日本が世界に誇れるゲームとして私が真っ先に挙げたいのが、ゼルダの伝説シリーズだ。初代『ゼルダの伝説』はディスクシステム本体と同時発売されたいわゆるキラータイトルである。ただ、ディスクシステムにとってはある意味不運な出来事だった。何故なら、最高傑作が本体と同時に発売されてしまったのだから。
同じくディスクシステムで発売された続編の『リンクの冒険』はガラッとシステムが変わり、今でも異端児扱いされてはいるものの完成度は非常に高く、こちらも名作ゲームの一つに数えられる。
スーパーファミコンの『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』は再び見下ろし型2Dに戻り、こちらも大ヒット。ゲームのボリュームは過去2作品の比ではなく、何度も繰り返し遊んだという方も多いだろう。筆者も年に数度、発作のようにプレイしたくなる、そういう作品である。
<海外ではNO.1ゲームに輝いたことも>
1998年11月21日。シリーズ最新作『ゼルダの伝説 時のオカリナ』がついに発売された。ハードはNINTENDO64。少数精鋭の同ハードらしく、納得いくまで何度も作り直したという本作。2D画面を捨て、3Dという未知の世界へ飛び出した本作は、見事シリーズ最高売り上げ本数を記録する。国内外問わず、各所で最高の賛辞をもって迎えられた本作は、海外のゲーム専門サイトで行われる歴代ゲームランキングで毎年上位にランクイン。近年は日本国内よりも海外での評価が高いように見受けられる。
さて、システム面で最も特筆すべき点は「Z注目」であろう。対象物をロックオンできるこのシステムにより、プレイヤーの負担は大幅に軽減され、誰でも気軽に3D世界での冒険を楽しめるようになっている。また、ロクヨンのコントローラー自体が3Dゲームを強く意識した作りになっているので、本作然り『スーパーマリオ64』然り、まるで自分の分身のようにリンクやマリオを自由に操作できるのだ。ちなみにこれは私だけかもしれないが、マリオ64DSやバーチャルコンソール版の時のオカリナ(GCコントローラー使用)では操作が思った以上にしっくりこないので、環境が許すのであれば、やはり本家本元のロクヨンでのプレイをオススメしたい。振動パックがあればなおいい。
少し話が脱線してしまった。本題に戻ろう。ストーリーは言うまでもなく秀逸だし、3Dで描かれたフィールドを愛馬のエポナに乗って駆け回っているだけでも楽しい。ハイリア湖畔で意味もなくオカリナを吹き続けるのもまた一興だ。さらにはゼルダ特有の謎解きやお遊び的要素もたっぷり用意されているから、メインストーリーそっちのけで夢中になってしまうこともしばしばである。
筆者はこの“横道に逸れる楽しさ”こそが、ゼルダシリーズの本質であると常々思っているのだが、Wii(もしくはゲームキューブ)の『ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス』は、少し寂しい内容だった(ストーリーはかなり好きだが)。
<変化を恐れずに>
さて、散々本作を褒めちぎってきたが、筆者のように2Dから3Dへの劇的な変化を素直に“進化”と歓迎する声も多い一方で、それを頑なに拒む者もいる。3D酔いしやすいという体質の問題に起因するものは除外するとして、「ゼルダは2Dでなければならない」という、ゲームそのものの批判ではなく、いわば固定観念に囚われた形の批判が多かったのは残念でならない。レトロゲーム愛好家として気持ちはよく分かるのだが、ゲームの本質は初代から何一つ変わっていないので、恐れずに一度プレイしてみてはいかがだろうか。
そのうち…というか近い将来、ゼルダは本当の意味での3D化、つまりは立体視できるようになると予想される(時のオカリナが3DSでリメイクされるとの噂)。立体のゼルダ…。一体、今度はどんな仕掛けが待ち受けているのだろうか。(内田@ゲイム脳)
DATA
発売日…1998年11月21日
メーカー…任天堂
ハード…NINTENDO64
ジャンル…アクションアドベンチャー
(C)1998 Nintendo