その前に、成海璃子のパブリックイメージについて説明しておこう。小学生から女優として活動し、これまでに『1リットルの涙』や『ハチミツとクローバー』といったドラマ、そして『神童』や『あしたの私のつくり方』などの映画に出演してきた。若くして主演に抜擢されることも少なくない。だが、どちらかというと、感情の起伏の少ない印象がある(全部見たわけじゃないが)。
というか、あんまり笑っている印象がないのだ。現役高校生の年齢ならば箸が転がっても大爆笑するもの(女性にとっては、男の一方的かつ嫌な思い込みかもしれないが)。「もっとストレートに感情を出せばいいのになぁ…。もったいない!」と感じていた。
実際、私の信頼すべき事情通たちも、「あんまり笑ってくれない」「素直さを感じない」と嘆くことしきりだったので、余計にそう感じていたのである。
ところが!『バニラ気分!』での成海璃子は違った。料理を供してくれる松平健(54)がミンサーで鶏肉をミンチにする場面を見て、大爆笑したのだ!どうやらニュルニュルと肉が押し出される様が可笑しくてたまらないらしい。さらに、今田耕司(42)が電子レンジの扉を開け閉めしただけで大爆笑!そうだよ、こんな成海璃子を見たかったんだよ!
この放送を何気なく見た視聴者は間違いなく成海璃子に対し「よく笑う子」という刷り込みがなされたはずだし、好きになったに違いない。屈託なくケラケラ笑う16歳(しかもカワイイ)を嫌いになる理由など、どこにあるというのか?無条件にファンになるに決まっている。
この日の『バニラ〜』はわずか14分ほどの出演だったが、10本の映画に主演したのと同等の意味がある(もちろん「女優」というベースあっての話とはいえ)。こういう奇跡が起きるから、トークとバラエティーは見逃せないのだ。