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SEXとは、死の世界を漂うことである

 SEX、つまり性行為とは「人の性は死の世界を漂うことである」であると喝破したのは、文化人類学者の栗本慎一郎氏であった。

 それはSEXにおける絶頂、ドイツ語でいう「オルガスムス」や英語の「オーガズム」、フランス語の「アクメ」の意味は「小さな死」というものなのだ。
 「エクスタシー」の意味は「魂が外へ出る」「恍惚感」「昇天」という意味である。
 性的な絶頂感を日本語では「イク」「果てる」という言葉という言葉で表現する。
 「イク」を「逝く」と書けば、日本語も性的絶頂感が「死の世界」と近い距離にあることがわかる。絶頂のときに、一瞬だけ「あの世にイク」のである。「果てる」という言葉も「命が果てる」という意味で使われる。

 こういった性的絶頂のときに死をイメージするのは、SEXが本来【親から子へと命の継承をする行為】と考えてみると当たり前かも知れない。
 魚のシャケは、ふるさとの川に戻り、射精や産卵をした後に、命が尽きる。
 虫の中にも射精や産卵の後に、寿命が尽きる種類が多くいる。
 シャケが射精や排卵をしている姿を、テレビなどで観ることがあるが、大きな口をあけ、全身を震わせている。
 「もしかしたらシャケも、大変な快感があるのかな?」と、想像したりする。

 シャケはともかく人間の場合、その瞬間は大変甘美であり、そのときに「死の瞬間」「死の世界」を垣間みているに違いない。
 この快感がなければ、人はSEXなどしないであろう。
 その快感は、命の継承のためであり、親から子へと命が移っていくために必要なものなのであろう。

(巨椋修(おぐらおさむ) 山口敏太郎事務所)

参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou/

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