同作の著者にとって、この手の自己啓発ものは得意分野。一般論をくつがえすストレートな物言いに、感銘を受ける人もいれば、なかには反論を抱く人もいるかもしれない。
ただ、本書は単なる成功論を説いただけの内容ではない。「バカな若者が搾取される格差社会」と題して、非正規雇用に苦しむ20代、30代に向けて、なぜ格差社会が生まれるのか、だれが代わりに搾取しているのかを著者は本の中でハッキリと答えている。
社会批判をしながら問題の核心に触れない書物があふれるなか、ここまでストレートに本質を指摘されると逆に気持ち良い。そんな悩める世代が、安易な独立や転職に走ることへの警告の書でもあるのだ。
20代、30代の子を持つ親が、息子や娘に贈ってほしい一冊だ。(税別1200円)