12月上旬に正式契約し、入団会見する予定の井端は球団広報を通じ、「伝統ある強豪チームで、経験豊富な原(辰徳)監督のもと、自分の力の限界に挑戦できることをうれしく思います。自分の経験がチームの役に立つのなら、積極的に若い選手に伝えていき、さまざまな形でジャイアンツの勝利に貢献したいと思います」とコメントした。
再就職先が決まり、ホッと胸をなで下ろしたはずの井端だが、“選手”としては、いばらの道が待ち受けている。巨人が井端に期待を寄せているのは、若手内野手への指導役、そして、近年のライバル球団である中日の機密情報の提供だ。
井端とポジションがかぶる遊撃には、中心選手である坂本勇人(24)がおり、出る幕はない。二塁には進境著しい中井大介(24)を始め、寺内崇幸(30)、脇谷亮太(32)、藤村大介(24)らがおり、若手より優先して、井端を起用するとは思えない。
しかも、巨人は西武からFA権を行使した片岡治大内野手(30)の獲得を目指しており、巨人入りが決まった場合、“選手”井端の出場機会は限定され、守備固め、右の代打要員、故障者が出た際のバックアップ程度になる。井端は2000本安打まで、あと193本に迫っているが、巨人にいる以上は、それも風前の灯だ。
それでも、なぜ井端は巨人入りに踏み切ったのか…。井端はもともと、神奈川県出身。嫁である元テレビ朝日アナウンサー・河野明子さん(34)は東京都出身で、名古屋にこだわる必要は毛頭なく、在京球団への入団は願ったりかなったりで、地元に戻れるとあって、嫁・明子さんも巨人入りに大喜びだという。
そして、なんといっても、“巨人ブランド”を身にまとえることは、井端にとって大きいようだ。球団からは若手の指導役に任命されただけに、引退後、コーチとして巨人残留、あるいは“巨人ブランド”を生かしての解説者活動も可能になる。
一選手として、レギュラーを獲ることは絶望的な状況の井端だが、さまざまな恩恵を期待しての巨人入り決断になったようだ。
※金額はすべて推定
(落合一郎)