前田健太 15勝7敗
野村祐輔 12勝6敗
バリントン 11勝9敗
大竹寛 10勝10敗
このカルテットの一角だった大竹寛がFA権を行使し、巨人入りを表明したのは11月25日だった。これを受け、松田元オーナーは「ポジションに関係なく、若くて、いい選手を」と、早くも人的補償を求める意向を明らかにした。大竹の人的補償が投手なのか、野手なのか…。巨人が28人のプロテクトリストを提出する前の段階だが、こんな声も聞かれた。
「広島はドラフト1位で大瀬良大地(22=九州共立大)、2位で九里亜蓮(22=亜細亜大)と、即戦力投手を2人も獲得できました。補強するとしたら、バッターでしょう。得点力不足を解消するためにも」(プロ野球解説者の1人)
大瀬良、九里の2人は先発ローテーション入りするだろう。それだけの力は持っている。しかし、広島が狙っているのは『先発タイプの投手』かもしれない。
今季、広島は前述の4先発投手で48勝を挙げた計算となり、「勝ち−負け」で考えると、「15」の貯金を作った。この計算式を他球団のローテーション投手に当てはめると、首位巨人は、内海、杉内、菅野、澤村で貯金13。2位阪神は能見、スタンリッジ、メッセンジャー、藤浪で8。数値的には広島が上だが、巨人は澤村が5勝10敗と奮わず、阪神はスタンリッジ(退団)が8勝12敗と負け越したものの、リーグ3位の防御率を残している。チーム防御率で見れば、阪神3.07、巨人3.21、広島3.46の順となる。喪失する大竹は10勝10敗で「貯金0」だが、連敗ストップ、3連戦の初戦などの大事な試合で勝ってきた。
首脳陣の心境からすれば、未知数の新人投手に委ねるのはちょっと怖い。前年に中日を解雇された久本祐一が前半戦にローテーション入りし、シーズン中、リリーフの青木を出して、巨人から先発タイプの小野淳平を獲得した経緯からしても、大瀬良、九里に次ぐ6人目の先発候補を獲りに行くのではないだろうか。
「チーム内でも一発を狙えるスラッガータイプを狙うのか、投手を補強するのかで意見が分かれています。大竹が他球団と交渉した時点で『人的補償』の話は出ていましたが、いまだ意見統一ができていない」(関係者)
堂林、丸、菊池、松山など若手野手が頭角を現した。野手は自前で足りていると判断すれば、巨人から有力投手を一本釣りして91年以来となる優勝を狙う…。