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【桜】『ノルウェイの森』の散歩道が満開(2) 市ケ谷外濠公園から駒込六義園

 桜の季節に小説『ノルウェイの森』(村上春樹)に登場する散歩道を歩いた。前回の記事では、四ツ谷駅から出発し、外濠公園を、市ヶ谷駅へ向かって進んだ。

【市ケ谷から飯田橋】

 市ケ谷駅手前でいったん土手を降り、駅の脇から覗くと、濠に水面が見えた。市ケ谷駅脇から再び土手の道に入った。中央線の線路を眼下に、濠の対岸の桜並木が見渡せるようになる。付近一帯は外濠公園として遊歩道が整備されている。ヤマザクラからソメイヨシノまで約250本の桜が咲きほこる。近くにある大学に通う学生や会社員らで賑わっていた。

【飯田橋から九段下】

 飯田橋で外濠公園は終わる。飯田橋駅で道を右に折れた。しばらく歩くと靖国神社がある。さまざまな思いが込められ、持ち寄られた靖国神社の桜は400本を超える。靖国神社には、都心の開花宣言の基準となる標本木がある。また、80%以上の開花が観測されると「満開」が発表される。春の空に、靖国神社の桜が咲きほこっていた。

 靖国神社を過ぎると、お堀ばたに出る。橋の向こうにあるのは北の丸公園の入り口・田安門。田安門は正面の高麗門の奥に、もう一つ、高麗門と直角になる形で、櫓門(やぐらもん)が配されている。このような形式を「枡形(ますがた)」と呼ぶ。田安門の高麗門は、金具に刻まれた銘から、寛永13年(1636)に建てられたと考えられている。江戸城の大規模改修が完成した当時の面影を現代に残している。

 田安門へと続く橋から目を下へ向けると、そこは千鳥ヶ淵。今年は、桜祭りや桜並木のライトアップは中止となっているが、千鳥ヶ淵・内堀通り・北の丸公園にある約800本の桜も満開を迎えていた。

【神保町交差点からお茶の水】

 神保町交差点は、九段坂を下り、お茶の水の坂を上るまでの比較的、平たんな場所にある。多車線で交通量が多い「靖国通り」が現在の神保町のメインストリートだが、かつては、「靖国通り」から脇に一本入った「すずらん通り」のほうが賑わっていた。

 その「すずらん通り」に文房堂ギャラリーがある。昨年秋に、そこで「日大美研OB展」が開催された。「日大美研OB展」は、1970年から1976年の間に日大理工学部と日大文理学部を卒業した作家たちによって開催された作品展。『ノルウェイの森』の本編は「僕」が大学生だった1968年から1970年にかけての物語。「日大美研OB展」は、『ノルウェイの森』の「僕」とちょうど同じころ、日本大学に通っていた学生たちが、卒業から約40年たって開催したことになる。

 「日大美研OB展」会場でパンフレットを読み、ギャラリーにいた方から話を聞いたが、社会が混乱するなか、学業の半ばで大学を去る学生も多く、卒業後も連絡がつかない仲間もいたそうだ。1973年生まれの記者には、お茶の水の街が「戦場」と化した「日大闘争」のことはわからないが、ギャラリーにいた方は「40年たって、どうしても、このお茶の水の地で、作品展を開きたかった」と話してくれた。

【本郷から駒込】

 お茶の水から本郷へ抜けて駒込にたどり着いた。駒込駅手前にあるのは、国指定の特別名勝「六義園」。もとは、元禄15年(1702)に築園された「回遊式築山泉水」の大名庭園。六義園のソメイヨシノも満開だった。ただ、六義園は、ソメイヨシノと並び、しだれ桜が有名。ソメイヨシノに先立ち満開するしだれ桜は、散り際だった。

 六義園をあとにして駒込駅に到着。駅の脇に「染井吉野桜記念公園」があった。碑文には、「染井吉野桜発祥之里・駒込」と刻まれている。江戸時代、駒込の一部が染井と呼ばれ、植木等の一大生産地だったそうだ。染井の地で多くの園芸品種が誕生し、染井吉野もその一つという。碑には「染井之植木屋」という江戸時代の絵もあり、植木屋の庭で人々が桜を愛でる様子が描かれていた。(竹内みちまろ)

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