立ち合いの攻防から逸ノ城にもろ差しを許した照ノ富士は、逸ノ城の両腕を自身の両腕で締め上げ極めようとする。しかし、もろ差しの体勢を崩すことができないまま寄り切りで敗れ、逸ノ城に通算9個目(歴代10位)の金星を許した。
取組終了後、東の徳俵前に戻った照ノ富士は体を後方に向き直す過程で一瞬、向正面を見るが、その瞬間、客席の観客が投げたと思われる座布団が照ノ富士の前方を横切る。照ノ富士は特に気に留めることなく取組後の一礼をしたが場内からは「あぁ~」と、どよめきが起こった。
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照ノ富士と座布団が“ニアミス”したこの光景を受け、ネット上には「うわ、誰だ今照ノ富士の目の前に座布団投げた奴は!」、「投げた客は力士や他の観客が怪我したら責任とれるのか」、「初日に阿炎も苦言呈してるのに何で投げちゃうんだろうか」といった批判が多数寄せられた。
「角界では横綱が格下力士に敗北を喫した取組後、観客が自身の座席に設けられている座布団を土俵へ投げ入れる行為、いわゆる“座布団の舞”が古くから慣習化しています。相撲協会側は観戦契約約款で『土俵、座席、通路、階段等の相撲場への物品の投げ入れ』は禁止行為であると定めており、過去には飛んできた座布団が直撃した行司がけがをしたケースもあるのですが、それでもルール違反を犯す観客は未だにいます。今場所は5日目以前にも、初日の照ノ富士対小結・阿炎戦で照ノ富士が敗れた際に座布団が舞っており、取組後に阿炎が『少し飛んでいたと思うが、よくないことでしたね』と苦言を呈したことも伝えられています」(相撲ライター)
横綱を筆頭とした上位力士に、下位力士が土をつける番狂わせは大相撲の醍醐味の一つ。ただ、重大なアクシデントにつながるリスクもあるだけに、どれだけ気持ちが盛り上がろうと座布団投げは控えるべきだろう。
文 / 柴田雅人