亡くなる数日前まで、新しい映画を見て原稿を書いていた、まさに人生そのものを映画と共に生きた淀川さん。その淀川さんがこの本の筆者、岡田喜一郎さんに「あんたは、僕のことを僕以上にわかっているから、何を書いてもいいよ」と常々おっしゃっていた。
明治、大正、昭和、平成を通して生涯で3万3000本以上の映画を見て「ヨドチョウさん」と親しまれた淀川長治さんの映画の楽しみ方はもちろん、淀川さんと仲の良かったスターや、監督との話、人生訓、ケチと言われていた理由や、ホモ説の謎など、親しい間柄だからこそ語れるエピソードが満載。
特に、「淀川長治映画の部屋」を長く製作、仕事以外でも一緒に食事をし、夜な夜な語り合う間柄だけに、淀川さんの言葉、口調もみごとに再現されている。映画をけなすことが評論のようにとらえられたり、もてはやされている昨今、映画を愛する心をこの本から学んではいかがだろうか。