伊原監督に託されたのは、ペナント奪回。涌井、クリーンアップを打ってきた片岡浩大を失っても、現有戦力で戦っていけるのだろうか。
牧田和久 8勝9敗(-1)
岸孝之 11勝5敗(+6)
十亀剣 8勝8敗(±0)
野上亮麿 11勝7敗(+4)
規定投球回数に到達した主力先発4投手で作った貯金は「9」。8月以降、“スタミナ切れ”したものの、菊池雄星は17試合・9勝4敗(+5)と好成績を残している。この菊池を始め、二軍で頑張った中崎雄太(27試合90回2/3)、藤原良平(31試合101回2/3)が“レベルアップ”してくれば、数字上では『涌井喪失』は痛手にはならない。
今季の涌井は先発でスタートしたが、5月に連続KOを食らい、その後はリリーフに格下げされた。『涌井喪失』について、投手出身のプロ野球解説者はこう語っていた。
「9月25日から『10日間連続登板』しており、うち6試合連続でセーブポイントを稼いでいます。こんなふうに無理の利くリリーバーはなかなかいない…」
夏場以降、疲れの出る時期にリリーフ陣は苦労するのではないだろうか。
すでに、米レッズ3Aのグレッグ・レイノルズ投手を獲得している。変化球主体の技巧派投手と紹介されており、1試合あたりの与四球は「1.5個」。コントロールが良いので日本球界にも適応してくれるだろう。
「来季、岸孝之がFA権を取得します。西武は岸の流出も念頭にあるのでは?」(前出・プロ野球解説者)
片岡の巨人入りが決まった。「涌井=千葉ロッテ入り」と想定し、西武は人的補強を求めていくが、両球団に対し、『リリーフ・涌井』の抜けた穴を埋められる救援タイプの投手を狙うと思われる。
FA宣言した涌井はAランク、片岡はBランク。人的補償を行使しても、「Aランク=年俸50%分」、「Bランク=40%分」が同時に得られる。13年、西武球団の平均年俸は3507万円(選手会発表)。12球団中7位。涌井の推定年俸は2億2000万円で、片岡は9500万円だった。1億9000万円の石井一久も引退し、チーム総年俸は彼らが退団しただけで5億余が減った計算だ。
シーズン中、球団経営の存続を危ぶむ報道も見られた。ライオンズは主力が抜けても優勝できるという『費用対効果』も西武グループ内にアピールしたかったのではないだろうか。