連載は新章「最後の海 新世界編」と銘打っての再開で、休載前から2年後の設定である。主人公モンキー・D・ルフィをはじめ、成長した麦わらの一味の仲間たちが見られる。
2年の経過によって、物語中の世界情勢も大きく変わった。新世界ではルーキーたちが活躍し、海軍本部も新世界側に移転したという。ニコ・ロビンが何者かに追われているなど、読者に説明されていない謎も登場している。
もともと『ONE PIECE』は謎が多い漫画で、それがバトルの連続以上の魅力を作品に与えている。ワンピースやDの意思、リオポーネグリフ、過去に滅ぼされた王国、オールブルーなどである。そこに2年間で起きた変化という謎も加わった。
海軍本部の移転は新元帥の覚悟の現れと説明されている。海賊勢力の強い新世界で直接海賊に対峙するという覚悟である。新元帥については、休載前に海軍元帥のセンゴクが、自身の退任と大将青キジ(クザン)推薦の意向を示していた。
『ONE PIECE』では世界政府の正体も大きな謎で、オハラへの対応などから悪の黒幕という見方が優勢である。海軍3大将の中で青キジは唯一、組織に盲従するだけではなく、世界政府の欺瞞を見抜くことができそうな理性と良心を持った存在であった。その青キジが海軍のトップとなったか否かは、海軍の性格を考える上で重要な要素になる。世界政府や、その下で正義を信奉する海軍ははたして善か悪か。その描かれ方にも注目である。
(『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者 林田力)