夕暮れどき、夏季限定企画「サタデーナイト@TAMAZOO」を開催中の多摩動物公園に潜入した。「動物の“夜の営み”が見られるナイスなイベント」(事情通)との眉つば情報を確認するためだ。園内に足を踏み入れると、なるほどその魅力は決して涼しいばかりではなかった。真夏の夜の動物園見学にはどこかミステリアスなムードが漂い、雰囲気がやたらいいのである。
この暑さで昼はバテている夜行性の動物たちが動いているところを見られるほか、その本能が呼び起こされる夜の生態が垣間見られる。カップルにはムード満点のデートスポットといっていい。
同園最大のウリは、東京郊外の広大な敷地を活かし動物を群れで飼育しているところ。「特にほ乳類のような社交性の高い動物は群れで飼育しないとダメになっちゃうんです。一匹だけを囲っちゃって飼育すると、いざオス・メスをカップリングさせてもうまく繁殖してくれないんです」とベテラン飼育員は語る。人間界でも聞こえてくるような話だ。
園内では、キリンやフラミンゴ、ゾウ、ニホンザルといった人気動物の群れの様子を直接歩いて見て回ることができる。
さらに、訪れた際には彼女と絶対に立ち寄りたいのが、日本でここにしかいない夜光虫「グローワーム」を飼育する昆虫園だ。室温20度以下、湿度100%で管理された涼しい暗室の壁には、約300匹のグローワームが生息している。星空のような光景に彼女のムードは最高潮に盛り上がるだろう。
この虫は実はハエの一種。幻想的な光を放つのは幼虫の時で、成虫(ハエ)になると3日しか生きられない。成虫には口がなく、何も食べず交尾をして卵を産んだら死ぬのみという、“ザ・セックスマシーン”の一面もあるのだ!
「飼育のためにはその3日間にペアリングしなきゃいけない」と飼育員の苦労もひとしお。考えようによっては、おり姫とひこ星みたいで大変ロマンチックな生き物だ。
一方、大型動物で肉食系の象徴である百獣の王ライオンもおもしろい。強いオス数頭を中心にメスばかりのハーレムを形成することで知られるようにその性豪っぷりは肉食系男子も顔負け! 生きるか死ぬかの野生の動物界では、やっぱり肉食系男子がモテるようだ。
「ライオンは夜に狩りをします。昼は動くだけで暑いからでしょうね。えっ、そっちの方の“狩り”ですか? 交尾も昼は暑いからやらないんです。夕暮れどきや夜明け前が盛んですよ」(同)
ということは、運が良ければサバンナの王様の交尾が拝見できるチャンスあり!?
「でも、ウチはお爺ちゃんライオンばっかりですからね、どうでしょう(笑)。ビアガーデンや動物と触れ合えるイベントもありますので、若い人にもぜひ一度足を運んでほしいですね」(同)
初デートのカップルもマンネリカップルも、たまにはこんなデートどうですか?(関)
◎問い合わせ
夜間開園は8月中の各土曜日に開催。入園は19時まで。20時半閉園。入園料は一般600円(中学生200円、65歳以上300円)で小学生以下は無料。多摩モノレール「多摩動物公園駅」下車すぐ。