把瑠都は今場所2日目の松鳳山戦で左太腿裏を痛め、「左大腿二頭筋筋挫傷で約3週の安静加療を要す」との診断を受け、3日目から休場。9日目(19日)も再出場せず、2場所連続の負け越しが決定。これに伴い、大関から陥落することになった。把瑠都は来場所、10勝以上挙げれば特例で大関に復帰できる。
把瑠都は10年夏場所(5月=両国)で大関昇進。パッとしない成績が続いたが、今年初場所(1月=両国)で奮起し、14勝1敗で初優勝を遂げた。しかし、綱獲りを懸けた翌春場所(3月=大阪)では10勝5敗にとどまり、夏場所、名古屋場所(7月)と2場所連続で9勝(6敗)に終わった。秋場所(9月=両国)は右足親指はく離骨折のため、4日目から休場。今場所、初のカド番を迎えていた。
大関が関脇に落ちるのは、10年初場所の千代大海(現佐ノ山親方)以来、3年ぶり。千代大海は同場所で初日から3連敗を喫して引退した。また、栃東(現玉ノ井親方)は2度も大関から陥落したが、2度とも復帰を果たしている。
師匠の尾上親方は「とにかく今はケガを治すことが最優先。力がなくて大関から落ちるわけじゃないし、気持ちも保っている。きっちりと間に合うように治療を最優先させたい」と話した。
北の湖理事長は「一時は横綱に近づいただけに残念。もう一度、大関としての相撲を取るためには完ぺきに治した方がいい。一番の問題は本人の精神的な部分だ」と再起に期待した。
他の大関陣は8日目が終わった時点で、稀勢の里の6勝2敗が最高。鶴竜、琴奨菊、琴欧洲は揃って5勝3敗で、相変わらずの体たらく。この状況では、今場所もまた大関陣が優勝争いに加わることはなさそうだ。
某スポーツ紙相撲担当記者は「大関は数が多いだけで、優勝争いにも絡めないわけですから、人数が減るのはかえっていいことかもしれません。元々、把瑠都は相撲内容も評価されていませんし、表立って言う人はいませんが、来場所、大関復帰を決めてほしくないという声も、角界内では少なくないようです」と語る。
ケガが原因とはいえ、関脇転落という失態を演じてしまった把瑠都。これまでの相撲を見る限り、大関に戻れても、あまり期待はもてないかもしれない。
(落合一郎)