前日まで「6勝2敗」の豊昇龍はこの日、「4勝4敗」の小結・若元春と対戦。両力士は取組前の仕切りを終えた後、若元春が先に腰を下ろし、豊昇龍も後を追うように膝を曲げ立ち合いの体勢に入る。そこから若元春は呼吸を合わせようと右手を前に出し地面につこうとしたが、豊昇龍の方は全く手を動かさなかった。
これを見た若元春は一度右手を下げると、約4秒後に再度前に出し今度は地面につけたが、豊昇龍はこれにも応じる気配ナシ。しびれを切らした若元春が右手で軽く手刀を切りながら腰を上げたことで立ち合いは不成立となった。場内からどよめきが起こる中、豊昇龍は仕切り直しのため立ち上がった直後に正面土俵下の勝負審判に頭を下げていた。
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この日NHK中継で解説を務めた舞の海秀平氏(元小結)は、立ち合い不成立となった直後に「これは豊昇龍、手をついて立たなければいけませんね。こういう駆け引きはいけませんね」と豊昇龍に苦言を呈する。
また、ネット上にも「若元春が2度も合わせようとしてくれたのになぜ応じないのか」、「相手のペースを乱したかったのか知らんが見苦しいことするなよ」、「もしかして昨日みたいに楽に勝とうとしてなかったか?」といった批判が寄せられた。
「今回戦った両力士は豊昇龍が身長185センチ・体重146キロ、若元春が身長186センチ・体重146キロとほぼ同じような体格。そのため、まともにぶつかっても馬力は互角で手こずると考え、呼吸をずらして相手を揺さぶろうとしたのでは。また、豊昇龍は前日の平幕・佐田の海戦で立ち合い変化を決めて勝利を収めていますが、2日連続の注文相撲を選択するべきか迷っていた可能性もゼロではなさそうです」(相撲ライター)
豊昇龍は2度目の立ち合いでも迷いがあったのか、若元春に当たり負け一気に土俵際に追い込まれると、苦し紛れの小手投げも不発に終わり敗戦。また、地面に倒れた直後に左手で左足首を押さえるなど同箇所を痛めた様子を見せており、翌17日には左足関節ねんざにより同日の10日目を休場することが報じられている。
文 / 柴田雅人