事)を載っけたら、絶対に広告を出さないと言い渡しているんだ。こんな汚いやり方ってあるか? 小さな島が噴火災害の復興に立ち上がろうとするのを、なんでホンダみたいな大企業が潰そうとするんだよ。許せないよっ!」
 知事の尋常でない怒りようは行動パターンからも分かった。挨拶前に記者団を見つけると珍しく歩み寄って“ホンダ圧力疑惑”をリーク。
 ところが、挨拶でさっそく暴露したため、まったく意味がなくなった。その後の個別質問にはまともに答えず、すべてホンダへの怒りにつなげたほどだ。
 「楽しい行事をやっているのに、なんの沽券(こけん)か知らんけど潰そうとして、言論統制だろコレ?人間の自由を奪ってるんだろ? 見たいものを見させない。報道したいものをさせない。こんなのは絶対許さない。私、命を張っても戦う。みんなも戦うぞ、一緒に!」
 にぎやかなイベントを楽しみにしていた高齢者らは、突然の宣戦布告にあっけにとられるばかり。
 三宅島バイクイベントをめぐっては、昨年11月の第1回フェスタ前に、ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキの大手国内メーカーが撤退。公道レースに多少のリスクはつきものとする知事に対し、メーカー側は安全性確保にこだわって決裂した経緯がある。
 知事は「近いうちに社長と会って、文句を言ってやるよ。恥をかくのは向こうだから」と直接対決まで宣言した。
 一方、ホンダ広報部は「8月に都から『資金力を使って協力的なマスメディアに圧力をかけている』などとする抗議文書が来たので、そういった事実はありませんと、すぐ文書で返しました」と話す。昨年の撤退決定時に08年も参加しないと伝達済み。来年以降については、正式な協力要請が届いていないこともあって即答できないという。
 知事発言は複数の情報源によるものというが、「大相撲の八百長疑惑のように証拠がない」(知事)。しかし挨拶で「記者なんて、きょうひとりも来ていないよ」と激情のままに述べたのは言いすぎ。期間中、本紙を含む16社33人が取材エントリー。著名なバイク雑誌も入っている。第1回の昨年よりメディア数は減ったが、各社でニュースバリューの判断は異なるため、一概に妨害があったとは言い切れない。今後のホンダの出方が注目されるところだ。
 豪雨に見舞われた昨年のフェスタでは、知事は開催に反対した共産党に向け「悔し涙を降らせたけど、みんなの念願がかなって晴れた。ざまあみろってんだ」と述べた。
 ハーレーダビットソンの炎のヘルメットをかぶり、サイドカーに乗り込んだ知事は無邪気にピースサインを連発。しかし走り終えての感想は「スピードが遅すぎたな。オーバーヒートしちゃったよ(笑)」。どうにも怒りの収まらない様子だった。

○“空飛ぶ新種目”に観衆興奮
 圧力疑惑の火種である公道レースは2年連続で実現しなかった。しかし新たな目玉として、坪田地区のプロライダーによるフリースタイル・モトクロス(FMX)が加わった。
 7月にお台場で開催したプレイベントと同様、高さ10メートル以上のアクロバットジャンプを連発するたびに観衆が沸く。最高到達点での後方宙返り。小さな男の子が「すげえ」と目を剥いた。派手さでは、速さと爆音のドラッグレースに負けず劣らずで、陽気なMCが会場を盛り上げた。
 神着地区ではライディング技術を競うトライアル・デモンストレーションが行われ、国際A級ライダーが岩を駆け上がった。バイクパレードを見守る沿道の島民は小旗や手を振って歓迎した。親子バイク体験教室や、オリエンテーリングのようにバイクで島内各ポイントを回るチャレンジツーリングも新設された。
 18日には、4月に空路が再開された三宅島空港を封鎖し、国内最長の402.33メートルの滑走路で1対1でラップを競うドラッグレースを実施。昨年は日本モーターサイクルスポーツ協会(MFJ)公認の全日本選手権として開催されたプロストックバイククラスは、最速300キロ超の目玉競技ながらMFJ承認競技会にランクダウンした。また18日朝現在までに、サーキットの華であるレースクイーンの来島は確認できていない。

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