でも、夢の中の私がどうなるのかわからない。けど、これは夢なんだから、私の頭の中の想像がそのまま現実になるのかな。私が考えたとおり、思ったことがそのまま起きたら、うれしいな。
私、ずいぶん歩いたみたい。汗をかいている。でも、夢の中の私は疲れていないみたい。夢だから疲れること、ないのかな。
山道はずっと平たんだ。上っているわけでも、降りているわけでもない。そのうちに、がけ際の道に出た。
ずいぶん荒い道だ。ほとんど岩場だ。所々、崩れている。目の前に、大人の歩幅ほどの割れ目がある。
どうしよう。飛び越えられるかな。それにパジャマだし。でも、ちゃんと運動靴を履いている。けど、なんで靴を履いているのだろう。今、私は、お姫様の蚊帳の中で寝ているはずなのに。それでも、私は、勢いをつけて飛び越えた。
すごい。ここは樹海だったんだ。一面に森が広がっている。向こうは火山みたい。火山のほうの空で、鳥が飛んでいる。
なんで。私、今、火山にいる。熱い。上から小石が落ちてくる。下のほうは、真っ暗だ。落ちたら、たいへんなことになる。見上げると、雲に覆われた火口が、赤く燃えていた。
なに、悲鳴がする。鳴き声みたい。風だ。強い。足もとから小石が落ちた。また聞こえる。そばに何かいる。動物か何か。急に、怪鳥の翼が見えた。
怖い。怪鳥がすぐそこを飛んでいった。鳥をこんなに近くで見たのははじめてだ。どうしよう。見つかったら、さらわれてしまう。怪鳥は遠くの空を飛んでいた。
あんな遠くを飛んでいる。今、そこにいたのに。怪鳥が、今度は、下に降りた。でも、また上空に行った。同じ場所を回り始めた。誰かを捜しているみたい。
(つづく/文・竹内みちまろ/イラスト・ezu.&夜野青)