『GATE 7』は、歴史好きな高校生・高本到佳人(たかもと・ちかひと)が京都を旅行中に異能者に遭遇し、その戦いに巻き込まれるオカルト・ファンタジーである。
物語のモチーフは京都の上七軒である。上七軒は、室町時代の北野天満宮の再建時に、余った材木で七軒の茶屋を建てたことを起源とする、京都で最古の由緒ある花街である。その上七軒と同じ歴史を有するとされる「華街の裏七軒」が主要舞台であり、豊臣秀次や明智光秀など歴史上の人物の因縁が絡む。
主人公の到佳人は、東京の十字学園に通う高校生である。この十字学園は『xxxHolic』にも登場した学校である。CLAMP作品は『カードキャプターさくら』と『ツバサ-RESERVoir CHRoNiCLE-』のように、設定が互いにリンクしているという特徴がある。そのために『GATE 7』でも関連性が気になるが、この巻では主人公が十字学園に通うという説明以上のものはない。しかも到佳人は京都に転校しており、関連性は見られない。
到佳人は巻き込まれ型の主人公である。平凡な高校生であったが、京都旅行中に遭遇した・裏七軒の住人「はな」に興味を持たれ、裏七軒の住人になる。メガネをかけ、料理上手でツッコミ役という点で『xxxHolic』の主人公・四月一日君尋(わたぬき・きみひろ)と類似した役回りを演じている。本人は意識していないものの、裏七軒の住人にも理解できない特殊な能力を有している。京都に憧れ、実際の京都を何故か故郷のように感じたという到佳人の意識がヒントになりそうである。
これまでCLAMPは、主に講談社や角川書店で作品を発表しており、『ジャンプスクエア』の連載は初めてである。CLAMPらしい妖艶なファンタジー描写はそのままながら、『ジャンプ』らしいバトル要素も出している。たとえば最強の隠威(オニ)という存在によって強さの頂点・階層性を設定している。この最強の隠威をめぐり、この巻では強敵との激戦を予想させる結末となっている。ジャンプ色を出したCLAMP作品に注目である。
(林田力)