09年名古屋場所(7月)で暴力団関係者が維持員席で観戦していた問題で、同部屋の師匠・木瀬親方がチケット斡旋に便宜を図ったとして部屋は閉鎖。当時十両だった臥牙丸(現小結)ら27人の力士らが、同じ出羽海一門預かりとして北の湖部屋に移籍した。
木瀬部屋は56年9月に創設。00年2月にいったんは閉鎖したが、03年12月に現木瀬親方が三保ヶ関部屋から独立して再興し、所属力士27人という大所帯に育てた。今回の部屋再興に伴い、臥牙丸らの旧木瀬部屋勢のほとんどが、同部屋に戻ることとなる。
八角広報部長(元横綱・北勝海)は「いろいろな意見はあったが、2年経ち、反省も見られる。将来的には預かっている北の湖部屋から出て行く力士だし、分かれるなら早い方がいい」と話した。
現在、旧木瀬部屋勢を受け入れた北の湖部屋は、春場所番付で角界最多の44力士が在籍するマンモス部屋となっている。協会理事長であり、当事者でもある北の湖親方(元横綱)は、「もう2年間預かってきた。お互いの力士にとってマイナスになってもいけないので、力士の将来を考えて決めた」とコメントした。
弱小部屋の吸収合併ならともかく、大所帯同士の合併は個々の稽古量が減ったり、部屋での生活空間が狭くなるなどのデメリットもはらんでいる。これまで、対戦していた力士同士が同部屋となり、対戦がなくなる弊害もある。旧木瀬部屋勢が元に戻ることで、メリットも少なくないだろう。
「最初から『時が経てば処分解除』は既定路線だったと聞いています。あの当時、暴力団排除を叫んでいるなかでは、処分せざるを得なかったでしょう。再興は予定通りですよ」(某角界関係者)
出来レースともいえそうな木瀬部屋再興。肝心なのは木瀬親方が2度と暴力団関係者とかかわらないようにすることだ。
(落合一郎)