前日まで「8勝3敗」の豊昇龍はこの日、同じく「8勝3敗」の関脇・霧馬山と対戦。立ち合い、豊昇龍は左足を踏み込んで前に出ると同時に、霧馬山の顔面に左手で張り手を見舞う。だが、霧馬山は全くひるまず逆に左上手を許してしまった。
不利な体勢となった豊昇龍は霧馬山の左足を右足で払おうとしたが、これも不発となると、右前まわしもつかんだ霧馬山から一気に土俵際へ追い込まれる。一度は押し返した豊昇龍だったが、霧馬山に再び土俵際まで寄られると、最後は左の上手投げで地面に転がされ敗戦となった。
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この日ABEMA中継で解説を務めた明月院秀政氏(元小結・千代大龍)は、取組後に流れたリプレー映像を見ながら「余計なことしますね。いらないですよ本当に。でほら、もう相手にいい形になられちゃった」と、立ち合いの張り手が逆に相手に付け入る隙を与える結果になったと厳しく指摘。
また、ネット上にも「立ち合いの張り手が完全に裏目に出たな」、「張りながら右を差したかったんだろうが逆効果だった」、「正攻法じゃなく奇襲を選ぶからこういうことになるんだ」、「変なことせずまともに当たってたらまだ戦えてただろうに」といった、立ち合い張り手が致命傷になったとするコメントが見られた。
「立ち合いの張り手は成功すれば相手の出足をそぎ、ひるんだ隙を突き腕を差せるといったメリットが見込めますが、相手の顔に手を伸ばすという動作の関係上どうしても上体が起きたり脇が空いたりしますので、一気に懐に入られ不利になるデメリットもあります。今回の一番については、張り手に全く動じず霧馬山に中に入られた豊昇龍の作戦負けと言えるでしょう」(相撲ライター)
この日の豊昇龍の相撲については、叔父の朝青龍氏も取組後に自身のTwitterに「またまた相撲覚える事が必要(原文ママ)」といい内容ではなかったという旨を投稿している。豊昇龍はかねて立ち合い変化、張り差しの多さが課題とされているが、克服にはまだまだ時間がかかりそうだ。
文 / 柴田雅人
記事内の引用について
朝青龍氏の公式Twitterより
https://twitter.com/Asashoryu