球宴前日の7月13日、巨人はコーチスタッフの配置換えを発表している。斎藤雅樹二軍監督(52)が一軍投手コーチとなり、一軍のブルペン担当だった田畑一也コーチ(48)がスコアラー職に異動となった。これにともない、新二軍監督は内田順三巡回打撃コーチ(69)が就き、これまで一軍投手を統括してきた尾花高夫コーチ(59)がブルペン担当となった。この新体制は「高橋政権の長期化」を意味する。
「巨人監督は生え抜きのOBから選ばれていますが、OBなら誰でもいいってわけじゃない。エースか、4番です。その重圧に耐えることのできた人材でなければ、務まらないと見ているからです」(チーム関係者)
元エースの斎藤コーチは、当初、二軍監督として采配を学んできた。昨年はファームを21年ぶりの日本一に導き、U―23W杯でも指揮官を任された。「高橋監督の次は斎藤二軍監督」と見る向きがチーム内外にも出始め、その“後任カード”を一軍昇格させたということは、高橋監督の敗戦にも責任を負う立場になったわけだ。また、後任の二軍監督となった内田氏は、高橋監督が現役時代から「打撃指導の師」と仰ぎ、慕ってきた先輩だ。また、こんな声も聞かれた。
「これまでの高橋監督の助言役ですが、攻撃面は村田ヘッドコーチ、投手交代に関しては尾花コーチでした。尾花コーチはブルペン担当となるので、斎藤コーチがアドバイスを送ることになります。尾花コーチは(個人の)技術指導に定評があるので救援投手の好不調を見極めるには最適」(プロ野球解説者)
スコアラーとなる田畑コーチの任務は、もっと重要となる。肩書は「運営部戦略室スコアラー」だが、当面は広島に密着し、対策を練る。前半戦の対広島14試合を振り返ってみると、計81失点。巨人投手陣が丸裸にされていることは明白だ。すでに11敗を喫しており、対策を急がなければ広島の独走態勢を許してしまう。
「田畑氏はスコアラーの経験もあり、ヤクルト時代は古田(敦也)氏と『最優秀バッテリー賞』に選ばれたこともあります。当然、野村ID野球も学んでいるので」(前出・同)
とはいえ、シーズン途中から対戦チームのデータを作り直すのは並大抵ではない。7月25日からの広島3連戦に負け越せば、今季の対広島戦の負け越しも決まる。後半戦の再浮上のカギは広島と“互角以上”に戦えるかどうかに掛かっており、田畑氏の責任は重大だ。というより、田畑氏が後半戦の責任を全て負わされることにも成りかねない。
「前半戦、巨人ベンチは広島打線に打たれる度に『完全にこちらの配球を読まれている』と疑心暗鬼になっていました。これまでと全く違う対策を示さないことには巨人選手の不安は解消されません」(前出・同)
首位の広島とのゲーム差は14・5。これだけ開いたものを縮めるのは並大抵ではないが、やはり後半戦最初の広島戦を勝ち越せなければ、巨人ベンチは早々に消化試合の様相となるだろう。
(スポーツライター・飯山満)