「文大統領は南北実務者会談が実現し大喜びですが、正恩委員長は笑いをかみ殺すのに苦労していることでしょうね。アイスホッケー合同チームの結成だけでなく、開会式における統一旗を掲げた南北合同の入場行進など、文政権が提案した南北融和策は、すでに国内から批判を浴びているのですから」(前出・元特派員)
日本人はすっかり忘れてしまったかもしれないが、昨年9月、平昌五輪の公式サイトに掲げられた世界地図から日本列島が抹消されるという一件が持ち上がり、日本政府が抗議するという一幕があった。韓国側は「単純ミス」と釈明したが、その後の「慰安婦合意見直し」という“ちゃぶ台返し”を見れば、嫌がらせ以外の何物でもないのは明白だ。
「日本を“仮想敵国”とする韓国海軍の空母導入計画が、保守系オピニオン誌『月刊朝鮮』1月号によってスッパ抜かれました。朴槿恵前政権期のことですが、日韓はいわば準同盟国ともいえる関係であるにもかかわらず、空母の必要性の一つとして、日本との戦闘が挙げられていたのです」(軍事アナリスト)
こうした韓国の反日気運に乗じ、北朝鮮は五輪開会式の前日に当たる2月8日に『軍創建70周年』をアピールするための大規模な軍事パレードを行い、核搭載の大陸間弾道ミサイル(ICBM)を誇示する可能性が出てきた。
「これは韓国の趙明均統一相が明らかにしたものです。また正恩委員長は、2月8日を新たに北朝鮮軍の創建記念日としたことを示す文書を在外公館に送付しています。北朝鮮軍の創建日は、当初、1948年2月8日でしたが、'78年からは金日成主席が抗日遊撃隊を組織した日とされる'32年4月25日に変わっていました。今回の決定でこれが先祖返りしたわけです。この意味は深い。というのも、北朝鮮は国家としての正統性の根拠を『金日成主席が日本帝国主義と戦闘し勝利した』事実に置いています。ですから『日帝と戦っていない韓国に正統性はない』という立場です。かつての学生やインテリは、北朝鮮が歴史を改ざんしたこの“正統性”に憧れ、これが韓国左翼の原点となり、文大統領のみならず、政権の側近らはこの北朝鮮の正統性を信じる人々で占められています。つまり、統一旗で臨む五輪の前日に行われるこの軍事パレードでの核搭載のICBMは、『統一朝鮮』の持ち物であると宣言しているに等しいのです」(前出・国際ジャーナリスト)
日本がさらに警戒しなければならないのは、韓国が安倍首相訪韓に続いて天皇陛下の訪韓を促し始めていることだ。
「昨年9月22日には李洛淵首相がマスコミとのインタビューで『退位される前に韓国へいらして、両国がほどけなかったしがらみを解いてくだされば、両国関係の発展に大きな助けになる』と発言、その1カ月後の10月25日には、李洙勲駐日韓国大使が同様の発言を行い、さらに同月30日には康京和外交部長官が、これを念押ししています。韓国側から天皇訪韓を望む声が出たことは初めてではありませんが、首相、駐日大使、外交部長官が約1カ月という短期間にこのように直接的にメッセージを伝えたのは、これまでに例がありません」(同)
仮に天皇陛下の訪韓が実現したとして、韓国国民の天皇観は前述した安倍首相と似たり寄ったり。もし何かあれば、日韓関係は未来永劫、修復不能となる。北朝鮮のみならず、かの大国が一番それを望んでいる。