モームリは本人に代わり退職意思を伝えるサービスで2022年に設立。24時間365日、電話やメール、LINEで対応しており、同社のホームページによると「累計4万件以上の退職を確定させた」という。帝国データバンクによると、同社は25年1月期の売上高は3億3000万円。
今回、疑われているのは「非弁(ひべん)行為」というものだ。弁護士以外の人が、報酬を得て紛争解決や交渉、周旋などの法律事務を行うことを弁護士法72条が禁じている。同社は、依頼者を弁護士に紹介し、紹介料として違法に報酬を得ていた疑いが持たれている。
以前からモームリは「弁護士資格を持たないスタッフが、実質的に交渉行為をしていたのではないか」と週刊誌などが指摘していた。だが、同社は「我々はあくまで依頼者の退職の意思を伝えているだけであり、交渉はしていない」と反論してきた。
一方で「モームリで働くことがモームリ」と別の退職代行を使って退職者が相次ぐ皮肉な事態に陥ったり、一部の報道で谷本慎二社長によるパワハラ疑惑が報じられたりしていた。
ネットでは、今回のニュースのコメント欄に「話題になり始めた頃から、これは紙一重、むしろアウトではという印象がありました」「法律が社会に追いついてない分かりやすい事例だね」など賛否両論の意見が寄せられた。
モームリを筆頭に退職代行会社は乱立し、業界自体が活性化している状態だ。しかし、今回のモームリの非弁行為の疑いは、業界全体が抱える構造的なリスクといえる。退職という非常にシビアでナイーブな事柄であるからこそ、早急に代行業務と法律業務の線引きを明確にしなければならない。