路上パフォーマンスを中心に活動するピカ後藤さんは、今年65歳になった。
終戦の昭和20年、岩手県に生まれ、20代の頃は池袋を中心に活躍するDJだった。それが40代になって、「人の曲ばかりをかけていてもつまらない」と、覆面をかぶってステージに立ち出した。それがパフォーマーへ転身するきっかけになった。そんな面白い経歴を持つ。
ストリートライブが華やかだった昭和60年代の原宿歩行者天国には「怪人ハテナ」の名で登場、一躍人気者にもなった。
DJ時代には、柄本明さん、ベンガルさん、高田純次さんらとも交流があり、彼らのコント劇団の名前を「東京乾電池」と命名したというエピソードも持っている。
そんなピカ後藤さんが、平成10年、自身の新しいパフォーマンススタイルを模索する中で考案したのが、「顔面紙芝居」だった。以後、それが様々なパフォーマンスを行ってきたピカ後藤さんの新しい「顔」になった。
紙芝居の登場人物の顔の部分だけが、穴があいていて、そこにピカさんが顔を突っ込んでいろんな表情を見せる。びっくり顔、怒り顔、叫び顔、笑い顔…。
色彩豊かな紙芝居の絵に負けじと、ピカ後藤さんの表情もまた豊かなのだ。そして何よりもとてもパワフルなのだ。
東京都が認定するヘブンアーティストの資格も取り、井の頭公園、小金井公園など、都内の様々な場所で「顔面紙芝居」を行う。
パフォーマンスを行う場所は路上にとどまらず、児童館、学校、商店街と様々。お客さんはやっぱり家族連れがとても多い。特に子供には大人気だ。
『たけしの誰でもピカソ』(テレビ東京)や『はなまるマーケット』(TBS)など、メディアにも多数取り上げられた。
そんなピカ後藤さんは、最近その名を「ピカ後藤」に加え、「いさお65才」とも改めた。まだ現役大学生のモンキー22さんというパフォーマーと新コンビも結成、「フィンガー紙芝居」なる新しい芸にも挑戦するという。
いくつになっても、夢を追い続けるピカ後藤さんの活動はとても素敵だ。
路上パフォーマンスは毎週土日、午後の井の頭公園で見ることができる。あなたも一度、ピカ後藤さんのバイタリティに触れてみては。
(写真家「東京人物画」名鹿祥史)
http://www.geocities.jp/ondaatjebookers/