豊昇龍は立ち合い、両者はお互いの動きを探るためか一瞬相手を見た後にぶつかる。この後、翔猿は前に出てくる豊昇龍の攻めを反時計回りに動きながらいなそうとするがこらえきれず、ひっくり返るように背中から地面に落ちた。
押し倒しで豊昇龍が勝利した取組後、NHK中継では取組のリプレーが流される。ただ、この映像では豊昇龍が翔猿を押し倒す直前、はたきを受け、前のめりになった際に左手で地面をはいたような様子が映っていた。
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このリプレー映像を受け、ネット上には「ん? 豊昇龍の方が先に手を地面についてるのでは?」、「前につんのめった時に左手で土俵をひっかいたような…」、「リプレー見ても土に手が触れてるようにしか見えない」、「行司は逃げるのに必死で豊昇龍の手が見えてなかったのか?」、「勝負審判が物言いすらつけずに終わったのは完全に誤審では」といった不満の声が相次いだ。
「今回の一番では向正面方向に立って取組を裁いていた行司が、反時計回りに動いた翔猿との接触を回避しようと自身も同方向に移動。これもあり、豊昇龍が前のめりになったタイミングでは正面方向に動きながら左斜め後ろを見るような体勢になっていました。加えて、地面に倒れる翔猿が陰になっていたこともあり、行司は豊昇龍の手の動きをはっきり見ることができないまま軍配を上げたのでは。また、豊昇龍が前のめりになった段階で翔猿は半身で左足が浮いた体勢になっていたので、勝負審判は豊昇龍の手つきの有無にかかわらず、翔猿の体が先に死んでいると判断して物言いをつけなかった可能性もあるでしょう」(相撲ライター)
今場所は大関昇進目安(三役で直近3場所33勝以上)クリアへ12勝以上が必要な豊昇龍。物議を醸す取組を制し白星発進となったが、取組後の報道では手つき疑惑について言及しなかったが「何より勝てたことが良かった」と安堵していたという。
文 / 柴田雅人