初日に平幕・遠藤を下した若元春はこの日、前日に小結・琴ノ若に敗れた翔猿と対戦。立ち合い右をかち上げながらぶつかると、相手の右脇に左手をあてがいつつ、両手で一押し。これで翔猿を土俵際まで追い込むと、さらに相手のあご付近に強烈なもろ手突きを見舞い吹っ飛ばした。
取組時間約2秒で格下相手に完勝した若元春。ただ、本人は取組後の一礼のため西の徳俵前に戻る途中、眉間にしわを寄せながら左手でさがり(まわしに挟み込むひも状の装飾品)をビっと勢いよく引き抜くなど、取組終了後もピリついたような雰囲気を醸し出していた。
>>元横綱・白鵬、現役時代は睡眠薬ナシで寝られず? 引退前に苦悩「晩年の1年半から…」告白に驚きの声<<
若元春が見せた相撲を受け、ネット上には「ブチギレてないかって思うほど強烈な攻めだ」、「相性悪いわけでもない(幕内での対戦成績は若元春の5勝2敗/5月場所前時点)のに何をピリピリしてたんだ?」、「大関とりに向けて1つも取りこぼしたくないってことなのか」、「弟の分まで頑張らないとって気持ちもあるのかな」といった驚きの声が寄せられた。
「今年の若元春は新小結として迎えた1月場所を『9勝6敗』で勝ち越すと、続く3月場所は『11勝4敗』とさらに白星を挙げ場所後に新関脇に昇進。今場所は13勝以上なら大関昇進目安(三役で直近3場所33勝以上)を満たす状況ですが、来場所へ向けての足固めも考えるとなるべく取りこぼしはせずに2ケタ以上の白星を稼ぎたいところです。若元春としては機敏な動きが持ち味の翔猿に時間を与えると、足元をすくわれかねないと判断し、先手をとって一気に勝負を決めなければと考えていたのでは。また、弟の関脇・若隆景が3月場所終了後に右膝の手術を受け長期離脱に入っていることも気迫を見せた一要因になっている可能性もありそうです」(相撲ライター)
3月場所は霧馬山(優勝)、大栄翔(優勝同点)の「12勝3敗」に星の差1つと優勝に手が届きそうなところまで迫った若元春。連勝スタートを飾った今場所も優勝争いを盛り上げていくことになるのだろうか。
文 / 柴田雅人