今回の動画で貴闘力氏は9~23日にかけ行われた大相撲7月場所について、複数力士の名を挙げながら振り返った。その中で、同場所に大関とりがかかっていた大栄翔が後半失速した理由を指摘した。
7月場所の大栄翔は序盤5日間、6~10日目の中盤戦はそれぞれ「4勝1敗」をマーク。大関昇進目安(三役で直近3場所33勝以上)をクリアする11勝以上まで残り5日で3勝に迫った。ところが、11日目~千秋楽の後半戦で「1勝4敗」と急失速し、目標の11勝はおろか2ケタ勝利すら達成できなかった。
>>豊昇龍、優勝なければ大関になれなかった?「厳しすぎないか」審判部長が高いハードル設けたワケは<<
後半の失速が響き大関を逃した大栄翔について、貴闘力氏は「もったいないね…」とため息。続けて「勝ち、大関を意識すると、後半戦はもう足が全然出てなかったね」と、重圧の影響からか後半戦は体があまり動いていなかったように見えたと指摘した。
大栄翔は立ち合いから勢いよく当たり、回転の速い突き押しで相手を攻めたてる相撲が持ち味の力士。ただ、貴闘力氏によると「緊張して足が出なくなるからケツが後ろに残るような形。で、思い切り行ったらはたかれて落ちてしまう」、「そういうふうな相撲をとると当たれなくなる」と、後半5日間はその持ち味がほとんど出ていなかったという。
「意識しないようにしようと思っても、大関になれるって意識があったんだろうね」と、後半戦を戦う大栄翔の胸中を推測した貴闘力氏。「10番だとあるかもしれないけど、9番だとキツイ。11番なら確定だったのにね」と、3場所31勝での大関とり失敗を惜しんでいた。
貴闘力氏の発言を受け、ネット上には「確かに後半は上半身だけで押してるように見えた」、「だから3日連続(11~13日目)ではたき込み食らったのか」、「残り5戦で3勝を意識し過ぎて動きがガチガチになったんだろう」、「連敗止めようとして変な相撲もとってたしな」といった同調の声が寄せられている。
大栄翔は「8勝5敗」で迎えた14日目の平幕・阿武咲戦で、立ち合い突っ込んでくる相手に対して左に変化。そのままはたき込みで勝利したものの、取組後の報道では八角理事長が「大関としてやっていけるかどうかの見極めで、こういう大関を見たいと思いますか? お客さんが納得できると思いますか?」と怒りをにじませたことが伝えられている。本来の取り口とはかけ離れた逃げ腰の相撲を選択してしまうほど、大関とりの重圧は相当なものだったようだ。
文 / 柴田雅人
記事内の引用について
貴闘力氏の公式YouTubeチャンネルより
https://www.youtube.com/@takatorikibeya