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ボクシング 「3大世界戦」で明暗ドラマ 粟生 4カ月で王座転落

 WBA、WBC世界3大タイトルマッチが14日、東京・後楽園ホール、神戸ワールド記念ホールでそれぞれ行われ、日本人ボクサーは1勝2敗で負け越し。明暗がクッキリ分かれた。WBC世界フェザー級王者の粟生隆寛(帝拳)は、同級1位のエリオ・ロハスに(ドミニカ共和国)0-3で判定負け。まさかの王座陥落となった天才ボクサーだが、その背景にはレジェンドボクサーの幻影がチラついていたという。

 この日、ランキング1位のロハスとの指名試合に臨んだ粟生。初防衛戦でドミニカ共和国からの“最強の刺客”を迎え撃った。
 序盤からカウンター狙いのチャンピオンだったが、相手が手を出さず、なかなか踏み込んでいけない。4Rが終わったところで、ジャッジは挑戦者を支持。5R目にワンツー、右ストレートなどを被弾し、ますます挑戦者を勢いづかせてしまった。
 主導権を握ることが出来ないまま中盤戦に突入。7Rに左ボディー、右フックで反撃ののろし。9Rにはカウンターの左フックがさく裂し、相手をグラつかせた。
 その後も攻め続けたが、ロハスを捕らえきれず。終わってみれば、予告されていたKOこそ免れたが前半に失ったリードを挽回することができず、0-3の判定で完敗、初防衛に失敗。

 悲願のベルト奪取から4カ月。早くも緑のベルトを手放すことになってしまった。試合後、粟生は「負けました。相手の方がうまかったですね。自分のボクシングをやらせてもらなかった」と素直に完敗を認めた。
 田中繊大トレーナーは「ロハス選手がもう少し前で打ち込んでくると思ったが、絶妙な間合いだった。リズムに乗れなかったし、いきたくてもいけなかった」と敗因を分析。
 所属する帝拳ジムの浜田剛史代表も「予想外に下がりながら打ってきたパンチが伸びる」と語った。相手の方が上手だったというのが粟生陣営の見方だが、どうやら敗因はそれだけではない。
 この日、粟生Tシャツを着て観戦に訪れていた電撃ネットワークの南部虎弾氏は独自の視点でこう解説する。
 「相手のペースで進んだ。(粟生が)輪島(功一)さんみたいな変則的なスタイルに対応できなかったですね。やはり相手が強かったんじゃないでしょうか」
 輪島氏といえば、かえる跳びパンチというオリジナルのパンチで世界スーパーウェルター級王者にまで登りつめた、伝説的ボクサー。ロハスにそれと同じ匂いを感じたという。
 レジェンドボクサーの幻影を倒すことができず、スーパースターに成りそびれた粟生。再び世界に挑戦するときは、ぜひとも歴史に名を刻むようなボクサーになっていてほしいものだ。

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