取組では、立ち合いすぐに懐に潜り込んだ翠富士が一気に豊昇龍を土俵際に追い込んだが、豊昇龍も逆転を狙った網打ちで応戦し、両者はほぼ同時に地面に落ちる。行司は翠富士に軍配を上げ、勝負審判からも物言いはつかなかった。
ただ、取組終了直後にNHK中継で流されたリプレー映像には、翠富士が渡し込みで豊昇龍を押し倒す際、左足つま先が返って地面についたような様子が映っていた。この映像を見た中継解説・舞の海秀平氏(元小結)は「この翠富士の左の足の甲ですよね、最後」とつま先は返っていたのではと指摘。同じく中継解説を務めた北の富士勝昭氏(元横綱)も「物言いがついてもおかしくないな。僕はどっちが有利とはいわん」と、両者同体として物言いをつけてもよかったと見解を示した。
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このリプレー映像を受け、ネット上にも「今の一番に物言いつけなかったのは勝負審判のミスでは」、「つま先返ってないか?と映像見る限りでは思ったんだが…俵に隠れて見えにくかったりしたんだろうか」、「やっぱり確認の意味でも物言いはつけてほしかった、結果は同じでも協議した上での結論ならまだ納得できた」と物言いがつかなかったことを疑問視する声が相次いだ。
物言いナシに終わったことへの疑問が相次ぐ中、取組後の豊昇龍の態度にも注目が集まった。豊昇龍は取組後の一礼を終えると、向正面の勝負審判を一度見ながら土俵を降りる。その後は眉間にしわを寄せ険しい表情で花道を下がっていったことから、ファンの間では「豊昇龍も判定に全然納得できてなさそうだな…」と胸中を察するコメントも散見された。
豊昇龍は三役として、翠富士には幕内として自身初の2ケタ勝利がかかっていた千秋楽の一番。好取組を期待するファンは少なくなかったが、今ひとつスッキリしない結末となってしまったようだ。
文 / 柴田雅人