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ストーブリーグ情報(埼玉西武編) 補強よりも現有戦力アップを選択した事情

 エース・涌井秀章が国内FA権を行使し、千葉ロッテ入りの正式発表は『時間の問題』だという(12月2日時点)。球団は涌井と話し合ったが、FA制導入以降、ライオンズは「去る者は追わず」の様相も強い。気になるのは、その後のチーム方向性だ。伊原春樹監督の11季ぶりの復帰が決まり、新体制で秋季キャンプを行ったが、大掛かりな補強はせず、「現有戦力のアップ」を目指すという。ドラフト、育成に定評のある西武らしい“所信表明”ではあったが、ソフトバンク、オリックス、千葉ロッテは確実に補強を進めている。ドラフト会議ではアマチュアナンバー1捕手・森友哉(18=大阪桐蔭)の一本釣りに成功したものの、「即戦力か?」と問われれば、キャッチャーというポジションの性格上、2、3年はファームで勉強することになるのかもしれない。
 伊原監督に託されたのは、ペナント奪回。涌井、クリーンアップを打ってきた片岡浩大を失っても、現有戦力で戦っていけるのだろうか。

 牧田和久 8勝9敗(-1)
 岸孝之 11勝5敗(+6)
 十亀剣 8勝8敗(±0)
 野上亮麿 11勝7敗(+4)

 規定投球回数に到達した主力先発4投手で作った貯金は「9」。8月以降、“スタミナ切れ”したものの、菊池雄星は17試合・9勝4敗(+5)と好成績を残している。この菊池を始め、二軍で頑張った中崎雄太(27試合90回2/3)、藤原良平(31試合101回2/3)が“レベルアップ”してくれば、数字上では『涌井喪失』は痛手にはならない。
 今季の涌井は先発でスタートしたが、5月に連続KOを食らい、その後はリリーフに格下げされた。『涌井喪失』について、投手出身のプロ野球解説者はこう語っていた。
 「9月25日から『10日間連続登板』しており、うち6試合連続でセーブポイントを稼いでいます。こんなふうに無理の利くリリーバーはなかなかいない…」
 夏場以降、疲れの出る時期にリリーフ陣は苦労するのではないだろうか。

 すでに、米レッズ3Aのグレッグ・レイノルズ投手を獲得している。変化球主体の技巧派投手と紹介されており、1試合あたりの与四球は「1.5個」。コントロールが良いので日本球界にも適応してくれるだろう。
 「来季、岸孝之がFA権を取得します。西武は岸の流出も念頭にあるのでは?」(前出・プロ野球解説者)

 片岡の巨人入りが決まった。「涌井=千葉ロッテ入り」と想定し、西武は人的補強を求めていくが、両球団に対し、『リリーフ・涌井』の抜けた穴を埋められる救援タイプの投手を狙うと思われる。
 FA宣言した涌井はAランク、片岡はBランク。人的補償を行使しても、「Aランク=年俸50%分」、「Bランク=40%分」が同時に得られる。13年、西武球団の平均年俸は3507万円(選手会発表)。12球団中7位。涌井の推定年俸は2億2000万円で、片岡は9500万円だった。1億9000万円の石井一久も引退し、チーム総年俸は彼らが退団しただけで5億余が減った計算だ。
 シーズン中、球団経営の存続を危ぶむ報道も見られた。ライオンズは主力が抜けても優勝できるという『費用対効果』も西武グループ内にアピールしたかったのではないだろうか。

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