龍馬の暗殺を食い止めようとする南方仁(大沢たかお)は、橘咲(綾瀬はるか)や佐分利(桐谷健太)と共に京へ向かう。一方、上役(中原丈雄)から坂本龍馬の暗殺を命じられた橘恭太郎(小出恵介)は悩みながらも仁らの後を付ける。京都では大政奉還を成功させた龍馬が幕府からも薩摩藩の大久保一蔵(眞島秀和)からも恨まれていた。
クライマックスに向けて登場人物達が動き出す中で、修介には依然として謎が多い。長州藩士の修介は歴史上の人物ではなく、原作漫画のオリジナルキャラクターである。しかし、ドラマのストーリーは原作から離れており、修介の役回りも異なっている。前回のラストで修介は無防備に寝ている龍馬に刀を向けて「殺されちゃいますよ」と言っている。まるで龍馬を殺したいような口ぶりであった。
今回も「身を守るためとはいえ、この手で殺めてしもうた長州藩士もおった」と述懐する龍馬に対し、修介は「志半ばに倒れた兄の代わりに果たしたいことが一つあった」と語る。龍馬が殺した長州藩士と修介の兄の関係が気になるところである。しかし、そこには深入りせず、修介は「坂本さんの大政奉還の建白を読んだ時、もうよいのではないかと思ったのです」と吹っ切れた様子であった。
仁の奔走で龍馬は暗殺現場の近江屋から逃れるが、歴史の修正力には抗い難く、襲撃は避けられなかった。必死の斬り合いの中で修介の最後の行動は予想外なものであった。
修介を演じる佐藤隆太は連続ドラマ初主演となった2008年放送のテレビドラマ『ROOKIES』での熱血教師役が当たり役となった。2010年放送の『まっすぐな男』では、まっすぐな性格の人物を主演した。さらに2011年放送の『熱中時代』でも熱血教師を演じた。複雑な思いを秘めた修介は、明るくまっすぐな好男子という佐藤のイメージを一新する。単なる護衛以上の役回りになった陰のあるキャラクターを佐藤がどのように演じ切るのかにも注目である。
(林田力)