公式サイトによると、「今年は視聴者の方々に日テレジェニック2009を選考していただきます。<この子こそ未来のトップアイドルだ!>と思うアイドルをテレビの前の皆さんが携帯サイトで配信中のコンテンツをダウンロードすると、あなたの一票としてカウントされます!」とある。「視聴者」というのは、企画と連動して放送中の番組『アイドルの穴』(日本テレビ)を見て下さい、という意味だ。
4月の番組開始当初は16人のアイドルが日テレジェニック候補生として出演していた。番組ではさまざまな試練が与えられ、困難に立ち向かう姿を見て、応援してあげたい子のコンテンツをダウンロードしてあげて下さい、人気のない子は毎週1人ずつ脱落を発表していきます、という企画である。
この連動企画、そして番組の方向性自体は悪くないと思う。
しかし、なぜだろう。私の周辺ではこの番組のことはまったく話題になっていない。私も初回を見ただけで視聴をやめた。本稿執筆のために録画しておいた映像を見返してみたのだが、やはり刺さるモノは感じなかった。これじゃ、出ているアイドルが可哀想っ! 全然ダメ!
では、何が問題なのか? 番組内容が出演アイドルを「応援」してあげたくなる構成じゃないからだ。先ほど「さまざまな試練」と書いたが、試練といったって電マで攻めて我慢させるとか、パンチラしないように幅跳びさせるとか、そんなぬる〜いモノばかりでして…。よく知らない子が電マで攻められて、どうやって感情移入しろというのか? もっと喜怒哀楽にスポットを浴びせないと!
どうしてリアリティーショーに針を振り切らないのだろう? かつて日本はリアリティーショー天国だった。『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』における「勉強して東大に入ろうね会」、『進め!電波少年』における旅企画、『ガチンコ!』における「ガチンコファイトクラブ」などを思い浮かべてもらいたい。すべてが素人かそれに近いタレントを使って、爆発的注目を浴びたではないか。
アイドル的に最も優秀なリアリティーショーは言うまでもなく『ASAYAN』だ。オーディション落選者を寄せ集めて、試練を乗り越えさせて、ミリオンセラーを出すまでの過程を描き切ったではないか。
アイドルを穴に落としているのは、『アイドルの穴』に関わっている大人たちなんですよ(司会の有吉弘行は悪くない)、皆さん!