大相撲初場所(両国国技館)はまだ4日目が終わったばかりだというのに、4人の大関陣は早くも優勝戦線から撤退の様相となった。
4日目(1月16日)、琴欧洲(29=佐渡ケ嶽)が平幕・妙義龍(26=境川)にはたき込みで敗れると、鶴竜(27=井筒)も平幕・安美錦(34=伊勢ケ浜)にはたき込まれ、稀勢の里(26=鳴戸)は大関復帰を狙う関脇・把瑠都(28=尾上)にすくい投げで敗れた。そして、琴奨菊(28=佐渡ケ嶽)は関脇・豪栄道(26=境川)に突き落とされて、4大関が総崩れする大失態を演じてしまった。
4大関すべてが敗れるのは10年春場所(3月=大阪)の中日(8日目)以来、約3年ぶり。この時は日馬富士(28=伊勢ヶ浜=現横綱)、琴欧洲、魁皇(40=現・浅香山親方)、琴光喜(36=解雇)の4人だったが、最終的に、同場所では日馬富士と琴欧洲が辛うじて2ケタの10勝(5敗)。琴光喜は9勝(6敗)、魁皇は8勝(7敗)止まりに終わり、全勝優勝した1人横綱の白鵬(27=宮城野)には遠く及ばなかった。
このていたらくに、北の湖理事長(元横綱)は「大関は全然いいところがない。負け方も悪い。まだ4日目だよ。誰かが優勝争いに残らないと。意地を見せてほしい」と怒り心頭。
今場所、4日目が終わった時点で、琴奨菊がただ一人、3勝1敗。稀勢の里、鶴竜、琴欧洲の3人に至っては2勝2敗。優勝争いは日馬富士、平幕の北太樹(30=北の湖)、栃乃若(24=春日野)が4連勝でトップを走り、白鵬らが1敗で追走している。
この先、中盤戦以降、大関陣には横綱、大関との潰し合いが待っており、1敗の琴奨菊はともかく、すでに2敗を喫している3大関が優勝争いに加わるのは難しい状況。
先場所(昨年11月九州場所=福岡)、5大関のなかで2ケタの10勝(5敗)を挙げたのは稀勢の里だけで、琴奨菊、鶴竜、琴欧洲は1ケタ勝利に終わり、2場所連続途中休場の把瑠都(28=尾上)は関脇に陥落。5人も大関がいても、誰一人、優勝争いに絡むことはできなかった。
今場所もまた同じことが繰り返されそうな気配だ。大関陣が奮起しなければ、優勝争いは盛り上がらない。もはや、この4大関には期待をかけるなということなのか…。
(落合一郎)