ここで売られている自然薯ドーナツとは、見た目は普通の手作り感のあるドーナツだが、他店や既製品のドーナツと違い、もちもちとしていて、かつしっとりとした食感があり、甘さもくどくなく、さっぱりとした味に仕上がっている。さらに、すぐに口の中から消えていってしまうほど口どけも柔らかく、口どけ、味、食感も三拍子揃った納得する一品であった。
そもそも、犬山市で自然薯の栽培が盛んになったのは、古くは織田信長や豊臣秀吉、犬山城城主の成瀬正成まで歴史を遡る。成瀬家が、主料理に自然薯を使い、食していたのが始まりといわれている。
そして、『くいもんや源』の代表・林泉さんが20年の自家製ドーナツ作りの経験を生かし、地元の自然薯を使用し、これで何か名物はできないかと考えて試行錯誤を重ねた結果、自然薯ドーナツを開発した。ドーナツの原料として使われている自然薯は、『夢とろろ』といい、地元犬山市の『犬山東部じねんじょ部会』のメンバーの方々が生産しているものである。
自然薯ドーナツは、今年の2月に開かれた『農商工連携・地域資源活用フォーラムinなごや』にも出品され、地域産業資源活用事業として認められた。現在、『くいもんや源』では、さらなる販売拡大を目指し、全社員が一丸となり動いている。この認定をきっかけに人気がさらに増えていきそうだ。また、自然薯ドーナツは、口コミから広がり、デパートや喫茶店、高速道路のサービスエリアや愛知県のアンテナショップなどでも取り扱われ、犬山市内の名物としてPRされている。
皆さんも、犬山市に行き、名物の自然薯ドーナツを食べ、この地に訪れた観光客の方々にも広めながら、犬山の食文化や古い町並みに触れてみてはいかがだろうか?
(長坂みさき 山口敏太郎事務所)