受付ロビー横に設置されたブースには、ACミランに所属する本田圭佑選手をはじめとするACミランの選手の直筆サイン入りユニフォームが展示。隣のショーケースにはACミランのサインボールが、なんと宙に浮いている。「一体、どうなっているのか?」と行き交う来客の方や社員も足を止め、不思議顔そうな顔でショーケースを覗き込んでいる。これは、「Flyvision」という新技術を使っている。「Flyvision」とは、ショーケースという小宇宙をゼロ・グラビティ(無重力)に変えるイリュージョン・ディスプレイ。バーセル国際時計・宝飾品見本市(2012年)でHublot(ウブロ)のブースを始めとして、多数の著名ブランドが採用。ハンガリーの企業により開発された。日本では、この東洋ゴム工業本社にあるもので、なんと2例目という貴重な展示物である。しかし、これだけではまだわからない。そこで、施行業者である乃村工藝社株式会社の叶地剛司さん・田上仁志さん。二人にこの技術について聞いてみた。
−−ACミランのサインボール、宙に浮いているように見えるのですが。これって、どんな仕掛けがあるのでしょうか?
田上さん 仕掛けというか…浮かせています(キリッ)。
−−そんなはずないでしょう?
叶地さん それは企業秘密なんですよ。
−−これを聞かないと、帰れないんです。そこをなんとかお願いします。
田上さん ズバリ、ACミランのプロフェッショナルな力を集めて浮かせています。実はこのサインボール、念力で回すこともできるんですよ。応援する気持ちを集めて。今回は直筆サインを見てほしいので、正面を向いたままですが。
−−ええっ!? それって、無重力状態ってことですか?
田上さん ご想像におまかせします(笑)。ちなみに、このディスプレイのケースが割れても浮いたままですよ。
叶地さん 試作品を作り、いかに美しく見えるかの試行錯誤を重ねました。アイキャッチで不思議だと思い、次はキレイに見えると思ってもらえたら…大成功。
−−技術についてお答えいただけないので、話題を変えます(大汗)。次は、何をディスプレイしたいのですか?
田上さん もちろん、トーヨータイヤのタイヤを回したいです。
−−それは、高速回転でしょうか?
田上さん ははっ(笑)。でも、展示するなら「タイヤの顔」ともいえるトレッドデザイン(溝の形状や深さ)をしっかり見せたいです。
真相は宙に浮いたまま、インタビュー終了。謎は深まるばかりだが、ACミランを応援する気持ちだけは伝わってきた。
【参考サイト】
http://www.toyo-rubber.co.jp/news/