照ノ富士は前日まで「1勝1敗」、翔猿は「0勝2敗」で迎えたこの一番。立ち合いの攻防から右を差した照ノ富士は左も抱えながら前に出ると、翔猿が右下手をつかみ何とか防戦する中で左の一枚まわしをつかむ。しかし、このまわしが翔猿の胸元付近まで伸びたことで引きつけがきかず。攻めあぐねているうちに翔猿から蹴返しを食らい体勢を揺さぶられると、切り返し気味の寄りに残せず土俵を割った。
取組終了後、照ノ富士は腰を少しそらせたり、足元をふらつかせながら東の徳俵前に戻ったりと下半身を痛めたようなそぶりを見せる。その中で、客席からは大量の座布団が土俵へ投げ込まれており、その内何枚かは照ノ富士の右肩や右腕に直撃していた。
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この光景を受け、ネット上には「今座布団投げてる奴は何を考えてるのか」「明らかに照ノ富士痛んでるのに投げる神経が理解できない」、「案の定何枚か照ノ富士に当たってるじゃないか」、「客のマナー悪すぎて呆れる、ルール守れない奴は帰れよ」といった批判が多数寄せられた。
「角界では横綱が格下力士に敗北を喫した際は、観客が自身の座席に設けられている座布団を投げる行為、いわゆる“座布団の舞”が古くから慣習化しています。ただ、相撲協会側は観戦契約約款(2012年1月26日制定、同年5月1日施行)で『土俵、座席、通路、階段等の相撲場への物品の投げ入れ』は禁止行為であると定めていることもあり、座布団投げに嫌悪感・不快感を抱いているファンは少なくありません。また、今回は負けた照ノ富士が明らかにどこかを痛めたような様子を見せていたこともあり、手負いの体をさらに痛めつけかねない行為だとひんしゅくを買ったようです」(相撲ライター)
照ノ富士は翌12日、相撲協会に「腰椎椎間板ヘルニア、腰椎椎体終板障害にて1カ月間の安静加療を要す」との診断書を提出し途中休場。師匠・伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)が「腰が痛いのを我慢していた。昨日(3日目)の取組でヘルニアになった。再出場は厳しいんじゃないか」との見方を示したことも伝えられている。
文 / 柴田雅人