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DVに近親相姦、レイプ! 鬼才が描く、AV女優の姿は「上辺だけの世間に対するアンチテーゼ」

 「昔、企画モノのAVを撮っていた時期があって。AVをやっている女の子って、感受性が強い」。そう語るのは、ピンク映画界の鬼才との異名を持ち、ならではの作品を寝ぼけた邦画界に突きつける佐藤寿保監督だ。

 企画AV女優たちの赤裸々な性とむき出しの生を描いた映画『名前のない女たち』が現在DVDで発売中。本作は、“企画AV女優”のノンフィクションインタビュー集が原作だが「DVあり近親相姦ありレイプ、輪姦された女の子、悲惨なものがたくさん。けれども、そこには必死にもがきながら生きている女性の姿があった。社会が抱えている問題が凝縮されていた」と感想を述べる。

 「そんな女の子たちにとって、自分を活かせる場所がたまたまAVの世界だった。しかし、ただそこで一生を終えるわけではない。特に若い女の子たちの中には、そういったところを通過してこなければ生きられないという部分があるはず」という佐藤監督の思想は、そのまま作品に反映されている。

 佐藤監督作品には「視線の暴力」「浮遊する少女」といったテーマが根底にある。本作には視聴を目的に生産されるAV、そしてそこに出演する少女というダイレクトな素材がそろっていたからこそ、「これまで映画は何本も撮ってきたけど、今回の場合は、このときでしか撮れない映像というのが多かった。芝居も現場で高めていって、ぶつかり合う感覚。そういう意味では、撮影を振り返って『ああすればよかった』というのはない」と断言できる。

 「上辺だけの今の世の中に対しての、アンチテーゼとして描写したかった」と佐藤監督が言うように、本作のラストには衝撃とともに力強い余韻がある。「主演二人の体当たりの演技を見て、感じてほしい。それに個性的な役者がたくさん出ているので、そこの個性のぶつかり合いも見所」と語りながら、「あとは何かしら感じていただきたい、というのが正直なところ。まあ、あんまり具体的に言っちゃうとね!」と意味ありげに笑っていた。

DVD『名前のない女たち』はハピネットより発売中(税込み:3,990円)

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