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妖怪のビオトープ? 和歌山・日高港の「sioトープ」

 昨年10月、和歌山県御坊市の日高港に、9体の妖怪の石像を建てた「sioトープ」が完成しました。その名の通り、地名の「塩屋」と海の「潮」と「ビオトープ」(生物空間)を掛けたネーミングの、生物観測地を兼ねた公園です。しかし、「観光名所にしたい」という御坊市の意志があるとはいえ、世間で無駄な公共施設の問題が取り沙汰されている中、「今、なぜ妖怪なのか」という疑問はありました。

 ところが実際行ってみると、綺麗に整備された公園内はベンチや東屋(あずまや)、トイレなどの施設も充実しており、海水を引き入れた親水池では海辺の生き物を間近で観察することができます。その池の所々には鬼太郎、猫娘、ネズミ男などおなじみの妖怪たちの石像が立っていますが、その他にも、和歌山に関係する妖怪たち(カシャポ、高女、牛鬼、河童、モクリコクリ、畳叩き)の石像も可愛らしく、なんとも寛げるいい空間の公園になってました。東屋の中には、石像の妖怪を説明するパンフレットも備えてあり、しっかりその妖怪たちと触れ合うこともできます。

 そして、なんと言っても周辺には、桜の名所として有名な「熊野古道九十九王子」の一つである塩屋王子神社(別名美人王子)があり、春には遠目に桜を眺めながらゆっくりできて素敵なのでは、と思いました。また、近くには御坊市の天然記念物に指定されている「はまぼう」の群生地があり、シーズンには美しい白い花が見られるでしょう。さらに少し足を伸ばすと、安珍清姫で有名な道成寺や、天狗が建てたといわれる興国寺があり、和歌山の妖怪伝説に触れることもできます。公園のある日高港は釣りの名所でもあり、多くの釣り人が訪れるので、こういったトイレのある休憩施設があれば、とてもありがたいのではないかと思いました。

 観光名所というよりも、観光の合間のちょっとした休憩に立ち寄るにはもってこいの空間ではないかと思います。いつまでも、誰からも愛される公園であって欲しいです。

(sel 山口敏太郎事務所)

参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou

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