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高橋四丁目の居酒屋万歩計 B級グルメの王者「厚木シロコロ」

 小田急線・本厚木駅からバス。バス停・白山から徒歩350歩。

 東京都内からだと、多摩川と相模川と、川を2本越えて、ちょっとした遠足気分が味わえる。公共交通機関を利用するアクセスは、新宿から小田急線で本厚木駅下車。北口から出ている東京工芸大学行きのバスに乗って、白山(しろやま)停留所まで。
 走り去るバスに背を向けて、マクドナルドの看板を左手に見ながら交差点を右折。そのまま道なりに進むと飲食店が4店、おなじ棟に軒を並べている。右から、焼き鳥「ごきげん鳥」、「千代乃」、中華「蘭花」、お弁当屋「かまどや」。厚木シロコロ・ホルモンで話題の「千代乃」の玄関先には、テレビや雑誌の取材風景や掲載記事で満艦飾状態。人気が人気を呼び、込み合う土日は予約制ではなく現地到着順になる。本日は土曜日。われわれ一行5人組は周到に準備をして一番乗りを果たした。二番手は地元ナンバーで乗り付けたおなじみらしい5人組。この地元民が“厚木愛”に燃えている方で、遠方からの訪問者を熱烈歓迎してくれた(わがメンバーの一人が新宿からロマンスカーでやってきたことを知るといよいよ感激してくれたので、それが初老の彼の頻尿対策からくるものであることは伏せざるを得なかった)。

 その講釈によると、名物はもちろんシロコロではあるが、ほかの部位も掛け値なしに美味いから適宜注文すべし! びっくりチョリソ、食うべし! 〆は、とんちゃっちゃにすべし! それでもまだいけるなら、ラーメンもいかが! 残念ながら、B級グルメの祭典「第4回B-1グランプリ」では秋田県横手市の「横手やきそば」にチャンピオンの座を奪われたが、「厚木シロコロホルモン」はかならずや首位を奪還する! 今年5位に甘んじたのにはワケがある。横手まで生シロコロを輸送できず、茹でたもので勝負せざるを得なかったのだ!
 カシラ、レバ、ハツなどなにかと慣れた素材の焼き加減はわかるのだが、シロコロ(豚の大腸を裏返したもの)は難しかった。見かねた店主が、トングを持って駆けつけてくれた。5秒に一度は返せ、と指南書にあるとおり、こちらも忠実に実行しているつもりだが、年季が違う。ご亭主は火力の強い七輪の中心部分にシロコロを寄せると、トングでつねにどれかをひっくりかえし続ける。
 結果として、網上の一個のシロコロ君に順番がまわってくるのが5秒後ということであって、一個のシロコロ君を5秒間焼いてはひっくりかえす、というやりかたではないのだ。このふたつの手順には天と地ほどの開きがあって、ご亭主の手にかかって、はじめて「旨い!」という声が一同からあがった。
 しかし、いつもいつもご亭主に甘えるわけにはいかないだろうから、これは困った問題ではある。初心者テーブルで最高の味に焼きあがったシロコロを、地元民もうらやましそうに眺めていたから、彼もまだその技に習熟していないのかもしれない。
 次回「第5回B-1グランプリ大会」は、ここ厚木中央公園で、10年9月18、19両日、開催されることになっている。予算3000円。

神奈川県厚木市飯山3136-2

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